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旧称:シンデル法律事務所
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L-1ビザ

L-1ビザは国際企業間の転勤者のためのビザであり、米国に支店・子会社・親会社がある米国外の企業の社員が、同種の仕事内容で米国において働く場合に適用されます。エグゼクティブ又はマネージャーとして米国で勤務する者はL-1Aビザ、Specialized knowledge(会社特有の専門能力)を必要とされて米国で勤務する者はL-1Bビザとなります。ビザの有効期限は、L-1Aが最大7年、L-1Bが最大5年です。

申請者に求められる資格として、Lビザの申請時点からさかのぼって過去3年のうち1年間継続して米国のスポンサー会社の米国以外の関連会社にてエグゼクティブ、マネージャー、または専門能力保持者として勤務している事が条件です。

L-1ビザは重役、管理職、特殊技能保持者のためのビザなので、申請者の年齢が若い場合は、その人物の能力についてさらに慎重に審査することとなり、更に時間を要すこともあります。大企業の場合でも、スーパーバイザーやそれ以下のポジションとしての派遣ではこのビザの発給は難しいと考えられています。管理職としての能力を示すドキュメントの一つとして、納税証明書や給与明細書などが挙げられます。これは所得が多いことは能力があることの裏付けとも言えるからです。

L-1ビザ

米国会社の事業形態

会社の資格 米国の事業体は、米国法人、米国以外の国の法人の米国支店、パートナーシップ、ジョイントベンチャー、個人経営のどの形態でも構いません。但し、米国にオフィスが物理的に存在していなければなりません。この米国の事業体は、申請者が勤務する米国外の事業体との間で、以下に挙げられるような一定の関係を持っていることが求められます。

  • 申請者が所有または勤務する事業体が50%以上を所有する子会社である
  • 申請者が勤務する事業体と共通の親会社を持つ関連会社(どちらも50%以上を共通の親会によって所有されていること)である
  • 申請者が勤務する日本法人の支店または駐在員事務所
  • 申請者が勤務する法人との50-50ジョイントベンチャー

元来は、米国資本の多国籍企業が、海外にいる子会社・関連会社の社員を米国で勤務させるときに使うことを想定したビザです。日本企業の場合、日本の親会社から米国の現地法人、支店、または駐在員事務所に従業員を派遣するという形態がほとんどです。最近では、日米以外にある子会社、支店、駐在員事務所に勤務している駐在員を米国に派遣するケースも増えています。Lビザの場合、申請者の国籍を問わない点が、Eビザとの大きな違いと言えます。

L-1Aビザ

ExecutiveおよびManagerとして米国で勤務する者はL-1Aビザを取得する必要があります。最初の認可で3年間有効なビザが発行され、その後2年ずつの延長が2回可能で、継続しての滞在は7年が限度となります。

L-1Bビザ

Specialized knowledgeを必要とされて米国で勤務する者はL-1Bビザを取得する必要があります。最初の認可で3年間有効なビザが発行され、2年の延長が1回のみ可能で、継続しての滞在は5年が限度となります。

L-1BからL−1Aへの切り替え

L−1Bビザ保持者が、米国滞在中にExecutiveまたはManagerに昇進した場合、L-1Aビザへの切り替えが可能で、この場合7年までの滞在が可能となります。L-1Bの者をL-1Aに切り替えるには、少なくとも6ヵ月間ExecutiveまたはManagerとしての勤務経験が必要となります。

米国での会社設立が1年未満の場合

米国での設立から1年以内の会社で勤務する場合、L-1A、L-1Bともにビザの有効期限は1年に制限されます。延長申請を希望する場合、移民局は、1年後の会社の活動状況を見て延長の可否を決定します。

同伴の家族について

配偶者および21歳未満の子供はL-2ビザを自動的に取得できますが、米国での就労はできません。子供の就学は可能です。

L-1ブランケットビザ

規定以上の社員を米国に転勤させている会社はL-1ブランケットビザの許可申請を米国移民局に対して行うことができます。会社としてブランケット申請が認められると交替社員が個人でLビザの申請を米国移民局に対して行う必要はなく、手続きも簡略化され申請手続にかかる時間も短縮されるなど、会社にとっては大きなメリットです。ブランケット申請をする資格としては、スポンサーとなる米国の会社が少なくとも1年以上ビジネスを行っており、且つ3ヶ所以上の関係会社をもつ場合で、過去12ヶ月の間に少なくとも10人のL-1ビザ社員を米国に転勤させているか、もしくは米国内にて関連会社合算で2500万ドル以上の売上がある、又は米国内で1000人以上の従業員を雇用している場合です。

主な申請提出書類

  • 派遣元である外国(日本)企業とこれを受け入れる側の米国企業(米国に所在する日本又は米国以外による現地法人など)との間に一定の所有、支配関係が存在していることを証明する書面。
  • 米国に転勤もしくは出向する社員の入社年月日、勤務の内容、同人が有する国家試験資格などの資格又は免許、同人に対して支給していた給与の金額ならびにビザ発給申請書の提出日から起算して過去3年間に連続して1年以上同人が役員、部課長職または特別な知識を有する者としト勤務していた旨を記載した派遣元の外国企業の作成による上申書。
  • 米国企業における仕事の内容や資格等について説明すると共に、同米国企業では役員、部課長職または特別知識を有するものとして勤務することを確認した上申書。

新しく設立する事業所に転勤したり、出向する場合においては更に以下の事項を証明する書類が必要となります。

  • 開設しようとしている事業所が既に必要かつ十分な事業所、又その他の事業所施設を確保している事実。
  • 派遣元である外国企業との間に親子会社関係、合併会社関係または本支店関係等が存在している事実。
  • 米国企業側がL-1ビザの申請者に対し、支給すべき資金を賄うに足るだけの十分な資金力を有しているという事実。

又、この事実を証明する資料の補足資料として、必ず米国現地事務所の開設に伴って行う対米直接投資の規模、派遣元の外国企業と受け入れ側の米国企業の両方についての組織構造と外国企業の資本金や財務状態を示した資料も必要となります。

なお、提出書類は上記だけではありません。ケースごとに求められるものは異なり、移民局が必要とするフォーム、ケースの内容をまとめたサポートレターなどその他多くございます。年々審査は厳しくなっておりますので、書類はしっかりとした準備が必要です。

H - 1B

H-1Bビザとは“専門技術者”として米国で一時的に就労する場合を対象としたビザで、 建築、エンジニアリング、会計、財務など就労ポジションに関連している米国の学士またはそれと同等の経歴を持っていることが 条件の一つとなっています。その他、H-1Bをスポンサーする会社についても最低賃金額の支払いが必要になるなど、 会社側にも様々な申請条件があります。

特徴

  • アメリカにある現地法人(米系・日系)や日本企業の子会社、非営利団体などで現地採用の際に良く適用される。
    • H-1Bビザとは、“専門技術者”として米国に一時的に就労を基に滞在する場合を対象としたビザで、延長も含めると合計6年間の滞在が可能(一定の条件をもとに7年目以降も申請可能)。
    • 申請は学業や就労などを基に既にアメリカで他のビザで滞在している場合のステイタス変更申請や、日本から直接申請する場合がある。
    • H-1B保持者がH-1Bの下で転職する際、一旦、転職先のH-1Bを正当に申請し、移民局が正式に受領すれば、認可が下りていなくても転職先での就労が可能となる(詳細はポータビリティー規則に応じる)。
  • 専門能力を持つ人が必要とされる米国の企業で働く場合で、学士号 (Bachelor’s Degree) 以上を持っている、またはその分野での経験実績が、学士号に相当することが適用条件で、その専攻 (Major) や職務経験がH-1Bポジションでの専門職種と同一のものでなければならない。
    • 短大卒や高卒の人もH-1Bポジションでの職務内容と関連した専門職務経験があれば、それを基に4年制大学の特定の学位に相当すると評価されればH-1Bの申請資格条件を満たす。
    • 移民局年度は10月1日開始であり、H-1B申請が就労開始の6ヶ月前から可能であることから毎年、新年度の新規H-1B申請は4月1日から受付開始される(移民局による最初の受付期間は4月1日から5営業日)。

H-1Bビザにあてはまる職種

医者、マーケティング・アナリスト、会計士、財務アナリスト、為替ディーラー、コンピューター・プロフェッショナル、各種マネージャー、等その他のスペシャリストが該当。

* 経験が無くても多少の訓練を得て従事出来るような職種は米国移民法の定義上、専門職とは言えない。また職務内容が大学の専攻に無ければ、専門職とは言えず、日本語を話せるということだけではH-1Bビザの意図するところの適切な要素にはならない。

H-1Bビザの年間発給上限枠

  • 新規にH-1B ビザを申請する場合、H-1B の発給数には65,000件(実質はシンガポール、チリ特別枠を除く58,200件)の年間上限数がある。アメリカ国内にある教育機関で修士号以上の学位を取得した外国人に対しては別途20,000件の特別枠がある。
    • H-1B 保持者として、同じ雇用主で雇用条件変更の申請を行う場合、H-1B を保持したまま別の会社への転職申請を行う場合、現在の職務と平行して他の職場での就労申請を行う場合はH-1B 年間枠の適用を受けない。
    • 高等教育機関またはそれと関連する非営利団体に雇用される場合、または非営利研究団体、政府の研究機関に雇用される場合も、H-1B 年間枠の適用を受けない。

新規H-1B申請後の流れ (例)

  • 申請は就労予定の6ヶ月前から可能。移民法における会計年度は10月1日より開始されるため、該当年度の10月1日を就労開始予定日とすれば前年度(6ヶ月前)の4月1日が申請受付け初日となる。
  • 新規H-1Bの申請数は、ここ数年、最初の受付5営業日期間だけで年間発給数以上の申請を受け取る傾向にあり、その場合、移民局から総受取申請数に関しての報告があり、総受取数に応じてランダムセレクション(無作為に抽選)を実施するか、また実施する場合どのように実施するか発表がある。
  • 通常枠、修士号特別枠ともに年間上限を超えた場合、ランダムセレクションがまず修士号枠より実施され、その後通常枠に対して実施される。修士号特別枠申請者の場合、修士号枠抽選で選ばれなくとも通常枠に再度回されることで2回目の当選チャンスが与えられる。
  • ランダムセレクション実施後、正式に選ばれた申請書類に対して受領書が送付され、随時、審査が行われ、認可されれば認可書が届く(認可までの期間はケースによって様々で、数日の場合から数ヶ月の場合あり)。
  • 認可を受けた場合、早くて10月1日よりH-1Bにて就労開始、またはビザ査証を受け、H-1B保持者として入国することで就労可能となる(10/1の10日前より入国可能)。

申請における注意点

  • 申請時点において雇用先となるアメリカのH-1Bスポンサー会社が決まっており、個人としても申請に必要な学位、経験は有している必要がある(アメリカ国外の学歴も学歴評価を受ける事で使用可能)。
  • 申請者個人の学位また専門的職務経験を基にした専門能力とスポンサー会社でオファーしているH-1Bポジション、職務内容の関連性。
  • スポンサー会社での職務内容は4年生大学卒以上の学位を最低必要とするようなH-1Bに求められる専門的なものであるか否かの判断が必要。
  • H-1Bスポンサー会社が会社の場所、及びポジションによって決まる最低賃金額の支払いを約束し、実施できるか否か。
  • 移民局に対し、アメリカ国内にて他のビザステータスからH-1Bステータスへのステータス変更切り替えは可能だが、申請時点及びH-1Bへのステータス変更時点でのステータスには注意が必要。
  • 現在のステータスはいつまであるのか。Cap Gap(既にアメリカでF-1等の学生ビザで滞在している申請者の場合で、そのステータスが、4月1日〜9月30日までに切れる場合のケース)があるか。申請時点でOPTは有効かどうかの確認が必要。
  • 日本などアメリカ国外から申請する場合、申請はまず米国移民局に対して申請書を提出し、認可を得た後、その認可を基に在日米国大使館・領事館にて面接を受け、ビザ査証を取得する必要がある。

OPT終了からH-1B就労開始までのギャップ

具体例: Aさん(申請者)のビザステータスはF-1(学生)。
     Aさんの20XX年度のH-1B申請が正式に移民局より受領された。
     H-1Bビザでの就労は20XX年10月1日からの開始で申請した。
     プラクティカル・トレーニングの有効期限は20XX年5月31日まで。
     プラクティカル・トレーニング終了後の帰国猶予期間は60日。

  • 4月に開始された新規H-1B申請を移民局が正式に受領した時点で、F-1のステータスが有効であれば、滞在期限を越えての滞在が可能。
  • 移民局による受領時点で就労許可書が有効な場合は、結果が出る、または認可が下りれば、ギャップのあるケースでも、9月30日までの引き続きの就労も可能。ただし移民局による受領の時点で就労許可書が切れ、グレイスピリオドに入っている場合は、滞在の延長はできてもギャップ期間の就労は認められない。
  • F-1学生は証拠として、移民局からの受領書や認可書また提出した証拠書類を学校のDSOに持参することでI-20を更新してもらえる。
  • Cap Gap中に申請が却下となった場合、却下の日から60日間のグレイスピリオドが与えられる(却下理由によっては認められない場合もある)。

OPT期間中の非雇用期間についての制限

  • 学生に通常与えられる12ヶ月のOPT期間中、合計して90日より長い非雇用期間が発生してはならない。またSTEM OPT延長期間に関しても合計29ヶ月のOPT期間(条件が整えば、36ヶ月までの取得が可能な場合もある)のうち、120日より長い非雇用期間が発生してはならない。

プレミアム(特急)審査申請について

プレミアム(特急)審査申請を行えば、申請後移民局の正式受領から15日以内に最初の結果を得ることが可能となる(特急申請費用:$1,225)。なお、プレミアム申請も通常申請もランダムセレクションの際の選ばれる確率に影響はない。

スリー・フォー・ワン・ルール

専門分野での3年の経験が4年制大学の1年分に相当するというもので、4年生大学を卒業したのと同等に見なされるには短大卒で6年以上、高卒で12年以上の専門職での職務経験が必要。その職務経験はH-1Bでのポジションと関連したものである必要がある。

* 日本での学位および職務経験は有効となるが、それらを基にして評価査定専門機関を通して評価レポートを取得する必要がある。

* 4年生の学位を持っているが、H-1Bのポジションと関連性のない専攻を取得している場合、H-1Bの職種と関連する専門分野での3~4年の職務経験と合わせることで条件を満たすことも可能。

申請に必要な主な必要書類例

1.申請費用: $325(Filing Fee)、$750または$1500(トレーニング費)、$500(Fraud Fee)、$1225(特急申請費用、オプション)。スポンサー会社によってはトレーニング費が免除される場合もある。

2. LCA(Form ETA9035E) – 会社が初めてH-1Bを申請する場合、会社のEIN番号の認証が必要。LCA申請には現在約一週間の時間を要する。

3.申請フォーム及び雇用レター

4.英文の成績証明書、卒業証明書コピー(米国外の学位、また職務経験を基にしている場合、評価査定専門機関からのEvaluationが必要)

5.現在のステータスを示す書類のコピー(I-94、ビザ査証、以前の認可書、給与明細、パスポートなど)--個々によって必要書類は異なる

6.その他、労使関係証明書類、会社情報等補足書類、等

Lビザに関する相談事例

L-ビザ申請において、会社オフィスとしてWe-workなどの共有オフィスを用いることはできるでしょうか?また、L-1でオフィススペースに求められる条件を教えて下さい。