2017年1月17日施行の新規則について

アメリカ移民局は2017年1月17日施行の新規則について発表しました。
概要としては、非移民ビザ労働者の雇用の前後にグレースピリオド(猶予期間)を設置、永住権申請の最終段階申請であるI-485申請者等が対象で、就労許可証(EAD)の更新申請をその期限前に適切に行った者に対しては、自動的に就労の延長が可能になることになりそうです。

また新規則は、 I-140の取り消しによる影響を緩和するとしています。

I-140申請が認可されて180日以上経過している外国籍者は、雇用者が失業、またはI-140申請を取り消したとしても、自動的に申請を取り消されることはありません。しかし雇用ベースの永住権を得るためには、外国籍者は新たな仕事のオファーや新たなI-140申請が必要となるでしょう。

申請が取り消されたI-140のビザ申請者個人は、取り消し理由が、詐欺、重大な虚偽の申請内容、根本的なPERM労働認定証の 失効や取り消し、またはアメリカ移民局の重大なエラーでない限り、新たなI-140の申請の際、取り消されたI-140申請のプライオリティ・デートを使用することができるでしょう。

最後に、これまでの長年の方針の通り、I-140が審査中の永住権申請者個人は次のステップであるAOS申請が180日以上審査中の状態が続いた場合、一定の条件のもと、新たな雇用先に永住権申請のスポンサーを変更することが可能です。ただしAOS申請後180日間 に審査中のI-140が認可の可能性がある正当なものである必要があります。

新たな雇用許可規則

規則では、E-3、H-1B、 H-1B1、L-1、O-1の非移民保持者が、永住権申請の一つの段階申請であるI-140申請認可後の次の申請段階のI-485申請に進めずプライオリティ・デートが有効になる順番待ちの状態である場合、1年の 雇用許可を申請することを許可しています。言い換えれば、申請した永住権の年間の発給数がすでに埋まっており、なおかつ説得力のある状況の証明ができる場合と言えます。例えば、救急医療であったり雇用者への重大な混乱が生じるなど、雇用許可の必要性を正当化するものです。現時点では、新規則において「説得力のある状況」という用語がどのように定義されるかは不明です。

新たなグレースピリオド(猶予期間)について

外国籍者がE、H-1B、H-1B1、L-1、O-1、TNビザを保有しており、その雇用が有効ビザ期限よりも早めに終了した場合、彼らには有効なビザ期限期間内において最大60日のグレースピリオドが与えられるようです。これは、彼らがその期間内にステータスを延長、変更、維持することを認めるもので、H−1Bにおいては、新たな雇用者への移行及び就労開始も可能となります。

またE、L-1、TNビザ保有者は、現H-1B非移民者の場合と同様に、有効期間内の前後で10日間のグレースピリオドが与えられます。就労準備のため、有効期間開始日の10日前よりアメリカへ入国が可能となり、有効期間終了後は、滞在延長、ステイタス変更またはアメリカを離れる準備として10日間与えられます。

新たな雇用者への変更申請がすでにアメリカ移民局に受領されているH-1B保有者を除き、グレースピリオド期間中の雇用は認められません。

6年を超えてのH-1Bの延長について

長年にわたり、現在H-1Bステイタスでない外国籍者でも7年目の、もしくはそれ以降のH-1B延長 をする場合、その本人が以前にそのステイタスを保有しており、H-1Bにおける有効な残存期間が残っている限り、その申請は可能とされてきました。しかし、新規則ではH−1Bビザ保有者が移民ビザの申請が可能となった日から1年以内にI-485申請や、移民ビザ申請(I-140申請)をしていない場合、延長はできないとしています。

また新規則には以下内容も含まれています。

H-1Bが満6年を迎え7年目以降の1年間有効なH−1B延長申請について、延長申請時点において、申請者のPERM労働認定証が無効となっている、申請者個人のI-140が却下もしくは取り消されている、またはI-485申請か認可または却下されている場合は申請対象外となるようです。

I-140申請が認可後、その認可を180日もしくはそれ以降に取り消されたH-1Bビザ保有者は、そのI-140が詐欺により取り消し、重大な虚偽の申請内容、アメリカ移民局による重大な誤りや取り消し、またPERM労働認定証の根本的な無効化でない限り、3年の延長資格が維持できます。

さらに新規則では、I-485申請者も含め、適時就労許可証(EAD)の更新を申請した外国籍者に対して、自動的に180日の延長就労許可が与えられるようです。ただし、この自動延長は就労許可の更新を考えているH-4、L-2やEビザの配偶者には適用されないようです。

尚、この新規則では、就労許可証申請の審査を90日以内に処理し、また90日以上審査中となっている就労許可証申請に対して、暫定的な就労許可を与えるようアメリカ移民局に要求できる規則は撤廃されるようです。何れにしても政府はこの規則にここ数年従っていませんでした。また政府は就労許可更新申請を現有効期限の6か月前から受け付け開始する予定です。

興味深いことに、この新たな規則はドナルド・トランプ次期大統領の就任前に施行される予定であり、新政権がこの規則の変更や撤回をするかについては、現在のところ示されていません。しかし変更には、フィードバックを提供するための公衆に対する周知と機会が求められており、いかなる実行も即座に行われることはないと言えるでしょう。

以上、本件は、現状で把握していることであり、上記の通り、今後変更される可能性もあり、現段階では施行されているものではありませんことご注意ください。

トランプ氏の当選と移民

アメリカの移民法は確実に重要な変更がなされ、大統領選挙当選を果たしたドナルド・トランプ政権の重要な課題となるでしょう。技能を持った移民に対する反復的なサポートがいくつかなされてきましたが、これまでのトランプ氏のほとんどの発言を見ると、アメリカへの外国籍者入国の際の審査の増加、外国人労働者の認可の抑制、外国人労働者に対する雇用者の義務の増加に関するものがほとんどでした。

トランプ氏のウェブサイトでは、アメリカにおけるメリット、技術そして成功の可能性に基づいて移民を選択することを支援しています。しかしながら、アメリカ人労働者の雇用を優先する移民規制を求めてきました。彼は、H-1Bプログラムの改革を提唱してきましたが、いまだ具体的な提案はしていません。トランプ氏は、アメリカと協定国間における、移民の合理化を図る条項が含まれる主要な協定の再交渉や撤回を求めるとも述べてきました。

またトランプ氏は雇用ベースの非移民ビザと永住権の申請を含む、ビザやグリーンカードの申請の審査を強化し、より優れた管理を奨励するとしています。また、適切な審査が保証されない国では、ビザ発給を一時的に停止することについても明確に支持しています。ただし、移民法のほとんどの変更には議会の承認が必要であり、数年とは言わなくとも、実施までには数ヶ月は要すという点も重要です。

またトランプ氏が、非公式の人口に対して大きなメスを入れると約束していることも懸念されます。彼は200万から300万人の人を国外追放すると約束しています。そのようなことをしようとすれば、私たちの都市には機関銃が必要となるでしょう。またそのようなことになれば大都市の支援が必要となるでしょうし、その前にカリフォルニアやニューヨークのような州で止められるかもしれません。我々はこれらの大都市の市長たちがそれぞれの地域社会への攻撃に抵抗すべく、最善を尽くすことを願っています。いずれにしてもトランプ政権には、このような業務の遂行には数年はかかると思われます。

そうなると、現在合法的にアメリカに滞在する移民をターゲットにする方が簡単と言えます。移民へ影響を及ぼす重要なポジション、司法長官、国務長官、アメリカ移民局(USCIS)長官、米国移民・関税執行局(ICE)長官、入国管理局(CBP)長官、といったポジションが、反移民派イデオロギーや完全な人種差別派の人で占められたりすることも考えられます。さもなければ移民自体、もしくはアメリカに合法的に存在する人たちへの広く甚大な打撃が最も簡単な方法だと考えられます。共和党は、単に都市の移民コミュニティや雇用者を必要としないといった決定をするかもしれません。

我々のわずかな望みは、次期大統領となるトランプ氏自身、ビジネスマンであり、技術の有無にかかわらず多くの移民、非移民を雇用してきました実績があります。そして彼の妻自身が元H-1B保持者であり移民であるということです。彼が積極的に合法移民をについて検討し、高度な技術を持った労働者やアメリカに投資しようとする企業に対して実際に利益をもたらすような変化を提案することが私たちの願いです。

フォームI-9( Employment Eligibility Verification)の改訂について

2016年11月14日、アメリカ移民局はフォームI-9( Employment Eligibility Verification)の改訂版を発行しました。

雇用者は2017年1月22日までに、11/14/2016 N と記載されたものへの書式の移行を完了させなければなりません。それまでは、03/08/2013 N と記載されたものと、新たなバージョンのどちらでも使用可能です。新しいフォームI-9はこちらから入手可能です。
https://www.uscis.gov/sites/default/files/files/form/i-9.pdf

改訂版の変更点には、セクション1にて、「その他使用した名前」ではなく「その他使用した名字」となっており、一部の外国籍者の認証が合理化されています。

その他の変更点は以下の通りです。

  • 情報を確実に入力させるための補助機能の追加(プロンプトの追加)。
  • 複数の作成者や翻訳者の入力が可能。
  • 追加情報を入力するための専用欄の設置。
  • 作成者や翻訳者用の補足ページの設置。

改訂版I-9はパソコンでの入力が、より簡単にできるようになっています。日付入力のためのドロップダウンやカレンダーの追加、各入力項目での画面上での指示表示、説明文全文への簡単なアクセス、そして入力をクリアにしたり、やり直すといった拡張機能が増えています。ただし雇用者はオンラインでの入力が完了した後、フォームを印刷し署名しなければなりません。

他のアメリカ移民局のフォームと同様、I-9の説明書もフォームから分離され、各項目に詳細な説明が表示されるようになりました。

背景として、1986年11月に議会が移民改革法(IRCA)を通過した際にフォームI-9の要件が制定されたことが挙げられます。移民改革法(IRCA)は、身元確認やフォームI-9上の雇用許可なしでアメリカ市民を含むアメリカ国内での雇用を禁止しています。

ウォルトディズニーとIT会社に対するH-1B集団訴訟

ウォルトディズニーワールド、HCLアメリカ社(HCLA)とコグニザントテクノロジーソリューション(CTS)を相手取った、二人の元ウォルト・ディズニーのIT部門従業員率いる集団訴訟は、オーランド、フロリダ州の連邦地方裁判所により棄却されました。二人の元従業員は、ディズニー、HCLA およびCTS のH-1Bビザプログラムの詐欺や不正使用について告訴していました。

元従業員は約200〜300人に及ぶディズニーの従業員が解雇されたこと、また彼らがその解雇までの90日間にH-1B労働者のトレーニングをするよう指示されたと主張しました。訴状によると、従業員がH-1B労働者のトレーニングを拒否した場合、ディズニーは彼らのボーナスや退職金を支払わないだろうとされていました。また訴状では、HCLAやCTSがディズニーワールドと共謀し、アメリカ人労働者の労働条件に不利に影響していないこと、またH-1B従業員の雇用はアメリカ人労働者の代替とはなり得ないこと、を不正に証明しているとしています。

連邦裁判官は、元従業員が訴状で不正だとして申し立てた陳述については、彼らのケースを確証するには十分でない、としてこの集団訴訟を棄却しました。ただし裁判官は、アメリカ人労働者が解雇により不利に影響を受けてきたという元従業員の主張を全面的に棄却してはいません。裁判官は元従業員たちに訴状を修正し再度挑戦するチャンスを残しています。

アメリカ移民局への新たな申請料金

2016年12月23日より、国土安全保障省(DHS)は、特定のアメリカ移民局への申請料金を増額します。申請料金の増額率は概ね8〜60%となります。EB-5グリーンカードプロセスにかかる料金の増額率は145〜186%にも上り、最も顕著な増加となっています。

以下が新たな申請料金表となります。尚、特急審査(premium processing)申請費用の$1,225に変更はありません。

Form 現在の料金 新料金 増額率
Form1-129 Petition for
Nonimmigrant Worker
$325 $460 42%
Form1-140 Petition for Alien
Worker
$580 $700 21%
Form1-485 Application to Adjust Status Includes the cost of concurrently filed Forms
I-765 and 1-131
$985 $1,140 16%
Form1-765 Application for
Employment Authorization
$380 $410 8%
Form1-131-Application for Travel
Document
$360 $575 60%
Form1-539 Application to
Extend/Change Nonimmigrant
Status
$290 $370 28%
Form1-90 Application to Replace
Permanent Resident card
$365 $455 25%
Form N-400 Application for
Naturalization – Standard Applications
$595 $640 8%
Form N-400 Application for
Naturalization -Applications filed by those who meet certain requirements with respect to military service and for those with approved fee waivers
$595 $0 N/A
Form N-400 Application for
Naturalization-Applications filed by those whose family income is greater than 150% and not more than 200%of the Federal Poverty Guidelines
$595 $320 N/A
Form I-526 Immigrant Petition by Alien Entrepreneur $1,500 $3,675 145%
Form I-924 Application for Regional Center Designation under the EB-5 Immigrant Investor Program $6,230 $17,795 186%
Form I-924 Annual Certification of EB-5 Regional Center %0 $3,035 N/A
Biometrics Fee $85 $85 0%

上記の表が示すように、国土安全保障省が新たに徴収する重要な申請料金に、フォーム924A の申請料金があります。これはApplication for Regional Center under the Immigrant Investor Pilot Program申請のためのフォーム924の補足フォームです。このフォームは雇用に基づく移民ビザ・第5優先(EB-5)カテゴリに使用されます。現在、アメリカ移民局はこれについて申請料金を不要としていますが、2016年12月23日より申請料金$3,035が必要となります。

アメリカ国務省によるビザ用写真の新たな要件について

アメリカ国務省は個人のビザ用写真について、メガネの着用を認めないことを発表しました。これは2016年11月1日より施行されます。ビザ用写真に関するその他の詳細な指示はこれまでと変更ありません。

ビザの申請者はデジタル版か写真原本のコピーを提出することが求められています。アメリカ国務省は、すべての要件を満たすため、ビザ用写真をプロに撮影してもらうことを推奨しています。もしご自身で撮影される場合は、以下アメリカ国務省ウェブサイトに掲載されている詳細な指示に従って行って下さい。

https://travel.state.gov/content/visas/en/general/photos.html

こちらのウェブサイトでは、申請者自身がビザスタンプのオンライン申請やフォームDS-160の申請に、写真が要件を満たしているかを確認できる「フォトツール」という機能も提供されています。大使館や領事館によっては非移民ビザまたは移民ビザの面接の際、写真の持参を求める場合があるため、ビザスタンプの面接を行う場合には、申請者は複数枚(通常2〜4枚)の同一のビザスタンプ用の写真を用意するべきでしょう。

ビザの取り消しに対する新たな施策

アメリカ国務省による外交に関する総合政策を記した刊行物にFAM(Foreign Affairs Manual)があります。今回更新された最新版(9 FAM 403.11-3)によると、DUI(Driving Under the Influence)、つまり飲酒や薬物影響下での運転は、有害な行動を伴う身体的または精神的障害を示す指標になるとして(INA (Immigration and Nationality Act) 212(a)(1)(A)(iii)の下、資格剥奪の可能性を有する)、DUIで逮捕された者の非移民ビザについて、 領事館は諮問の末取り消すことになるとしています。原則として、その個人がすでにアメリカ国内にいる場合、もしくは中断なしでのアメリカへの渡航を開始した後であれば、いかなる状況においても外国の領事官がビザを取り消すことはできません。ただし今回の新たなFAMによれば、DUIに基づく取り消しについては、この規則の例外となるようです。

DUIによる逮捕は公的安全への問題とビザ剥奪の可能性の根拠になるとして、 過去5年間に1件の飲酒関連の逮捕がある場合、もしくは過去10年間に複数の飲酒関連の逮捕がある非移民ビザの申請者には、領事官は医師による健康診断を受けさせることが求められてきました。2015年11月5日時点で、領事官と国務省は、過去5年内に起きたDUIによる逮捕または有罪判決が Watchlist Promote Hitにより現れた場合にはINA 212(a)(1)(A)によって潜在的な不適格に当てはまるとして、諮問の末ビザを取り消す権限を持っています。これはあくまでも領事官の裁量であることに注意して下さい。

ビザが取り消される前に、ビザが取り消される意向が本人に通知され、ビザが取り消されるべきでないことを提示する機会が与えられます。またビザが発行された渡航書類(例:パスポート)の提示も求められます。

ビザが実際に取り消された場合、取り消しを元に戻すための復元手続きが必要となります。具体的には、ビザの取り消し理由がすでに克服されていること、ビザの対象外となっていることを確定させた免除を申請する必要があります。言い換えれば、INA 212(a)(3)(B)下における資格剥奪の免除は国務省により請願されなければなりません。これらのことからも、DUIは現在では、深刻な犯罪として考えられ、承認を難しくするのには十分な材料となっていることを意味します。

これまでのところ、アメリカ移民法に対しては同等の改正は行われていないため、同等のDUI対象者となるアメリカに滞在中の非移民ビザステータス者に対しては、この新たなFAMの規定をもとに、アメリカ移民局はいかなる方法でも拘束することはできません。さらには、もし対象者がすでにアメリカ国内にいる場合、領事官がビザの取り消しをどのように処理するのかも、未だ明確ではありません。

私たちは未だDUIによる逮捕や記録によるビザの取り消しが行われた実際のケースについて確認できてはおりません。しかし、この新たなFAMの規定により、すべての非移民ビザステータスの外国籍者はさらなる慎重さを持つこと、またいかなる状況でも飲酒運転を避けることが賢明と言えるでしょう。

2016年6月のビザブルテンについて

アメリカ国務省は20166月のビザブルテンを公表し、非移民ビザを持つインド人及び中国対すEB-2(修士学位以上もしくは特に優秀な能力を有する者)EB-3(技術職、専門職またその他の労働者)カテゴリーでの永住権申請におけるカットオフデートの主要な遅れについて述べています。

アメリカ移民局はインド人に対するEB-2カテゴリーでの永住権申請に対し、5発表時点から更にバックデートし、2004101以前のプライオリティデートを持つ方に対して永住権最終段階申請書(AOS申請)を受け付けるとしています。

中国に対するEB-2では、カットオフデートが201011となっています

EB-3のインド人カテゴリーについては、2004922日以前のプライオリティデートを持つ方の申請を受け付けるとしています。中国については201011日に変更となっております

ここで注意が必要なのは、外国人による雇用ベースによる永住権申請の場合、アメリカ移民局は最終段階においてビザブルテンに表示されるカットオフデートに対し、自身のプライオリティデートの日付が到達次第、申請が可能になるということです。つまり、自身の順番が来るまでは、最終段階の申請まで順番待ちの状況となるわけです。

上記に関するご質問等がございましたら、お気軽に弊所までお問い合わせくさい。

USCIS申請料に関する新提案

2016年5月4日、国土安全保障省(DHS)は、特定の米国移民局(USCIS)申請料の値上げ提案を発表しました。申請料の増価額は概ね8〜60パーセントの範囲です。しかし、EB-5グリーンカードプロセスに関連する申請料は145から186パーセントまでの範囲の増加となっており、最も顕著な増額案となっています。提案された増加の理由は、USCISが提供するサービスの総費用を補うためです。 最後にUSCISが申請料を増額したのは2010年11月23日でした。

以下は、提案された申請料金の一覧です。プレミアムプロセシング申請料($1,225)の増額は 予定されていません。申請料金が確定された際には弊所ウェブサイトにてお知らせされる予定です。

Form

現在の料金

提案額

増額率

Form1-129 Petition for Nonimmigrant Worker

$325

$460

42%

Form1-140 Petition for Alien Worker

$580

$700

21%

Form1-485 Application to AdjustStatus Includes the cost of concurrently filed Forms I-765 and 1-131

$985

$1,140

16%

Form1-765 Application for Employment Authorization

$380

$410

8%

Form1-131Application for Travel Document

$360

$575

60%

Form1-539 Application to Extend/Change Nonimmigrant Status

$290

$370

28%

Form1-90 Application to Replace Permanent Resident card

$365

$455

25%

Form N-400 Application for Naturalization – Standard Applications

$595

$640

8%

Form N-400 Application for Naturalization –Applications filed by those who meet certain requirements with respect to military service and for those with  approved fee waivers

$595

$0

N/A

Form N-400 Application for Naturalization-Applications filed by those whose family income is greater than 150% and not more than 200%of the Federal Poverty Guidelines

$595

$320

N/A

Form I-526 Immigrant Petition by Alien Entrepreneur

$1,500

$3,675

145%

Form I-924 Application for Regional Center Designation under the EB-5 Immigrant Investor Program

$6,230

$17,795

186%

Form I-924 Annual Certification of EB-5 Regional Center

$0

$3,035

N/A

Biometrics Fee

$85

$85

0%

上記一覧表が示すように、DHSが提案する新料金で重要なのはApplication for Regional Center under the Immigrant Investor Pilot Program 申請フォームI-924の補足フォーム であるI-924Aの申請料金です。このフォームは、雇用に基づく移民ビザ、第五優先(EB-5)カテゴリに使用されます。現在は申請料金 が不要な申請書ですが、新たな提案料は$ 3,035となります。さらに、これに伴い移民局は現在のフォーム名I-924Aから「Annual Certification of Regional Center」への変更も提案しています。

DHSによるもう一つの重要な提案は、フォームN-400「Application for Naturalization」、つまり米国市民権の申請における3段階のレベルの料金体系についてです。提案された3つのレベルは以下のとおりです:

第1レベル:申請費用を$ 595.00から$ 640.00へ 増額。

第2レベル:米軍に所属する申請者と 手数料免除の承認を受けた申請者への申請料金を請求しないことの継続。

第3レベル:収入がFederal Poverty Guidelines の条件を150%以上満たし、また200%以下の申請者の申請料を$ 320に減額。

最後に、 不渡小切手や生体手数料の未払いがあった場合、修正の機会を与えることなく申請受付を拒否することを禁止するルールを取りやめることもUSCISは提案しています。

2016年7月5日もしくはそれ以前にこれらの変更案に関し、我々は意見を提出することができます。この方法については以下の政府のリンクをご参照ください:

https://www.uscis.gov/news/alerts/federal-register-comment-period-proposed-uscis-fee-schedule

STEM卒業生のためのOPT24ヶ月延長に関する新ルールについて

米国の大学で STEM(Science:科学, Technology:技術, Engineering:工学, and Mathematics:数学)科目学士、修士、または博士を取得し、現在12ヶ月のオプショナル・プラクティカル・トレーニング(OPT)が終了間近の留学生について、更に OPTの期間を24ヶ月延長できることになりました

 2016510日より、国土安全保障省(DHS)は、既存のSTEM OPT17ヶ月延長ルールの代わりとなるSTEM OPT24ヶ月延長ルールを新たに開始しました。

 この新しいSTEM OPT延長を利用するには、学生は雇用主と共同で正式な研修計画書(Form I-983)を作成し留学生の学校指定の職員(DSO)の承認を得る必要があります。また、この研修計画書は学生とDSOにより6ヶ月毎の見直しを行う必要があります。

 研修計画書には雇用主による 認証が必要となる重要事項がいくつも含まれています。具体的には、 正社員、パートタイム、一時的、永久的雇用である事に関わらず、STEM OPTの学生が米国のそれら労働者の業務取って代わり行わない事、またSTEM OPTの学生と同様の職務環境にある米国の労働者と同等の給与がSTEM OPTの学生に支払われる事を承認する必要があります。雇用主は学生へ少なくとも20時間の業務を与えなければならず、また学生が無給で就労する事は出来ません。最後に、雇用者が研修計画書を遵守しているか確認するために行われる、国土安全保障省による現地訪問に同意する必要があります。

研修計画書を作成し、必要な認証を行うことに同意するほか、雇用主はSTEM OPTの学生を雇うために必要となるE-Verifyに登録する必要があります。

STEM OPTの学生が24ヶ月延長に申請できる期間は、現在のOPTが残り120日以下になった時点から、EADの有効期限までの間です。現在のEADの有効期限終了までに この延長申請書が米国移民局にて正式に受理されると、学生はEAD有効期限以降の更に180日まで、もしくは申請審査結果がでるまでの期間、米国への滞在および雇用継続が移民局より認められています

 すでに現在STEM OPT17ヶ月延長で就労している学生については、 新しい規則が開始された2016年5月10日の時点で残りの就労許可期間が150日以上ある学生には追加で7ヶ月の延長申請を行うことができます。その場合、 2016年8月8日までにDSOへ研修計画書を提出し、延長推薦を受け、その推薦日より60日以内に7ヶ月延長申請を行う必要があります。 

 STEM OPT17ヶ月延長申請が現在審査中の学生においては、学生の大学のDOSが24ヶ月延長を推薦ししたことを証明する、承認済みのI-20を追加書類とし提出することを求める質問書が移民局より発行されます。

 この新規則についてのご質問やご相談は弊所までお問い合わせください。

 STEM OPT延長ルールの詳細についてはこちらをご覧ください。

https://www.federalregister.gov/articles/2016/03/11/2016-04828/improving-and-expanding-training-opportunities-for-f-1-nonimmigrant-students-with-stem-degrees-and#h-87