米国移民局による新方針:質問状発行無しの申請審査について

2018年7月13日、USCIS(米国移民局)は新しい方針を発表しました。この新指針によると、2018年9月11日より、米国移民局の審査官が適切な場合において、最初の申請後に移民局が発行する追加情報や追加資料を要求する質問状 (通称 REF:Request for Evidence)や却下予定通知書(通称 NOID:Notice of Intent to Deny)を発行せずに申請書を却下出来る権限を持つようになります。

この新指針は2013年6月3日に発行された「質問状と却下予定通知の発行命令」(”Request for Evidence and Notices if Intent to Deny”)と矛盾します。というのも、この指針は米国移民局が申請者が追加資料を提出してもその申請が許可されることは”不可能”である場合を除き、追加情報や追加資料を要求する却下予定通知又は質問状を発行すべきであるというもので、この”不可能”という定義により、審査官は質問状や却下予定通知書の発行無しに申請を却下出来る権限を制限されていました。

質問状とは

質問状とは米国移民局が申請者に対して発行する要請書で、提出されている書類の内容では申請を許可するには不十分ではあるものの、許可が下りる見込みがあるケースにおいて、申請者に追加書類・証拠の提出を要求します。

却下予定通知書とは

却下予定通知書とは米国移民局が申請者に対して発行する書類で、申請が却下されることを事前通達するためのものです。ただ、それを覆すだけの追加書類や情報の提出により許可される可能性も残されています。質問状と却下予定通知書の違いは、質問状は申請が許可されるか見通しが立たない場合に発行されるのに対して、却下予定通知書は却下される可能性がある場合に発行されます。なお、質問状には追加で必要とする情報資料が通知書に記載されている一方、却下予定通知書にはケースを却下理由をリスト化するなどして記載されています。

いつ新指針が実施されるのか

2018年9月11日より実施予定。

新指針の対象範囲

新指針の対象範囲は、新指針が実施される2018年9月11日以降に受理される全ての移民局申請が対象となりますが、若年期に入国した不法移民の若者に対して強制退去処分を猶予する米国の移民政策(通称DACA: Deferred Action for Childhood Arrivals) に関連する申請は対象外となります。なお、今回の新指針により、カリフォルニアとニューヨークの司法機関によって発行された差し止め命令には影響がありますがDACA審査に関連する質問状と却下予定通知書の方針や施行には影響しないようです。

質問状と却下予定通知書の発行が無くなることで何が却下されるようになるのか?

以前同様、米国移民局は、法的根拠が無いなど申請が許可されることは”不可能”である場合において、引き続き、質問状や却下予定通知書の発行無しに法定却下の通知を発行する予定です。法的根拠のない申請例は無数に考えられますが、分かりやすい例として、例えば家族を通した永住権申請やハードシップ申請(家族が離れて暮らすことが困難であることを理由に本来は認可できないような履歴(犯罪歴など)を免除要求する申請)など、夫婦や親戚間に対して証拠を示すのですが、そもそもその親戚関係を証明できない、また親戚関係にあってもその親戚関係は申請カテゴリーに存在しない親戚関係であるなどです。

2018年9月11日より施行開始となる新指針により、米国移民局は全権力を行使して、証拠書類の提出が不十分である申請に対しても質問状又は却下予定通知書を発行することなく却下状を発行出来るようになります。例として以下の申請が対象となります。

  • 免除申請(本来はビザの認可の妨げとなるような履歴(犯罪歴など)を免除要求する申請)に対し、十分とは言えない証拠書類しか提出されていない権利放棄の申請
  • 申請時に、規定上、提出すべき書類として求められている法定書類や証拠などの必要書類が提出されていない場合 ( 例: 家族ベースの永住権申請(アメリカ国内での永住権保持者へのステイタス変更申請)で、 ビザスポンサーの財務能力を証明(収入や財産にて証明)する供述書(I-864フォーム)の提出が必要であるにも関わらず、提出されていない場合など)

この新指針で重要なこと

以前の方針では、ケースによっては、米国移民局審査官は最初の質問状への回答を受け、引き続き不足がある状況においては追加で2回目の質問状を発行することもありましたが、この新指針により、1つの質問状にまとめて全ての追加書類および情報を要請することが勧められています。質問状を受けた申請者は要請された全ての書類や情報を返答書類としてまとめて一度に提出しなければなりません。もし一部の書類のみ返答提出された場合は、移民局の申請審査の判断に影響を及ぼし、追加要請した必要書類や情報が提出されなかったことを理由に申請を却下する可能性があるでしょう。

米国移民局のエル・フランシス・シスナ指揮官はこの方針の変更により、軽薄で審査の対象に値しないケースの数を減量し、移民局の業務の効率性を高め、移民法に基づき公正な審査をすることで業務の改善に繋がるであろうと主張しています。

今回の新指針に関して質問がある場合はお気軽に弊社までご連絡下さい。今後も新情報を随時発信していきます。