米国移民局、H-1B特急審査申請の受付停止における期間の延長と対象範囲の拡大を発表

三月に、米国移民局は新規H-1B申請における特急審査申請の受付を一時的に停止すると発表しました。2018年8月28日、米国移民局は2018年9月11日から新規H-1B申請の特急審査申請の一時的な停止期間を延長する上、更にその他の特定のH-1B申請においても受付を停止すると発表しました。

2019年度の新規H-1B申請に加えて、米国移民局は2018年9月11日からI-129フォームが提出条件である申請書とl-907フォームの特急審査申請が一緒に含まれた申請書の受付を却下するということです。

更に詳しい詳細こちら下さい。
http://swlgpc.com/eng/uscis-extends-expands-suspension-premium/

不法滞在に関する最終方針覚書改定の発表

2018年8月9日、米国移民局は米国での外国人の不法滞在に関する最終方針覚書の改定版を発表しました。この改訂版は同日の8月9日から施行開始で、ステイタスが一時的に維持されていない状況ではあるものの必要期限までにステイタスを取り戻す手続き(Reinstatement)を行った学生ビザ(F)や職業ビザ(M)については、その申請審査中は不法滞在とみなされないというものです。

この方針覚書は、米国移民局によって2018年5月10日に発表されたF、J(交流訪問者ビザ)や Mビザ保持者に対する不法滞在期間の計算方法の変更を意味します。この新しい覚書は、従来の方針制定後の2018年6月11日までの30日間に得られた一般公募による評価をもとに制定されました。

この最終方針覚書によると、米国移民局は、F又はMビザステイタス復帰申請において、その“適時”の申請とは、ビザ申請者が申請の時点で5ヶ月以上それらステイタスが正当に維持されていない状況にはない場合を意味します。つまり、その5ヶ月という期間より前にF又はMビザステータス復帰の申請を行えば不法滞在とみなされないということです。しかし、 もしその申請が結果的に却下されてしまった場合は、却下されたその日から不法滞在の時計の針が進み始めることになりますので、注意が必要です。

なお、通常、米国国務省(Department of State 通称:DOS) はJ-1ビザの執行及び管理を行う立場にあります。もし、米国国務省がJビザ復帰(Reinstatement)の申請を承認するようなケースにおいては、Jビザ申請者がその復帰申請が承認されるまでの間は基本的には不法滞在とみなされないようです。

今回の新指針に関して質問がある場合はお気軽に弊社までご連絡下さい。

最近の移民法改正が及ぼす統計的影響について

アメリカの政策に関する国家基金(通称 NFAP: National Foundation for American Policy) はトランプ政権下によって生み出された最近の移民法改正が与える統計的影響について調査し、その統計結果を公表いたしました。以下が、米国移民局(通称 USCIS: U.S. Citizenship and Immigration Services) とアメリカの政策に関する国家基金(NFAP) が算出した2018年度7月の統計結果です。

2017年度のH-1B申請に関する統計結果

H-1B申請の第3四半期と第4四半期の質問状の発行
(通称 RFE: Request for Further Evidence) の割合 (2017年度)
第3四半期:質問状発行割合 第4四半期:質問状発行割合
インド 24.2% 72.4%
インド以外の全ての国 18.0% 61.2%
合算合計 22.5% 68.9%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

H-1B申請の第3四半期と第4四半期の却下の割合  (2017年度)
第3四半期:却下の割合 第4四半期:却下の割合
インド 16.6% 23.6%
インド以外の全ての国 14.0% 19.6%
合算合計 15.9% 22.4%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

L-1B申請における却下の統計結果

L-1B申請の第1四半期と第4四半期の却下の割合  (2017年度)
第1四半期:却下状の割合 第4四半期:却下状の割合
インド 36.0% 47.8%
インド以外の全ての国 14.1% 16.7%
合算合計 21.7% 28.7%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

L-1B申請の2015年度〜2018年度の却下の割合
年度 却下の割合
2015年度 24.9%
2016年度 24.2%
2017年度 27.1%
2018年度 第1四半期 30.5%
2018年度 第2四半期 29.2%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

L-1A申請における却下の統計結果

L-1A申請の第1四半期と第4四半期の却下の割合  (2017年度)
第1四半期:却下状の割合 第4四半期:却下状の割合
インド 9.5% 16.4%
インド以外の全ての国 14.3% 23.8%
合算合計 12.8% 21.4%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

O-1申請における却下の統計

O-1申請における第1四半期と第4四半期の却下の割合  (2017年度)
第1四半期:却下状の割合 第4四半期:却下状の割合
インド 14.7% 79.7%
インド以外の全ての国 20.5% 27.9%
合算合計 20.2% 33.9%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

この統計結果から分かること

  • 2017年度のH-1B申請における第3四半期と第4四半期の質問状の発行数が28,711件から63,184件へと2倍以上の発行数となっております。なお、この第4四半期に発行された質問状の数はオバマ政権下の末期である同年度の第1四半期に比べると驚くべきことに、17%から69%に増加しました。
  • インド人申請者は他の国の申請者に比べ比較的多くの質問状を受けています。全てのH-1B申請において、インド以外の全ての国は61%の割合で質問状が発行されていることに対し、インド人申請者への質問状の割合は72%です。これはL-1B申請に関しても同様のことが挙げられます。
  • 特殊技能が必要とされるL-1B申請の却下率は、2017年度の第1四半期と第4四半期の間では合計で7%増量しました。なお、この割合は2018年も同様に継続して増加しています。
  • 役員、管理職向けの L-1A申請の却下率は、2017年度の第1四半期と第4四半期の間では12.8%から21.4%と飛躍的に増加しました。
  • 最後に、卓越した能力を有することが申請条件である O-1申請に関しては、2017年度の第4四半期の時点で約80%ものインド人申請者が質問状を受けることとなりました。

どの移民法改正が最も移民法に影響を与えたのかについて

2017年4月18日に制定された、トランプ政権下による大統領命令 “アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う(通称:Buy American and Hire American)” により、質問状と却下状の発行の割合は格段に上昇し続けています。特に、2017年度の第4四半期の統計結果は、同年の第3四半期の統計結果と比べ驚くべき違いが数字として現れています。

なお、米国移民局の審査官が質問状 を発行せずに申請書を却下することが出来る新たな新指針が施行されることにより、雇用者に質問状に応答する機会が与えられないため、今後更に大きな影響を及ぼすこととなるでしょう。なお、Notices to Appear (NTA:移民裁判所への出頭命令) の発行に関する新指針においても、米国移民局が、申請が却下された申請者を、適切な場合において、即座に国外退去させる権限を保持するため移民法に更に大きな影響が出てくることが予測されます。

Lブランケット申請において承認されたI-129Sフォームの発行枚数について

先月、米国移民弁護士協会(通称AILA: the American Immigration Lawyers Association)は、承認したI-129Sフォームを少なくとも3枚は発行しなければならないというブランケットLビザ申請に関する指針[9 FAM 402.12‐8 (F) (b)]があるにも関わらず、いくつかの在外米国大使館、領事館において、3枚未満のI-129Sフォームしか発行されていない状況があることを公表しました。 I-129Sフォームとは、Lブランケットプログラムに基づいたL-1ビザ査証申請において、アメリカ大使館、領事館での面接に必要な提出書類の1つです。面接が無事に終了し、ビザ査証が発行される際、このI-129Sフォームにビザの有効期間が手書きで記載され、ビザ査証とともに返却されます。

I-129Sフォームを適切な枚数所持していないとどのような影響があるのか

ブランケットLビザ保持者がアメリカに入国する際、税関国境警備局(通称CBP: Customs and Border Patrol: 空港などアメリカへの入国審査機関)が、ブランケットLビザ保持者に対してI-129Sフォームの原本の提出を要求し、ブランケットLビザ保持者に返却せずそのまま保管してしまった場合、このI-129Sフォームを失うことになります。従って、その後のアメリカ入国の際、原本を所持していないことになり、アメリカ入国への影響も考えられます。

解決策はあるのか?

国務省(DOS: the Department of State)が米国移民弁護士協会に伝え他ところによると、在外アメリカ大使館、領事館は、認証されたI-129Sフォームの必要数を発行する予定であるということです。国務省はブランケットLの指針が記載されているFAMの記載が変更になる前に連邦規則集(通称CFR: Code of Federal Regulations)の8章が変更されるのを待っているとのことです。なお、国務省はもし在外アメリカ大使館、領事館がI-129Sフォームを一枚しか承認しなかった場合は、I-129Sフォームは直筆のサインを必要としないため、コピーを取っておくべきでしょう、と勧めています。

最後に、米国移民弁護士協会は、ブランケットLビザ申請者は、ビザ申請(面接)の際、9 FAM 402.12‐8 (F) (b) の写し(面接官のマニュアルで、公表されて条文の一つです)を持参しておき、無事に面接をパスした場合は、必要に応じて面接審査官にその写しを提示することで、少なくとも2枚以上の承認されたI-129Sフォームを提供するよう促すことが懸命でしょう、とも助言しています。

詳細は米国移民弁護士協会の記事をご覧ください。
https://aila.org/infonet/practice-number-endorsed-forms-i129s

米国移民局の新指針である「移民裁判所への出頭命令(NTA) の施行」の延期

先日、弊社記事にて紹介した2018年6月28日に米国移民局より発表された裁判所への出頭命令(通称NTA: Notices to Appear)について、その後、その施行の延期が発表されました。この指針は、米国移民局がNTAを発行する対象範囲を広げるというもので、国外退去可能なケースで、詐欺や犯罪行為、又は、ビザ申請などが却下されたにも関わらず米国に違法滞在している証拠がある場合の外国人もNTA発行の対象になる、との内容です。この新指針の施行に向けて米国移民局は30日以内にNTA発行や米国移民関税執行局への委託(通称 RTI:Referral to Immigration and Customs Enforcement) に関する業務について、方針の見直しと政策を行うよう指示を受けていました。

以上、2018年7月30日、NTA発行に関わる新指針に対する対応の遅れにより、米国移民局は前述のNTA発行の施行を延期すると発表しました。

DUIをはじめとする非移民ビザの取り消しについて

1952年に制定された移民国籍法とその改正によると、国務長官は如何なる時でもビザを撤回し、取り消すことのできる権利を保持しています。また国務省(通称 DOS:The State Department)は、飲酒運転及び麻薬の影響下での運転(通称 DUI: Driving Under Influence)においても、その有罪判決の有無に関わらずビザの取り消しを行使しております。なお、国務省はDUIを犯した米国滞在の非移民ビザ保持者のビザ(査証)も取り消す権利も保持しています。

非移民ビザの取り消しの過程について

違反の度合いにより国務省の異なる2つの部署において非移民ビザの取り消し処理が行使されます。

(I) DUIに関しては、アメリカ大使館、領事館が非移民ビザ保持者のビザ査証の失効手続きを行います。

(II) DUI以外については、国務省の本社にある査証審査署(Visa Office of Screening, Analysis and Coordination)が非移民ビザ保持者のビザの失効手続きを行います。

なお、国務省による非移民ビザの失効が正式に有効になるのは、通常は、アメリカ滞在者に対しては、処罰を受けた非移民ビザ保持者が米国を出た後になります。

非移民ビザ失効による影響とは

多くの場合、国務省はビザの失効状を”送付可能な場合”においてのみ発行します。しかし、非移民ビザ失効状を受け取らなくてもビザの失効は有効になります。DUIケースにおいては、通常、アメリカ大使館、領事館がDS‐160フォーム(オンラインのビザ申請書)に記載されているEメールアドレスにビザ失効状を送るため、DS‐160フォーム上の情報が最新かつ有効であり続けていることが大変重要です(場合によっては米国領事館が直接該当者に電話することもあります)。なお、ビザ失効状をEメールで受け取った場合は、失効状の確認のため、関係するアメリカ大使館、領事館に直接問い合わせることも可能です。

ただ注意すべきことは、ビザの失効は処罰を受けた後の最初のアメリカ出国後が絶対ではないということです。ケースによっては、国務省による非移民ビザ失効により、アメリカ国内にて移民局に対して行う就労ビザの雇用者変更申請や延長申請が却下されたケースもあります。更に、場合によっては、非移民ビザの失効により、国外退去の処分を受けたケースもあります。なお、現在、国務省と国土安全保障省(移民局)はこのような例外的なケースを無くし、米国出国後のみビザの失効が有効になるよう、その制限について議論しています。

米国移民局による新方針:質問状発行無しの申請審査について

2018年7月13日、USCIS(米国移民局)は新しい方針を発表しました。この新指針によると、2018年9月11日より、米国移民局の審査官が適切な場合において、最初の申請後に移民局が発行する追加情報や追加資料を要求する質問状 (通称 REF:Request for Evidence)や却下予定通知書(通称 NOID:Notice of Intent to Deny)を発行せずに申請書を却下出来る権限を持つようになります。

この新指針は2013年6月3日に発行された「質問状と却下予定通知の発行命令」(”Request for Evidence and Notices if Intent to Deny”)と矛盾します。というのも、この指針は米国移民局が申請者が追加資料を提出してもその申請が許可されることは”不可能”である場合を除き、追加情報や追加資料を要求する却下予定通知又は質問状を発行すべきであるというもので、この”不可能”という定義により、審査官は質問状や却下予定通知書の発行無しに申請を却下出来る権限を制限されていました。

質問状とは

質問状とは米国移民局が申請者に対して発行する要請書で、提出されている書類の内容では申請を許可するには不十分ではあるものの、許可が下りる見込みがあるケースにおいて、申請者に追加書類・証拠の提出を要求します。

却下予定通知書とは

却下予定通知書とは米国移民局が申請者に対して発行する書類で、申請が却下されることを事前通達するためのものです。ただ、それを覆すだけの追加書類や情報の提出により許可される可能性も残されています。質問状と却下予定通知書の違いは、質問状は申請が許可されるか見通しが立たない場合に発行されるのに対して、却下予定通知書は却下される可能性がある場合に発行されます。なお、質問状には追加で必要とする情報資料が通知書に記載されている一方、却下予定通知書にはケースを却下理由をリスト化するなどして記載されています。

いつ新指針が実施されるのか

2018年9月11日より実施予定。

新指針の対象範囲

新指針の対象範囲は、新指針が実施される2018年9月11日以降に受理される全ての移民局申請が対象となりますが、若年期に入国した不法移民の若者に対して強制退去処分を猶予する米国の移民政策(通称DACA: Deferred Action for Childhood Arrivals) に関連する申請は対象外となります。なお、今回の新指針により、カリフォルニアとニューヨークの司法機関によって発行された差し止め命令には影響がありますがDACA審査に関連する質問状と却下予定通知書の方針や施行には影響しないようです。

質問状と却下予定通知書の発行が無くなることで何が却下されるようになるのか?

以前同様、米国移民局は、法的根拠が無いなど申請が許可されることは”不可能”である場合において、引き続き、質問状や却下予定通知書の発行無しに法定却下の通知を発行する予定です。法的根拠のない申請例は無数に考えられますが、分かりやすい例として、例えば家族を通した永住権申請やハードシップ申請(家族が離れて暮らすことが困難であることを理由に本来は認可できないような履歴(犯罪歴など)を免除要求する申請)など、夫婦や親戚間に対して証拠を示すのですが、そもそもその親戚関係を証明できない、また親戚関係にあってもその親戚関係は申請カテゴリーに存在しない親戚関係であるなどです。

2018年9月11日より施行開始となる新指針により、米国移民局は全権力を行使して、証拠書類の提出が不十分である申請に対しても質問状又は却下予定通知書を発行することなく却下状を発行出来るようになります。例として以下の申請が対象となります。

  • 免除申請(本来はビザの認可の妨げとなるような履歴(犯罪歴など)を免除要求する申請)に対し、十分とは言えない証拠書類しか提出されていない権利放棄の申請
  • 申請時に、規定上、提出すべき書類として求められている法定書類や証拠などの必要書類が提出されていない場合 ( 例: 家族ベースの永住権申請(アメリカ国内での永住権保持者へのステイタス変更申請)で、 ビザスポンサーの財務能力を証明(収入や財産にて証明)する供述書(I-864フォーム)の提出が必要であるにも関わらず、提出されていない場合など)

この新指針で重要なこと

以前の方針では、ケースによっては、米国移民局審査官は最初の質問状への回答を受け、引き続き不足がある状況においては追加で2回目の質問状を発行することもありましたが、この新指針により、1つの質問状にまとめて全ての追加書類および情報を要請することが勧められています。質問状を受けた申請者は要請された全ての書類や情報を返答書類としてまとめて一度に提出しなければなりません。もし一部の書類のみ返答提出された場合は、移民局の申請審査の判断に影響を及ぼし、追加要請した必要書類や情報が提出されなかったことを理由に申請を却下する可能性があるでしょう。

米国移民局のエル・フランシス・シスナ指揮官はこの方針の変更により、軽薄で審査の対象に値しないケースの数を減量し、移民局の業務の効率性を高め、移民法に基づき公正な審査をすることで業務の改善に繋がるであろうと主張しています。

今回の新指針に関して質問がある場合はお気軽に弊社までご連絡下さい。今後も新情報を随時発信していきます。

米国移民局の新指針によるHとLビザ保持者への厳しい影響

米国移民局による新指針、移民裁判所への出頭命令(通称NTA:Notices to Appear)の発行により、移民局は、米国移民局関税執行局(通称ICE: Immigration and Customs Enforcement) との協議無しに該当外国人に対して移民裁判所への出頭命令を発行するよう任務の範囲が拡大されると見られています。移民局の審査官は今後、例えば、ビザ申請が却下され、その時点で国外退去可能なケースにおいては外国人に移民裁判所への出頭命令を発行し国外退去させることになります。

この新指針によるH-1B申請者への影響はありますか?

はい、あります。H-1B申請者はH-1B延長申請の審査中は仮にその期限を超えていても、その申請が正当なものであれば、少なくとも最終結果が出るまでの最大240日間は、米国に滞在可能で、スポンサー企業の元で就労を続けることは可能です。なお、現在アメリカ移民局での特急審査サービスを使わない通常ケースのH-1B審査には約半年(180日)はかかっており、仮に有効期限のギリギリに延長申請書類を提出したとして、移民局審査が更に2ヶ月(60日)追加でかかるとすれば、240日以上の審査期間がかかることを意味しますので、最終結果が出るまでの継続的な雇用ができなくなることを意味します。更に、最終的にH-1B 延長申請が却下された場合、H-1B申請者(またその家族)は申請が却下された日付から違法で米国に滞在していると見なされ、移民局により移民裁判機関への出頭命令が発行され国外退去を求められることが想定されます。

その発行以降の国外退去プロセスの期間、H-1B申請者は米国で合法的に働く権利を失うと同時に、出頭まではアメリカ国外への出国も認められず、正当に出頭しない場合は、アメリカへの再入国が先5年は禁止されることになります。

この新指針によるL-1A申請者への影響はありますか?

はい、あります。L-1Aビザ保持者の管理者又はマネージャーとしての永住権の申請を行っている外国人はこの新指針による影響を受けるであろうと見られています。というのも、L-1A申請者が永住権を申請する際、彼らの雇用主は永住権のスポンサーとして申請を行なうことになります。申請審査に掛かる時間はとても長く、場合によっては何十ヶ月も待たなくてはならない可能性もあります。H-1B申請者と同様に、申請結果が出るまでの間にL-1Aのステータスが切れる場合、又は移民局が最終的に申請を却下した場合、L-1A申請者とその家族は申請が却下された日付から違法で米国に滞在していると見なされ、移民局により移民裁判機関への出頭命令が発行され国外退去を求められることになります。

なお、永住権申請をしていない場合でも、上記H-1Bの延長申請と同様にL-1AやL-1Bの延長申請についても期限を超えての審査結果が却下となった場合も上記と同様の制裁を受けることが想定されます。

さらに詳しい詳細はこちらのリンクをクリックして下さい。https://bit.ly/2NjCc7o

米国移民局による不正防止審査の実施

2018年6月28日、移民局のオンブズマン・ジュリー・カークナー氏は米国移民局が複数の申請タイプの審査に遅れが生じていることを認める一方で、不正申請を防止する審査の強化に関する最新の定例報告書を議会に公表しました。

なお、オンブズマン氏の事務所は独立した企業体で議会によって創立され、その創立目的は、移民申請に関する方針の変更や申請者の援助を促進することです。

不正防止審査の現地調査の強化について

2017年、移民法上の不正・偽証申請および国家安全保障・公安に関わる問題を調査する移民局の組織FDNS(Fraud Detection and National Security Directorate)は、“リスクに基づく” 不正防止へ事業の中心を移行しました。つまり、FDNSは、Targeted Site Visit and Verification Programと呼ばれる新しい現地調査と検証プログラムの施行のもと、不正リスクの高い企業や雇用主の現地調査(監査)の施行を以前より更に強化するということです。アメリカ移民局の公式ウェブサイトによると、不正リスクが高いと見なされる対象は以下が含まれます。

  • 総社員数のうち、アメリカ人労働者に対してH-1Bを保持する従業員の割合が多い企業(いわゆるH-1B-dependent employer)による申請
  • 基本的な事業情報が市販データから認証出来ない企業による申請
  • H-1Bによる雇用の場所が第三者機関であるなどオフサイト雇用に基づいた申請

上記に当てはまる企業は審査の対象としてFDNSによるランダムの抜き打ち審査(監査)の対象となる可能性があるでしょう。現地調査の対象となるビザの種類にはH-1B、L-1AとL-1Bが含まれます。

なお、この不正防止審査の強化に対応するため、FDNSは2012年の職員数756名から2018年現在で1548名と職員数が2倍以上に増加したとのことです。

最後に、この定例報告書によると、不正防止審査の効率性を図るため、米国移民局はケース管理を完全デジタル化する必要性があるとも記されています。

米国移民局、多くのビザ申請において申請審査の遅延を認める

2018年6月28日、移民局のオンブズマン・ジュリー・カークナー氏は米国移民局が不正防止の審査を強化すると同時に、複数の申請書の審査に遅れが生じていることを認める最新の定例報告書を議会に公表しました。

なお、オンブズマン氏の事務所は独立した企業体で議会によって創立され、その創立目的は、移民申請に関する方針の変更や申請者の援助を促進することです。

審査の遅延について

今回発表の定例報告書には米国移民局の“効率性”を改善するために数々の具体的な計画が盛り込まれておりますが、米国移民局による申請審査は改善されないであろうという見解を認めています。

米国移民局の申請審査の遅延の原因の一つに新しい電子システム管理が挙げられています。以前は紙媒体システムを利用してそれぞれのケースを管理していましたが、主に電子システムを利用するようになったのはつい最近のことです。目的は申請審査の遅れを取り戻すためでしたが、逆にこの新しい管理システム(ELIS)の技術的な問題により更に遅延の被害を大きくすることとなっています。

この問題により特に外国人の身元調査にも影響を及ぼしています。そのため、申請審査に要する時間がより長くなっているのです。

さらに、米国移民局は申請審査の遅延の理由についてはほとんど発表していません。そのため、オンブズマン氏は米国移民局がこの情報を申請者に開示し始めることで自信を取り戻してもらえるよう勧めています。

この遅延による影響は全てのビザのカテゴリーに当てはまりますが、その中でも一番影響を及ぼすのはI-765の就労許可の申請です。というのも、この就労許可を得るために亡命したということを理由にする申請者が増加するのではないかという声が上がっているためです。その他のビザカテゴリーにおいては、審査の遅延等、特にI-485(永住権の申請)とN-400(米国市民権の申請)申請に対して悪影響が大きく出てくると思われます。