カテゴリー別アーカイブ: 非移民ビザ

E-2ビザとEB-5ビザのどちらを申請すべきか
〜ご検討されている個人の方々へ〜

アメリカ合衆国での就労、投資、起業に関心をお持ちの方には、E-2条約投資家ビザやEB-5投資家ビザの選択肢があります。これらのビザは一見似ているように思えますが、実際には大きく異なります。本記事では、まずそれぞれのビザの基本的な概要を簡潔に解説し、その後に両者の主な相違点について説明いたします。

E-2「条約投資家」ビザ

E-2ビザ、または「条約投資家」ビザは、一般には米国に相当額の積極的な投資を行う企業の従業員、また個人の投資に対して交付される非移民ビザです。E-2ステータスを取得するためには、国籍や投資内容など、様々な条件を満たす必要があります。

E-2ビザの要件

国籍:E-2条約投資家ビザを含む、あらゆるEステータスの基礎となるのは、ビザ申請者が米国と友好条約を締結している国の国民であることです。加えて、スポンサーとなる米国現地の企業の究極の所有権の50%以上が同じ条約締結国の企業や個人によって所有されている必要があります。米国国務省は、E-2資格が適用される条約国のリストを随時更新しています。

投資:E-2ビザのステータスを得るには、申請者が米国へ渡航し、ビジネスまたは企業の運営・管理を行う意向を持つ必要があります。したがって、受動的な投資だけでは通常、E-2ビザの要件を満たしません。申請者は、ビジネスの管理・運営・発展に積極的に関与し、意思決定に関与していることや、ビジネスに対する重要な支配権を有している必要があります。

さらに、投資自体もいくつかの条件を満たす必要があります。まず、該当の投資はリスクを伴い、具体的な企業に対してコミットされている必要があります。つまり、例えば新会社のケースであれば、少なくとも事業開始間近でなければならず、企業が準備段階や投機段階にないことを示す必要があります。単に銀行口座に資金があるだけでは不十分です。投資は潜在的な利益や損失の可能性を伴っている必要があります。

興味深いことに、E-2ビザのステータスを得るための最低投資額は法的に定められていません。代わりに、「相当額の投資」であることが求められます。すなわち、米国政府は、事業の購入や設立にかかるコストとの関連、等々で投資額を審査し、それが事業の種類と規模にふさわしいかどうかを判断します。そのため、投資額を決定する際には、企業の順調な運営に対して経済的にコミットしていることを示すのに十分な金額を投じることを推奨します。

最後に、ビザ申請者には自身の生計を支えるために必要な金額をはるかに上回る収入があり、経済的にプラスの影響を与えられることが必要です。これは申請者の投資する企業が最終的に米国の労働者を雇用し、米国の雇用をさらに創出し、その後米国経済に利益をもたらすことを意味します。

出国の意思: E-2ビザは更新が可能ですが、非移民ビザであるため、申請者はE-2ステータスの満了時に米国を出国する意思を持たなければなりません。通常、この意思は書面を通じて伝えられます。

EB-5「移民投資家」ビザ

EB-5移民投資家プログラムは、ビザ申請者が米国でグリーンカード(永住権)を取得するための直接的な道筋を作るプログラムです。このビザプログラムは、米国へ多額の資本を投資する外国人を対象としており、特定の要件も定められています。

EB-5ビザの要件

国籍:EB-5ビザには国籍要件はありません。EB-5移民投資家プログラムは、いかなる国籍の申請者にも利用可能です。

投資:最低投資金額は105万米ドルです。ターゲット雇用地域(TEA)への投資の場合は、最低投資額が少し低くなり、80万米ドルとなります。TEA内の最低投資額は、田舎地域や高失業率地域(国内平均の少なくとも150%)を反映しているため、TEA外の投資額よりも低く設定されています。これらの投資額は米国国土安全保障省(DHS)によって、2024年10月1日からインフレに基づき5年ごとに自動的に調整されます。

最低投資額に加え、EB-5プログラムには雇用創出の要件もあります。EB-5ビザを取得したい申請者は、米国内に入国した後2年以内に、適格な米国労働者のために少なくとも10人のフルタイム雇用を創出することを証明しなければなりません。

EB-5投資プログラムの興味深い点は、地域センター投資によるさまざまなメリットです。議会は、投資手続きを簡素化し、より多くの投資家を誘致することで経済成長を促進するために、EB-5地域センタープロジェクトを創設しました。このプログラムの下では、複数のEB-5投資家が資金をプールし、USCISの承認を受けた1つの地域センターが運営する投資に共同で出資することが可能です。EB-5地域センター事業は、米国議会によって再認可されており、2027年までにEB-5事業に投資する新規投資家は引き続き利用できます。

TEAには主に2種類あります:田舎の地域と失業率の高い地域です。EB5ANは、両方のタイプの投資プロジェクトを提供しています。

田舎の地域のEB-5プロジェクトへの投資には、以下のような複数のメリットがあります。

  • 最低投資額の引き下げ:前述のとおり、田舎のTEAのプロジェクトでは、投資額が800,000米ドルに設定されています。
  • I-526Eフォームの優先処理により、グリーンカードの取得が迅速化される。
  • ビザ割当枠の20%を事前確保しているため、ビザ審査の遅れに巻き込まれにくく、特にインドや中国出身者にとって利点と言えます。

E-2ビザとEB-5ビザの主な相違点

E-2ビザEB-5ビザ
ビザの種類非移民/一時的移民
投資額明確な最低額はなく、法律的には「相当額」としての定めとなっているTEAなら$800,000、それ以外は$1,050,000
雇用創出明示的な要件はないが、米国経済への寄与が期待される投資後2年以内に少なくとも10人のフルタイム雇用を創出。地域センターが管理
国籍要件適用対象条約国の国籍者に限定国籍不問。全ての国の投資家に開放
処理時間数週間〜数ヶ月数ヶ月〜数年以上、ビザ待ち時間や国による差異あり(TEA投資は最長10ヶ月承認例あり)
永住権取得取得不可。期限切れ後に米国を離れる意向が必要永住権(グリーンカード)取得への直接の道筋
事業への関与積極的な関与が必要。投資した事業に深く関わる必要がある柔軟性が高い

国籍要件

  • E-2ビザは、米国と有効条約を締結している国の国民のみが対象です。ビザスポンサーとなる投資米国企業も、同国の国籍者(または企業)が究極的に50%以上所有している必要があります。
  • EB-5ビザは、全ての国の投資家に開放されていますが、出身国により処理時間や条件が異なる場合があります。

永住権取得の道筋

  • E-2ビザは非移民ビザであり、一時的な滞在を認めるもので、直接的なアメリカ市民権取得の道はありません。一般的に3~5年間の期限付きで発行され、事業の継続が認められる限り無期限に更新可能です。
  • EB-5ビザは移民ビザに分類されており、投資者に永住権(グリーンカード)を直接付与します。

最低投資額

  • E-2ビザには最低投資額の設定はありませんが、一般的には30万〜50万ドル程度の投資例が多いです。ただ業界等にもよります。投資金は、事業の成功運営を示すのに十分な額である必要があります。
  • EB-5ビザは、TEA外の場合は105万ドル、TEA内の場合は80万ドルの最低投資額が必要です。

事業への積極的関与

  • E-2ビザ保有者は、投資した米国内のビジネスの管理・運営に積極的に関与する必要があります。これは、実際のアメリカの住まいもビジネスに近い場所に限定される場合が多いようです。
  • EB-5投資者は必ずしも積極的に事業に関与する義務はなく、米国内の住む場所、働く場所も自由です。

E-2ビザとEB-5ビザに関する基本的なQ&A

:私にはE-2ビザとEB-5ビザの両方の申請資格がありますか?

A: 状況により異なります。E-2ビザは、米国と友好条約を持つ国の国民である必要があります。一方、EB-5ビザには国籍の制限がなく、どの国の国民でも申請可能です。ただし、中国やインドの市民などのように、EB-5には資格があるものの、E-2には該当しないケースもあります。

:それぞれのビザにはどのような業種が該当しますか?

A: E-2ビザは、実態のある営利目的の事業に投資することが必要です。新規設立、フランチャイズ、既存の企業は対象ですが、非営利団体や協会は対象外です。これに対して、EB-5は、投資により一定の雇用創出要件を満たすことが求められます。

自分自身で事業を開始しなければなりませんか、それとも既存の事業に投資可能ですか?

A:両方のビザとも、起業または既存の事業への投資のどちらも可能です。特にE-2ビザの場合、多くの投資家はフランチャイズや既存企業の子会社設立を選択しています。

4. 事業に積極的に関与する必要がありますか?

A: E-2ビザでは、事業の運営に積極的に関与することが求められます。一方、EB-5では、積極的な関与は必須ではなく、より受身的な関与も許容されます。

5. 米国内での居住や勤務場所について制限はありますか?

A: E-2ビザの場合、一般には自身の事業所の近くに居住し、事業運営に必要な積極的関与を維持することが望ましいです。一方、EB-5ビザには地理的な制限はなく、米国内のどこに住んでも構いません。

6. グリーンカード取得への最短ルートはどちらですか?

A: EB-5ビザは、直接的なグリーンカード(永住権)取得への道筋となります。一方、E-2ビザは非移民ビザであり、直接的な永住権取得の道ではありませんが、EB-5や他の種類の移民ビザへのステップとして利用可能です。

7. 各ビザの承認までの期間はどのくらいですか?

A: E-2ビザの取得は一般的に迅速で、数ヶ月以内に決定されることもあります。これは非移民ビザであるためです。一方、EB-5ビザの処理には数ヶ月から数年かかる場合があり、平均的には3〜5年です。さらに、EB-5はビザ待ち行列に影響されやすいですが、E-2はそれに影響されません。

8. まずE-2で申請し、その後にEB-5に切り替えることは可能ですか?

A:はい、可能です。最初はE-2ビザで渡米し、必要な要件を満たした段階でEB-5ビザを目指すことができます。

9. 過去に非移民ビザの拒否を受けたことがありますが、申請可能ですか?

A:はい、以前に非移民ビザが却下された場合でも、E-2およびEB-5の申請資格は維持されます。ただし、過去の却下理由に対処し、再度申請時に適格性を示すことが重要です。

10. 家族を同行させたいのですが可能ですか?

A:はい。どちらのビザも、配偶者および未婚の子ども(21歳未満)を同行させることができます。

11. 配偶者は米国で働くことが可能でしょうか。

A: E-2ビザの場合、配偶者はE-2Sステータスで入国し、あらかじめ就労許可が自動的に付与されます。一方、EB-5ビザの場合、配偶者はEB-5グリーンカード申請(アメリカ国内でのAOSステイタス変更申請)審査中、就労許可を申請・取得することができ、最終的にグリーンカードが発行されれば、制限なく米国で働くことが可能となります。

米国大使館(東京)の最新動向

東京にある米国大使館の最近の動向と展望について、弊所より関係者の皆様にご案内いたします。

特定の状況下において、米国大使館は要請に応じて、Form I-130(米国市民の配偶者等に対する親族請願書)の特急審査を行うことがあります。こうした特定の状況に関しては、米国移民局(USCIS)の政策覚書であるUSCIS Policy Memorandum PM-602-0043.1 の「Process for Responding to Requests by the Department of State (DOS) to Accept a Locally Filed Form I-130(国務省からの、現地提出されたForm-130の受理要請への対応手続き) 」に記載されています。

この 覚書の(c)項には、USCISが米国国務省に対し、I-130請願の受理および手続きを許可する例外的な状況について、以下の説明があります。

  1. 軍事的緊急事態:海外に駐留している米軍兵士が、新たな派遣や転勤の通知を直前で受け取った場合。この例外は、同様の職務に就くほとんどの軍人に通常適用される通知期間よりも大幅に短い場合に限り適用されます。
  2. 医療緊急事態:ビザ申請者またはビザ受益者が、緊急かつ直ちに渡航を要する医療状況に直面している場合。例えば、妊娠中であり、母子にとって渡航の遅れが健康リスクや著しい困難をもたらすケースなどが該当します。
  3. 個人の安全が脅かされる場合:ビザ申請者またはビザ受益者が、差し迫った安全上の危険に直面している場合。
  4. 資格喪失年齢が迫っている場合:ビザ受益者が、ビザの資格喪失まで数カ月となっている場合。
  5. ビザ申請者の最近の帰化:ビザ申請者が最近米国市民権を取得し、家族が元の移民ビザ面接後に新たに別の申請を必要とする場合。
  6. 子供の養子縁組:国内で養子縁組を行い、出国が迫っている場合。この例外は、子供が少なくとも2年間ビザ申請者の法的および身体的監護下にあり、かつ最終的な養子縁組判決が下された場合にのみ適用されます。
  7. 急な部署異動のお知らせ:海外在住の米国市民が、ごく短期間のうちに米国への転勤令や米国での雇用オファーの通知を受けた場合。

申請者の大半は、「急な部署異動のお知らせ」という要件に基づいて申請しています。これらのビザ申請者とそのビザ受益者は、領事区域内に居住している必要があります。これまでは、この条件による申請は比較的寛大に認められてきましたが、最近では却下のケースも増加しております。その理由の明確な説明は少ないものの、米国大使館は最近、雇用の緊急性や、その雇用が永続的なものか一時的なものかをより厳密に審査しているようです。

このような動向を踏まえ、申請を検討されている方は十分注意いただき、ご質問等がございましたら、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。

II. L-1ブランケット申請について

また、米国大使館がL-1 ブランケット申請書に記載された会社名にこれまで以上に細心の注意を払っていることに気づきました。最近、あるお客様の会社名が変更となったケースがありましたが、企業自体および関連会社に変更はなく、名称のみが新しくなったものでした。現行の規則においては、社名変更のみを理由として ブランケットの修正を義務付ける規定はございません。しかしながら、コンプライアンスと透明性の観点から、会社名に変更があった場合には、最新の情報に更新することを推奨しております。

実際に最近の事例で、会社名が変更されたにもかかわらず、その内容がI-797のブランケット承認書に反映されていなかったために、米国大使館が個人のビザ申請を却下したケースがありました。該当企業は、最新の会社名を反映させたブランケットの修正を行う必要があったのです。

仮にその後ビザが承認されたとしても、一時的なものであれ一度却下をされた経歴はESTAの申請資格に影響を及ぼす可能性があることを認識しておくことが重要です。具体的には、過去にビザが却下された経歴は、その後のESTA申請時に必ず開示しなければなりません。これを怠ると、ESTAが却下される可能性があり、その場合米国への渡航には通常のビザ申請が必要となります。

ご不明点やご質問等がございましたら、どうぞお気軽に弊所までお問い合わせください。

NEWS FROM THE GROUND
U.S. Embassy Tokyo

We would like to inform our readers of several recent trends and developments observed at the U.S. Embassy in Tokyo.

Under specific circumstances, the U.S. Embassy may expedite the adjudication of Form I-130, Petition for Alien Relative, when requested. These situations are outlined in USCIS Policy Memorandum PM-602-0043.1, titled “Process for Responding to Requests by the Department of State (DOS) to Accept a Locally Filed Form I-130.”

Section (c) of this memorandum describes exceptional circumstances under which USCIS may authorize the Department of State to accept and process an I-130 petition:

  1. Military emergencies: When a U.S. service member stationed abroad receives notice of a new deployment or transfer with minimal advance notice. This exception applies when the notice given is significantly less than what is typically provided to most service members in similar positions.
  2. Medical emergencies: When a petitioner or beneficiary faces an urgent medical situation requiring immediate travel. This includes cases where pregnancy presents health risks or extreme hardship to the mother or child if travel is delayed.
  3. Threats to personal safety: When the petitioner or beneficiary is facing an imminent threat to their personal safety.
  4. Approaching age-out: When a beneficiary is within a few months of aging out of eligibility.
  5. Recent naturalization of the petitioner: When the petitioner has recently obtained U.S. citizenship, and the family needs a new, separate petition after traveling for the original immigrant visa interview.
  6. Adoption of a child: When the petitioner has legally adopted a child domestically and faces an imminent departure. This exception applies only if the child has been in the petitioner’s legal and physical custody for at least two years and a final adoption decree has been issued.
  7. Short notice of position relocation: When a U.S. citizen living and working abroad receives a job transfer or an offer of employment in the United States with very little notice.

The majority of applicants submit requests under the “short notice of position relocation” criterion. These applicants, along with their beneficiaries, must reside within the consular district. Historically, requests under this criterion have been granted quite liberally. However, recently, we have observed an increase in denials, often without explicit explanations. It appears that the U.S. Embassy is now scrutinizing more closely the immediacy of the job offer and whether the employment in the U.S. is permanent or short-term to determine if the expedite criteria are met.

We advise applicants to be mindful of these developments and to consult with us if they have any questions regarding this area.

II. L-1 Blanket Petitions
We have also noticed that the embassy is paying closer attention to the company names listed on L-1 Blanket petitions. Recently, a client experienced a corporate name change; the company and its relationships remained unchanged, except for the new name. Under current regulations, there is no strict requirement to amend the blanket petition solely due to a name change. Nevertheless, we recommend updating the blanket to reflect the new name as a best practice for compliance and clarity.

Recently, the embassy refused a visa for an individual whose company’s name had changed but was not reflected in the I-797 Blanket approval. The company was required to amend the blanket to show the updated name.

It is important to remember that even if a visa is ultimately approved, a denial—temporary or otherwise—can impact ESTA eligibility. Specifically, any previous visa denial must be disclosed on subsequent ESTA applications. Failure to do so may lead to ESTA denial, necessitating a regular visa application for travel to the United States.

For further guidance or assistance, please do not hesitate to contact us.

トランプ大統領による新たな渡航禁止令の法的解説:移民法の観点から

I. はじめに

2025年6月4日、アメリカ合衆国大統領ドナルド・J・トランプは、「大統領令」(以下「本大統領令」)を発し、19カ国の国民に対し入国に関する広範な制限を課す措置を採択した。これらの規定は、発効日時を2025年6月9日午前0時1分とし、主に移民及び非移民ビザの取得並びに法的入国に対し制限を行うものである。本大統領令は、移民・国籍法(INA)第212(f)条及び第215(a)条に基づき、これらの措置を合法的に実施する枠組みを構築している。


II. 法的根拠

本大統領令は、以下の2つの規定に依拠している。

  • 212(f):国家の利益を鑑みて、全国民の安全を保護するために、大統領に対し、外国人の入国を一時的に停止または制限する権限を付与している。
  • 215(a):国家安全保障や公共の安全を保つ観点から、ビザの発給やその他の入国書類の発行を制限できる権限を規定している。

これらの権限行使は、トランプ政権が過去に実施した類似の渡航禁止措置と同様の法的根拠に基づくものである。


III. 制限の範囲

A. 全面入国・ビザ発給禁止対象国

本大統領令の公布と同時に、以下の12カ国の国民に対して、米国への入国およびビザ発給の全面禁止が適用される。

  1. アフガニスタン 
  2. ミャンマー(ビルマ) 
  3. チャド 
  4. コンゴ(コンゴ共和国) 
  5. 赤道ギニア 
  6. エリトリア 
  7. ハイチ 
  8. イラン 
  9. リビア 
  10. ソマリア 
  11. スーダン 
  12. イエメン

範囲: これらの国のパスポート所持者は、いかなるビザの種類や旅行目的に関わらず、いかなる状況下でも米国への入国が禁止される。これには、合法的な永住権を得るための移民ビザ、短期滞在、就労、留学、家族再会を目的とした非移民ビザすべてが含まれ、入国待機中の渡航者も対象となる。

B. 部分制限対象国

次の7カ国については、一部制限が適用される。

  1. ブルンジ 
  2. キューバ 
  3. ラオス 
  4. シエラレオネ 
  5. トーゴ 
  6. トルクメニスタン 
  7. ベネズエラ

範囲:

  • 移民ビザ:すべての申請者に対して禁止。 
  • 特定非移民ビザ:B-1/B-2(商用・観光)、F・M(学生)、J(交流訪問)ビザに対して限定的に制限。 
  • 免除対象:H-1B(専門職)・L-1(企業内転勤)・K-1(婚約者)など他の非移民ビザ申請者は、明示的に制限の対象外とされている。

備考: 制限の対象とならないカテゴリーの申請は引き続き受理されるが、領事官は法的権限の範囲内で必要に応じてビザの有効期限短縮を行うことができる。

【IV. 適用範囲および制限事項】

  • 将来的適用(Prospective Application)
    本規定は、施行日以降に発行されたビザ及び、施行日以降に米国外にいる個人に対してのみ適用されるものであり、遡及適用を意図していない。
  • 遡及的効力の否定(Non-Retroactivity)
    施行日前に発行されたビザは、ただちに取り消されることはなく、また、本大統領令のみに基づき失効しないものとする。2025年6月9日以前に有効なビザを所持し、同時点で米国内に滞在している者は、そのビザの有効性を引き続き保持する。
  • 米国内にいる者への適用(Inside the United States)
    施行日前に米国内に合法的に在留し、有効なビザを所持する者については、本規定の影響を受けず、そのビザは引き続き有効かつ有効に機能する。

【V. 例外規定(Section 4(b))】
本大統領令は、特定の個人カテゴリーを保護するための例外規定を明示しており、以下の者はビザ制限の対象外とされる。

  • 合法的永住者(LPR
  • 難民、庇護申請者、拷問防止条約(CAT)に基づく保護を受けている
  • 外交官及びNATO代表
  • 非指定国の旅券を利用する二重国籍
  • 米国市民の配偶者、未成年子女、21歳以上の親族(証明書類の提出を要す
  • 海外で養子縁組された子ど
  • アフガニスタン特別移民ビザ(SIV)保持者及び米国政府職員のSIV所持
  • イランにおいて迫害を受けている民族・宗教的少数
  • 主要な国際スポーツイベント(例:オリンピック、ワールドカップ等)に参加するアスリート、コーチ、スタッフ及びその直系親
  • 米国務長官または司法長官が国家の利益に照らして入国を認めると判断した

これらの例外規定に適合する者は、ビザ取得及び入国の権利を引き続き有するとみなされるが、追加の審査や安全検査が行われる場合があり得ることに留意する必要がある。

この大統領令は、対象国からの渡航および移民を制限することにより、経済に著しい影響を及ぼすことが予想される。2022年には、対象国からの非市民者が少なくとも298,600人米国に入国したとされている。翌年には、対象国の国民を有する世帯が合計で32億ドルの所得を得、7億1,560万ドルの連邦・州・地方税を納付し、25億ドルの消費支出力を保有していた。対象国のビザ制限によりほぼ全面的に対象となった国からの非市民者は69,700人であり、その多くはハイチ、アフガニスタン、イランからのものであった。一方、部分的な渡航禁止対象国からの非市民者は約22만8,900人であり、その大半はキューバおよびベネズエラからのものである。

さらに、2023年時点で、これら19か国からの在留者は約430万人に上り、そのうち2.4百万人は米国市民に帰化している。多くは海外にいる家族と再会できずにいる一方、国際的な旅行を計画していた者の中には、帰国や再入国の際に障壁や選択肢の制約を経験する者もいると考えられる。これらの措置の長期的な影響は、経済的な影響力を持つこれらの集団に対して甚大である可能性が高い。2023年時点で、これらの集団の半数以上がフロリダ州またはカリフォルニア州に在住していた。

米国国務省がJ・F・Mビザ申請面接を一時停止に

施行日:2025年5月27日より、米国国務省はF、M、Jビザの新規面接予約の受付を一時的に停止する措置を発令し、これにより国際交流および教育分野に影響が及んでいます。

指示内容

  • この一時停止措置は、マルコ・ルビオ国務長官名義の公電を通じて、全米の大使館・領事館に通達されました。
  • 内容は次の通りです:
    • “さらなる指針が発表されるまで、学生・交流訪問者(F、M、J)ビザの新規面接予約枠を追加しないこと。”
    • 目的:運用状況の見直しを行うとともに、全ての学生・交流訪問者ビザ申請者に対するソーシャルメディア審査の拡充・導入準備を実施するため。

措置の適用範囲と対象者

  • 当初は高等教育に限定されていましたが、現在はすべてのJ-1プログラムカテゴリーに適用されています。
  • 対象:次のような幅広い関係者に影響が及びます。
    • 非移民の訪問者
    • 米国内の中等・高等教育機関
    • オペアプログラムを利用するホストファミリー
    • 研究・開発・研修・季節労働を目的としたJビザ利用企業

経済的・社会的影響

  • 非営利擁護団体であるAlliance for International Exchangeによると、海外からの留学生がいなくなると米国経済は年間約438億ドルの損失をもたらすことになります。また、米国内では年間約40万件近くの雇用が留学生に依存しているとのことです。

運用上の注意点および実務的課題

  • 公電では「既に予定された面接は継続可」と記されていますが、公電が発行された後の報告によれば、すでに確定していた面接がキャンセルされた例も出ています。
  • 一時停止の期間は未定で、同省は「数週間から数カ月ではない」一時的な停止を見込んでいますが、以下の理由により遅れる可能性があることを認めています:
  • 予測される遅延理由:
    • 新たなソーシャルメディア審査手続きの開発およびスタッフの研修のため。
    • 既存の領事館員不足による、手続の遅延やミスが発生する可能性があるため。
    • 人員不足による連邦職員への負担増加がJ・F・Mビザに関する対応に支障をきたす恐れがあるため。

法的・手続き上の懸念事項

  • 歴史的に、裁判所は米国外で起こった外国の活動に関する訴訟については、その訴えに関する訴訟を審理する法的権限を一般的に有してきませんでした。
  • 別のビザ(例:B-1、B-2)で米国に入国し、入国後にJ、F、またはMビザにステータスを変更することは、以下のようなリスクを伴います:
    • 訪問者ビザ取得のための申請が虚偽または虚偽申告とみなされ、ビザの発給拒否や入国拒否、将来的な移民申請の不承認につながる可能性がある。
    • 訪問者ビザの手続遅延は、優先順位の高いJ・F・Mビザより長引く可能性がある。
    • 訪問ビザ申請者は短期の観光・商用目的であることに加え、帰国の意思を明確に示す必要がある。入国後のステータス変更を試みることにより領事が疑念を抱く恐れがある。

今後のビザ拒否の根拠予測

  • 今後ビザ申請の面接予約が再開されたとしても、新たなソーシャルメディア審査が移民国籍法(INA)第214条(b)項に基づくビザ却下の根拠となる可能性が予測されます。
  • 同項では以下の点が定められています:
    • 移民意図の推定
      • 申請者には「移住意思がある」とみなされる推定があり、それを覆すためにも自国への強固な結びつきを証明する必要がある。
      • 申請者が非移民の意思を十分に証明できない場合や、審査基準を満たさない場合は、ビザが却下される可能性がある。
    • INA第214条(b)項による決定は再審査不可とされ、詳細な理由付けを必要としません。また、再審査請求は一般的に元の領事官に差し戻されますが、成功の見込みは非常に限られています。

現状と展望

・現時点において入手可能な情報は限られており、予測は不確実性を伴っています。

・今後数週間のうちに、運用面への影響が明らかとなり、教育・交流分野の戦略的対応の方向性が見えてくると予想されます。

重要事項
本措置はJ-1プログラムの全面禁止を意味するものではなく、特定の条件下においてビザは引き続き発給されます。
例としては、以下のケースが含まれます:

  • 既に面接予約をしている申請者。 
  • カナダ市民およびカナダ国籍の申請者。 
  • 現在米国に滞在しており、J、F、またはMビザへのステータス変更を申請中の者。

ビザ申請者への推奨事項

  • 自身のソーシャルメディアアカウントを確認し、その投稿内容が米国の利益および安全保障の優先事項と一致していることを確認すること。 
  • J、F、M 各種ビザプログラムは、Fビザが1951年、Jビザが1961年に導入されて以来、長年にわたってさまざまな困難を乗り越えてきた実績があります。そのため、今回のような状況も忍耐強く対応するべきです。

結論

  • これらのプログラムは超党派の政治的支持を受けており、米国の教育の質の向上と経済の活力にとって、引き続き重要な役割をはたしています。
  • 米国国務省は、現時点で手続き上の遅延があるものの、引き続き同制度の運営と発展に尽力する意思を有しています。

米国からの海外旅行前に外国籍の方が知っておくべきこと

米国を離れて海外に旅行することは、再入国の規定、ビザの有効性、または入国の条件について不明点が多い外国籍の方にとってストレスとなる場合があります。人員削減や米国ビザの事務手続きの遅れにより、米国への帰国が遅れることもあります。学生、派遣社員、永住者、旅行者のいずれであっても、適切な準備が米国への帰国時の問題回避の鍵となります。以下に、旅行前に知っておくべきポイントをまとめました。

非移民ビザ保持者:F-1H-1B、その他

学生(F-1)、専門技術者(H-1B)、交換研修者(J-1)などの非移民ビザ保持者は、旅行前に適切な書類が揃っているかを確認する必要があります。一般的な要件の一つは、有効なビザスタンプであり、これは米国への再入国に必要です。ビザの有効期限が切れている場合、米国に戻る前に海外の米国領事館または大使館で新しいビザの申請を行う必要があります。

F-1ビザの学生にとって重要な書類は、過去12ヶ月以内(オプショナル・プラクティカル・トレーニングの場合は6ヶ月以内)に指定学校職員(Designated School Official “DSO”)から渡航の承認を受けた有効なI-20フォームです。H-1Bビザ保持者は、継続的な米国での雇用を証明するために、I-797承認通知と最近の給与明細のコピーを携帯する必要があります。また、F-2やH-4などの扶養ビザ保持者は、主たるビザ保持者が有効なステータスを保持していることを確認する必要があります。

例えば、米国の大学に在籍しているF-1学生で、海外旅行を計画している場合、米国を出発する前にF-1ビザがまだ有効であることを確認し、I-20に新しい渡航署名を取得する必要があります。ビザの有効期限が切れている場合は、海外の米国領事館または大使館でビザ更新の予約を行う必要があり、人員削減や米国ビザの事務手続きの遅れにより、米国への帰国が遅れる可能性があります。

訪問者(B-1/B-2ビザ)の旅行に関する注意事項

訪問者ビザ(ビジネス用のB-1または観光用のB-2)で米国に滞在する外国籍の方は、海外旅行と再入国の際に特に注意が必要です。これらのビザは米国への入国を保証するものではなく、税関・国境警備局(CBP)の職員が入国資格を判断するためです。

米国を離れる旅行者は、自身のビザが再入国のために有効であること、許可された期間を超えて滞在していないことを確認する必要があります。ビザの超過滞在(オーバーステイ)は、わずかな期間でも将来の米国ビザ申請において問題を引き起こす可能性や再入国を拒否されるリスクがあります。

米国の永住者(グリーンカード保持者)

永住者(LPR)の場合、渡航の自由度は高くなりますが、再入国の条件に注意を払う必要があります。米国への再入国には、有効なグリーンカード(フォームI-551)が不可欠です。グリーンカードが期限切れの場合、LPRは渡航前に更新する必要があります。

米国を長期間不在にすることも問題を引き起こす可能性があります。LPRが国外に1年以上滞在すると、ステータスを放棄したと見なされることがあります。これを避けるために、長期旅行を計画しているLPRは、米国を出国する前に再入国許可証(最大で2年間有効)を申請する必要があります。

米国の永住者として、何らかの理由で6ヶ月以上国外に滞在した場合、問題を避けるために、グリーンカードが有効であることを確認し、納税申告書や公共料金の請求書など、米国との継続的な結びつきを証明する記録を保持する必要があります。これにより、米国への帰国が円滑に進むでしょう。

旅行者全般への最終的なアドバイス

以下はすべての旅行者にあてはまる注意点です:

  1. ビザの有効性を確認する: ビザおよび必要な渡航書類が最新のものであることを確認してください。
  2. 審査時間を理解する: ビザ更新が必要な場合、米国の領事館での手続きにかかる時間が延びる可能性を考慮して計画を立てましょう。
  3. 適切な書類を携帯する: 移民関連の書類、雇用証明書(該当する場合)、および米国との結びつきを証明する書類のコピーを用意してください。
  4. 旅行制限を監視する: 再入国に影響を及ぼす可能性のある国ごとの旅行制限や健康要件を把握しておきましょう。現在の米国政府の方針は頻繁に変更されるため、十分な事前通知がない場合があります。

これらの予防策を講じることで、外国籍の方々は海外旅行をし、米国への帰国の準備を万全にすることができます。

D/S(滞在期間)が記載されたI-94カードを持っている場合、F-1またはM-1ビザでのオーバーステイは資格喪失を意味するのか?

F-1またはM-1ビザを保持し、「D/S」(滞在期間)表記のあるI-94カードを持っている場合、オーバーステイがその個人が資格喪失であることを示すかどうかを確認することが重要です。

20年以上にわたり、米国市民移民サービス(USCIS)は、D/S表記のあるF-1ステータスの個人は資格喪失とは見なされず、したがって3年および10年の滞在禁止条項の対象とはならないと主張してきました。ただし、次のいずれかが行われた場合を除きます:(1) USCISが移民ビザや非移民ビザ申請の審査過程において明確にそうであると判断した場合、または(2) 入国審査官がそのような判断をした場合。いずれの場合も、資格喪失の決定およびその結果生じる不法滞在の判断は、決定日またはその翌日から始まります。この原則は、USCISの2009年の不法滞在の統合に関するガイダンス(ULP)に明記されています。

上記とは別に、USCISはウェブサイトの中で次のように述べています。

SEVIS(学生および交流訪問者情報システム)が抹消された場合、資格違反による抹消においてはグレースピリオドが与えられないため、表向きにはその個人が資格を喪失したことを示唆しています。詳細については、以下のリンクを参照してください:https://studyinthestates.dhs.gov/sevis-help-hub/student-records/completions-and-terminations/terminate-a-student。

なお、学生ビザの失効がSEVIS記録の抹消または資格違反の特定の根拠として使用されたことは歴史的にありません。

指定校担当者(DSO)はSEVISで記録抹消の原因を確認できますが、その原因によっては、学生およびその扶養者がアメリカ合衆国を出国するか、または再申請を行うためにグレースピリオドが適用される場合があります。ただし、資格違反による抹消の場合、猶予期間は存在しないことを強調することが重要です。さらに、F-1学生がアメリカ合衆国を出国し、新たにF/M/Jビザを取得した後に再入国を希望する場合、現在のアメリカの領事館で実施されている厳重な審査を考慮すると、そのビザが発給される可能性は極めて低いと考えられます。

これらの規則に対する長年の解釈は、トランプ政権によって精査され、一方的に変更される可能性があるようです。現時点では、許可される行動およびアドバイスに関する現在のコンセンサスには不確実性が残っており、この進行中の問題を注意深く観察することが重要です。

2026年度H-1B初回キャップ登録選考プロセスに関する最新情報

USCIS(米国移民局)よりH-1B選考に関する発表がありましたので、以下のとおりお知らせいたします。

2026年度H-1B初回登録選考プロセスが完了しました
公開日:2025331

米国移民局(USCIS)は、2026年度のH-1B年間枠(H-1Bキャップ)の割当て上限数に達する電子登録を初回登録期間中に受理したことをお知らせいたします。この登録には、米国修士号枠(マスターズキャップ)も含まれています。適切に提出された登録に基づいて、必要な数の受益者が無作為に選定され、選ばれた受益者全員に対してH-1Bキャップ対象の申請を提出する資格があることを通知しました。登録者のオンラインアカウントには、登録状況が表示されます。詳細については、H-1B電子登録プロセスのページをご覧ください。

2026年度のH-1Bキャップ対象申請(マスターズキャップ対象申請を含む)は、選ばれた受益者のために、有効な登録に基づき、2025年4月1日よりUSCISに対して提出することができます。選ばれた受益者の登録を持っている申請者のみが、2026年度のH-1Bキャップ対象請願書を申請することができます。H-1Bキャップ対象申請は、該当する選考通知書に示された提出期間内までに提出場所 (移民局が指定する申請場所)またはオンライン上のmy.uscis.govに提出されなければなりません。H-1Bキャップ対象申請の提出期間は、少なくとも90日間で、申請者は、2026年度H-1Bキャップ対象申請書に選考通知のコピーを添付しなければなりません。また、申請者は、受益者を特定するために、登録時に提示された有効なパスポートまたは渡航証明書を提出する必要があります。有効な登録に基づいて選ばれた受益者の申請を行う申請者は、依然として申請承認のための適格性を証明する証拠を提出するか、その他の方法で資格を証明しなければなりません。これは、登録および選考は、H-1Bキャップ対象申請の提出資格にのみ関連しているからです。

今後、USCISから実際の申請数および選考結果が発表される予定です。続報をお待ちください。

レイクン・ライリー法

トランプ政権の強硬な移民政策を強調する法案〜

2025年1月22日に、レイクン・ライリー法(S.5)が下院で可決され、ドナルド・トランプ大統領に署名のために送付されました。この法案には、3つの物議を醸す移民規定が含まれており、大きな注目と関心を集めました。

特定の犯罪で起訴された外国人の強制収容

レイクン・ライリー法の第2条は、以下の外国人の強制収容を義務付けています。

  1. 以下の法律条項のいずれかに該当し、米国への入国が認められない者:
    • INA §212(a)(6)(A): アメリカ合衆国に入国許可または仮釈放を受けずに滞在している外国人を入国拒否とする。
    • INA §212(a)(6)(C): (i) 詐欺または故意の虚偽申告によって移民給付を取得した外国人、または (ii) 州または連邦の給付を得るためにアメリカ市民権を虚偽申告した外国人を入国拒否とする。
    • INA §212(a)(7): 入国申請の時点で必要な入国書類を所持していない外国人を入国拒否とする。
  2. 窃盗、強盗、万引き、法執行官への暴行、または他者を死亡させるまたは重傷を負わせる犯罪を含む犯罪で起訴されたり、逮捕されたり、有罪判決を受けたり、または犯罪を犯したことを認めた外国人。

レイクン・ライリー法が制定されれば、アメリカ合衆国移民・関税執行局(ICE)は、指定された犯罪で起訴されたいかなる個人も、関連する移民国籍法(INA)の規定に基づいて入国拒否であると見なされる場合に限り、その個人を強制収容することが義務付けられます。

個人が入国を許可されずにアメリカ合衆国に滞在しているかどうかの判断は比較的簡単ですが、後者の二つの入国拒否事由の適用には複雑さが伴います。**INA §212(a)(6)(C)**は、州または連邦の便益を得るために米国市民権を虚偽申告したことのあるすべての個人を入国拒否とします。これには、運転免許申請の際に投票登録をしたり、自らを米国市民と偽ってI-9フォームを完成させたりした者が含まれます。さらに、この項目は、不正な手段または故意の虚偽申告によって移民給付を取得した個人にも適用されます。特定の状況下では、アメリカに合法的に滞在している個人がこの理由により入国拒否と見なされることもあれば、同時に承認された免除を保有している場合に、入国許可がない状態で国に留まることが可能な場合もあります。このため、すでにこの理由に基づいて入国拒否とされている個人のみが、関連する犯罪で起訴された際に強制収容の対象となるのか、あるいは国家安全保障省(DHS)が関連する犯罪で逮捕された外国人の潜在的な入国拒否について調査する義務があるのかは不明です。

最後の入国拒否事由である**INA §212(a)(7)**は、入国の際に必要な入国書類(ビザやパスポートなど)を所持していないことを理由に個人を入国拒否とします。この入国拒否事由は、通常、個人がアメリカ合衆国に入国しようとする際に適用され、一般的には入国地点でのみ関連します。特に、**INA §212(a)(7)は、すでにアメリカ合衆国に存在する個人に適用される迅速な退去手続きの状況にのみ関連します。さらに、入国許可または仮釈放されずにアメリカ国内に物理的に存在する個人はすでにINA §212(a)(6)(A)に基づく入国拒否の対象となっているため、レイクン・ライリー法INA §212(a)(7)**が含まれることは、その適用性と関連性に疑問を投げかけるものと言えます。

なお、免除は**INA §212(a)(7)**に基づく入国拒否を克服するためには利用できないことに注意が必要です。この入国拒否事由に対処するためには、個人は再申請を行い、必要な書類を提出することのみが可能です。

基本的に、これらの規定に該当するすべての者は強制収容されなければならない(拘置所または収容センターに入れられる)ということを意味します。この法案が可決される前は、危険でない人々は、公聴会やCBPに出頭するよう指示されるだけで、パスポートは保持され、拘留されることはありませんでした。これは新しい政権下で起こった大きな変化です。

犯罪歴やその他の入国拒否事由がある場合、どうすればアメリカに入国できますか?

移民国籍法(INA)第212(d)(3)節に基づき、国土安全保障省(DHS)は、過去に追放されたか、または他の理由で入国が認められないとされる個人に対して、多くの入国不可事由を免除する権限を有しています。ただし、その場合、永住権へのステータス変更を申請していないことが条件です。したがって、犯罪行為によりアメリカから追放された個人でも、212(d)(3)免除を伴った国境通行証 (Border Crossing Card)の申請する資格があります。さらに、犯罪歴がないが、国外退去や自主的な出国など、複数の移民法違反歴ある場合も、212(d)(3)免除を利用して非移民ビザ(B-1、B-2ビザ、または就労ビザなど)を申請することができます。

212(d)(3)免除で免除されない入国拒否事由

重要な点として、INA第212(d)(3)免除は、テロリズムや安全に関する入国不可事由には適用されません。幸いなことに、このようなケースは、過去に国外退去処分を受けた者を含め、ほとんどの申請者にとって稀なケースです。より重大な懸念は、212(d)(3)の免除が、アメリカに移民する意思があることを理由として、第214(b)条に基づいて却下されたケースを払拭するためには利用できないということです。このシナリオは、個人が観光ビザまたは国境通行証を申請し、申請者が米国入国後に母国に帰らないことを領事が懸念して却下された場合に発生します。その結果、212(d)(3)の免除は、母国との結びつきを十分に証明出来ないために申請が却下された個人には効果が無いと言えます。

212(d)(3)免除の申請プロセス

過去に国外退去処分を受けたことある人や犯罪歴のある人の多くは、アメリカの領事館で非移民ビザの申請と併せて212(d)(3)免除の申請をします。国務省は212(d)(3)免除の申請者に対して追加の書類や手数料を要求しませんが、領事に提出する前に免除申請書を徹底的かつ専門的に準備することが重要です。免除申請を成功させるには、免除申請を裏付ける法的及び事実的根拠を明確かつ説得力のある形で明示したカバーレターを添付する必要があります。また、カバーレターには、明確に相互参照が出来るよう、きちんと整理された補足書類を添付する必要があります。

212(d)(3)免除の審査と決定

212(d)(3)免除の申請が領事館に提出されると、領事による最初の審査が行われます。この審査には、申請者との面接および免除申請書類一式の評価が含まれます。領事官が免除の許可を推奨する場合、その案件は Customs and Border Protection Admissibility Review Office(ARO)に転送されます。一方、領事官が免除を推奨しない場合、申請者は免除申請を国務省に提出し、助言的意見を求めるよう要求することで限定的な不服申立を行うことが可能です。

INA第212(d)(3)に基づく入国拒否の免除申請は、数週間で処理される場合もありますが、申請者はプロセスが1ヶ月以上、または6ヶ月に及ぶ可能性があることを覚悟しておく必要があります。免除が承認された場合、その非移民は一度だけの米国訪問を許可される場合もあれば、複数回の入国が認められる可能性もあります。

プロセスは以下の通りです:

  1. 対象となる免除が存在するか確認する。
  2. 免除に関する基準が満たされる可能性があるかを判断する。
  3. 免除申請書類一式を作成する。
  4. 該当するビザ(例:B-1/B-2ビザ)の面接を大使館で受け、同時に免除申請書類一式を提出する。
  5. 領事官は、CBPに申請書を送り、承認または否認を推奨します。通常、CBPは6ヶ月以内に決定を下します。承認された場合、領事官は免除が承認された旨の注釈を付けた米国入国ビザを発行します。

注意事項:本記事は一般的な情報を提供するものであり、法的助言とみなされるべきではありません。移民法は変更される可能性があるため、現在の規定を確認し、法律の専門家に相談する事が大事です。

米国大使館の最新情報:東京・大阪におけるビザ手続きの状況

ビザ発行の現状 

最新の情報によると、東京および大阪の米国領事館は通常レベルのビザ発行を再開しており、パンデミック前の状況にほぼ戻ったことを示しています。この改善は、ほとんどのビザカテゴリーにおいて審査にかかる時間や予約の可否に関連しており、ビザ申請プロセス全体におけるポジティブな傾向を反映しています。

Eビザの審査に関する最新情報

ビザの審査は全般においては進展が見られるものの、Eビザのような特定のカテゴリーには依然として課題が残っています。特に、東京および大阪の領事館では通常レベルでのビザ発行が再開されていますが、Eビザ申請の審査においては世界的にばらつきが見受けられます。新規にEビザ登録を希望する企業は、領事館[email protected] まで電子メールにて初回登録手続きを行う必要があります。

以前は、新しいEビザ申請の審査プロセスに要する期間は約6~8週間程度でした。しかし、東京および大阪での申請者によると、過去数ヶ月の間に状況は変わっており、現状審査に伴う時間は約3~4ヶ月に延長されています。したがって、Eビザ申請のタイムラインを考慮する際には、申請者とその弁護士が事前に計画を立てることが賢明な判断だと言えるでしょう。

両領事館の審査方法には大きな違いがあります。大阪領事館は、不足している書類の要求を迅速に電子メールで送信する傾向があります。逆に、東京の大使館は審査の進み具合が遅く、面接を予約する前に書類を要求してくることが多いです。

大使館とのコミュニケーションには課題が伴うことがあります。申請に関する問い合わせは、申請者の大使館のビザアカウントを通じて行う必要があり、大使館のカスタマーサービスの質は必ずしも満足のいくものではないと報告されています。そのため、明確な回答を得るためは何度も問い合わせをする必要があり、多くの場合カスタマーサービスセンターに連絡することが求められます。

大使館のウェブサイトには、「すべての企業は、Eビザ企業としての資格を維持するために定期的な情報更新の対象となります」と明記されています。そのため、東京の米国大使館および大阪の米国領事館は、更新が必要な際には直ちに登録された企業に連絡します。重要な点は、企業は特に要求されない限り、大使館または領事館に財務書類やその他の書類を提出する必要がなくなったということです。

過去の政策においては、Eビザ保持者がいない企業は再登録を義務付けられていましたが、この要件は見直されたようです。現在、大使館は面接プロセスにおいて企業の組織体制および財務状況の更新のみを要求すると述べています。したがって、特に、前回のEビザ申請から1年以上が経過している場合には、弁護士は面接に先立ち、財務諸表や企業の組織体制の最新情報を準備することが推奨されています。

国籍要件の影響

Eビザの取得資格に関する重要な側面の一つとして、外務省マニュアル (FAM) における国籍証明が挙げられます。証券取引所に上場されている企業は、取引されている管轄区域の国籍に属すると推定されます。この推定は、企業が所有権および運営構造に基づいてEビザ申請資格を決定する上で、重要な役割を果たします。

しかし、この推定は絶対的なものではないことを強調することが重要です。領事官(CO)はこの推定を超える裁量権を保持し、特に外国人が保有する発行済み株式が全式総数の50%未満である場合には、企業の国籍を証明する書類を要求することがあります。

最近の経験から、企業の国籍を評価するために用いられる独特な手法が明らかになりました。例えば、最近の221(g)通知では、非上場の日本企業が米国企業の51%を保有しているという型破りな計算が示されました。直接の親会社は100%日本企業である一方、最終的な親会社は日本企業の所有権が75%しかないことが判明したため、状況はさらに複雑になりました。その結果、領事は米国企業の国籍保有率を調整し、最初の51%から25%を引いた、38.5%のみを日本所有と判断しました。これは、法人の最終的な所有者まで国籍を証明する書類を提出することが、ビザ申請手続きを円滑に進める上で不可欠であることを、改めて認識させるものです。

第3国の国民 (サードカントリーナショナル)

東京の大使館では、領事地区内に居住しているか否かにかかわらず、第三国人もビザの申請が可能です。大使館のウェブサイトには、こうした申請に適用される基準が明確に示されており、ビザ手続きの包括性を促進しています。

E TDYビザ

E TDYビザカテゴリーは、ビジネス関連の目的で米国への一時的な入国を必要とする外国人を対象としています。具体的には、会議への出席、研修への参加、または雇用主の業務運営に不可欠なプロジェクト作業の実施が含まれます。E TDYビザで認められる滞在期間は、一般的に、特定の業務やプロジェクトの期間によって決まるため、ビザ申請者は申請の過程において、滞在予定期間を明確にする必要があります。

このビザ分類は、米国内における新規プロジェクト、研修、または特定の業務に関与する状況で特に有用です。一般的に、E TDYビザは1年から2年の期間で発給されますが、通常のEビザと同様に、5年の期間で承認されることも頻繁にあります。このため、E TDYビザは東京および大阪の管轄内において、欠かせないツールとなっています。

L-1 ビザ

L-1ビザカテゴリー、特にL-1ブランケットビザは、日本で事業を展開している企業にとって、依然として有力な選択肢です。東京および大阪の両領事館では、L-1ブランケットビザを日常的に発行しており、国際的な組織に対し、効率的な手続きを可能にしています。申請者は、他のビザカテゴリーの手続きと同様に、大使館のウェブサイトを通じて予約を行うことができます。

しかし最近、L-1ブランケットの申請を拒否されたビザ受益者に対して、米国領事官が米国移民局(USCIS)を通じて通常のL-1ビザの申請を勧めているという報告が寄せられています。米国領事官は、I-797の通知を提示した場合、こうしたケースは承認される可能性が高いことを示しました。この事例に関して、他の大使館では前例を耳にすることはありますが 、東京領事館にとっては新しいアプローチであると言えます。

B-1 ビザ

B-1ビザに関しては、他の大使館と同様に、面接枠に対して長い順番待ちが存在しているため、処理の遅延が生じています。このことが申請者に影響を与えるかもしれませんが、電子渡航認証システム(ESTA)はほとんどの日本国籍者にとって引き続き利用可能であるため、大半のビジネス訪問者への影響は軽減されていることに留意することが重要です。

さらに、日本ではH-1Bの代替としてのB-1ビザが依然として有効です。また、B-1FAMの例外として、外国人が修理やその他の専門的な作業などの業務契約に合法的に従事できるようにすることも、日本ではまだ領事実務の一部となっています。このような柔軟性は、ビジネス関連の移民という広範な枠組みにおけるB-1ビザの重要性を強調しています。

エンジニアリングサービスのためのB-1ビザの承認

B-1ビザは、日本企業に代わって製品を設置したり修理を行ったりすることのみを目的として米国に入国する外国人、特にエンジニアに対して一般的に発給されるビザです。このようなビザの承認は、申請者が米国国務省によって定められたすべての必要条件を満たしていることを条件に、非移民ビザの分類で概説されている規定に従います。

例外的な状況下における I-130 申請の提出

東京の米国大使館および那覇の米国総領事館の関連ポリシーに基づき、I-130(外国人親族移民申請書)の提出が例外的な状況下で許可される場合があります。具体的には、米国移民局(USCIS)への郵送による標準手続きからの例外を正当化する説得力のある理由を提示できる申請者は、前述の大使館および領事館に直接申請書を提出することができます。

提出条件

定められたプロトコルに従い、日本の米国大使館または領事館でI-130申請が受け入れられるためには、以下の条件を満たす必要があります:

  1. 物理的滞在:ビザ申請者とビザ受益者の両方が、申請書を提出する際に領事地区内に物理的に滞在していなければなりません。「物理的に滞在する」とは、申請者が領事館の管轄内に居住しており、居住証明を提出できることを意味します。
  2. 受益者の居住:ビザ受益者は、ビザ申請が審査されている期間中に管轄内に滞在する必要があり、審査時間が予定通り行かない場合があることも認識しなければなりません。
  3. 必要性の文書化:迅速な審査を必要とする例外的な状況を示す根拠を書類に記載し、申請者の申請書に添付されなければなりません。

迅速化の可能性

領事館を通したI-130申請の提出を問題なく進めることができれば、USCISに関連する通常の審査時間を大幅に短縮する可能性があります。具体的には、この迅速な審査ルートは、合法的永住権(LPR)取得のための通常の待機期間である2年またはそれ以上をわずか6ヶ月以下に短縮する可能性があります。