非移民ビザ申請の審査は、指定された米国大使館または領事館にて対面で行われる面接を必要とします。この面接は、在留資格発給に関する法律および規則(移民法および国籍法(INA)を含むがこれらに限定されない)の要件を申請者が遵守しているかどうかを、領事官が評価するための主要な手段です。
対象となるビザカテゴリーは、B-1/B-2(ビジネス/観光)、F-1(留学生)、J-1(交流訪問者)、L-1(企業内転勤者)、O-1(卓越した能力を持つ個人)、およびEビザ(条約貿易業者・投資家)などがあります。各カテゴリーごとに、申請者は所定の手続き、必要書類の証拠基準、そして資格要件を証明する法令上の基準について理解しておく必要があります。
すべてのビザカテゴリーに共通する準備事項
必要書類の提出:
申請者は、該当する法律・規則の要件を満たすことを証明する書類を面接時に提出し提示しなければなりません。これには通常以下の書類が含まれます。
- 有効なパスポート(審査時に未期限であること)
- DS-160申請確認ページ
- 面接予約確認書
- 目的や在留義務に関する証拠(本国との結びつき、資金証明、渡航目的など)
面接準備:
背景、訪問目的、滞在期限満了後の帰国意志について詳しく説明できるよう準備してください。これは非移民意向(INA § 214(b))の法的要件に沿ったものでなければなりません。
言語能力:
コミュニケーション能力は非常に重要です。在日米国大使館や領事館の職員には日本語と英語を話す者もいますが、面接に臨む際には英語で高いコミュニケーション能力を持つことを推奨します。英語での十分な会話能力は、信用性と総合的な資格判断に影響を与えるためです。
各ビザカテゴリー別の具体的質問と審査ポイント
B-1/B-2(ビジネス/観光ビザ)
適用される法的基準:
INA § 214(b)の規定に基づき、申請者は、帰国を保証するための経済的、社会的、家族的な結びつきを証明し、非移民資格を有することを立証する責任があります。
想定される質問例:
(続きは必要に応じて追加記載できます)
・ご自身の事業・渡航目的の具体的な内容と、それがINA § 214(b)の規定にどのように適合するかを詳細にご説明ください。
・ご帰属先や居住国との重要な結びつき(経済的、社会的、家族的)を証明できる証拠を提出してください。
・現在の雇用状況と職務内容について教えてください。
・本国に所有する不動産や資産はありますか?
・アメリカ滞在の期間はどのくらいですか?
・親族や知人を訪問されますか?詳細を教えてください。
・滞在期間中に就労または雇用活動を行う予定はありますか?(無許可での就労意志と解釈され、不許可となる可能性があります。)
・滞在期間中の費用はどのように賄いますか?
F-1(留学ビザ)
法的根拠:
申請者は、認定された教育機関からの受入証明を得ていること、留学期間中の資金を十分に賄える財政的余裕があること、及び、修了後に帰国する意思を持っていることを証明しなければなりません。
想定される質問例:
・入学を許可した教育機関と、専攻の内容を教えてください。
・この学習活動は、ご自身のキャリアや個人的な成長にどのように役立ちますか。
・授業料や生活費を賄うための資金証明書類(8 CFR § 214.2(f)に準拠)を持っていますか。
・過去に海外または米国外の教育機関で学習した経験はありますか?詳細を教えてください。
・修了後のキャリアプランや帰国の意志について教えてください。
・同行する扶養家族はいますか?いる場合、その状況や目的について詳しくお聞かせください。
J-1(交流訪問者プログラム)
法的要件:
申請者は、指定された団体の主催するプログラムに参加していること、必要な資金を確保していること、文化・専門的交流の目的に沿った計画であることを証明しなければなりません。
想定される質問例:
・スポンサー団体やプログラムの範囲を示す証明書類を提出してください。
・交流期間中に具体的にどのような活動を行いますか。
・この交流がご自身の専門・学術的な活動にどのように役立ちますか。
・ stipendや報酬を受け取る予定はありますか?ある場合、その内容を教えてください。
・プログラム修了後の長期的な計画についてお聞かせください。
L-1ビザ:企業内転勤者(Intra-company Transferee)
法的根拠:
L-1ビザは、過去3年間にわたり一定期間継続して資格のある外国企業に勤務していた従業員が、管理職、役員、または専門的知識を有する役割で米国内に入国し、勤務することを目的としたビザです。法的基準は、移民法第101条(a)(15)(L)項に定められています。
サブカテゴリーと条件:
- L-1A: 管理職または役員であり、上級職に就いている者を対象。
- L-1B: 企業にとり重要な専門知識を持つ従業員。
面接でよく尋ねられる質問例
- 外国企業と米国企業の関係性について、組織構造や所有関係も含めて詳しく説明してください。
- これまで何年間、その外国企業に勤めており、どのような役割を果たしていますか。
- 現在の職務内容は何ですか? また、その職務は米国における職務とどのように関連していますか。
- 管理職・役員として加わる(L-1A)ことを希望していますか、それとも専門知識を有するスペシャリストとして従事しますか(L-1B)?
- 勤務履歴を示す書類(給与明細、雇用証明書、組織図など)を提出してください。
- 米国内のオフィスの運営内容と、ご自身の役割について説明してください。
- 過去の雇用が、 INA§214(c) に基づくこの転勤にどのように適合するか説明してください。
- 同じ雇用関係において過去に米国ビザを取得したことはありますか?
必要な証明書類
- 外国雇用主からの役割および雇用期間を詳述した文書
- 外国企業と米国企業の関係性を証明する書類(例:定款、組織図)
- 雇用期間と役割を証明する書類(給与明細、税務書類など)
- 管理職または専門知識を有する役割を証明する資料
法的基準および証明責任
申請者は、米国での職務が管理職、役員、または専門的知識を有する役割に該当すること、および、過去3年間にわたり外国企業での勤務が継続していたことを証明しなければなりません。
E-2 Treaty Investorビザの法的基準
E-2ビザの取得は、申請者が以下の法定および規則上の要件を満たしていることを証明できるかどうかにかかっています。主な基準は次の通りです。
1. 資本投資
申請者は、米国内に所在する bona fide(本物の)企業に対し、相当な額の資本を投資または積極的に投資過程にあることを証明しなければなりません。この投資は、確定しており、事業の失敗に伴う損失リスクが存在するものでなければなりません。
2. 投資の「実質性」
投資額は、企業の総コストに比して「実質的」に大きいか、または企業が合理的に生み出すと見込まれる収益の割合に応じて相当の額である必要があります。規制の指針では、「実質的」の解釈は文脈により異なりますが、一般的には、投資者のコミットメントと企業の運営能力を確保できる程度の重要性を持つ必要があります。
3. 本物の企業
投資対象は、単なる受動的または投機的な投資ではなく、実際に商品やサービスを提供し、運営されている商業的実体でなければなりません。利益を生み出す能力またはその見込みを有している必要があります。
4. 管理・運営における支配権
投資者は、企業の発展および運営を主導するために入国する必要があり、そのためには少なくとも企業の50%以上の所有権を持つか、管理職やその他の企業権限を通じて運営支配力を有することを証明する必要があります。
詳細な基準
- 投資額:
固定された金額基準はありませんが、企業の総コストに比例した金額、または、企業が成功し得ること、または実質的な事業であることを証明できる十分な額である必要があります。 - 投資のリスク:
投資資金は、すでに支出済みまたは取り戻し不能な状態で企業に資本投入されており、単なる紙の投資や借入金ではないこと。 - 資金の出所:
投資に使用された資金の合法的な出所と経路を立証する必要があります。例えば、銀行取引明細書、送金記録、取引履歴などが重要です。 - 事業の展開と運営:
投資者の役割は、事業の展開と運営に集中している必要があり、受動的な投資は認められません。 - 実在性と運営状況:
事業は実在し、活動を行い、収益や利益を生み出す能力を有している必要があります。
よくある面接質問と証明資料
申請者は詳細かつ信頼性のある回答を準備し、それを裏付ける証拠資料を添付してください。
1. 米国内で行ったまたは進行中の投資内容について具体的に説明してください。
回答例:
- 投資の内容と範囲(具体的な金額や投入済みの資金など)を明確に説明してください。
- 投資が新規事業か既存の事業かを明示してください。
- 現在の投資の状況(例:資金移動済み、資産購入済み、事業設立済み)を説明してください。
証拠資料:
- 資金移動を示す銀行明細書
- エスクロー預託契約書
- 契約書またはリース契約書
- 事業登録証または営業許可証
2. 事業の内容、総コスト、投資段階について説明してください。
回答例:
- 事業計画書および実現可能性調査書
- コスト見積書および財務計画書
- 購入品の請求書および領収書
3. 事業の総コストはどれくらいであり、ご自身の投資額はそのうちどの程度に相当しますか?
回答例:
- 投資額が企業の全体資本ニーズにどのように寄与しているか詳細に説明してください。
- 「実質的」の概念を、投資額と総資本または予想される収益と比較して解釈してください。
- ご自身の資金が、総スタートアップコストまたは運営コストの中でどのくらいの割合を占めているか明確にしてください。
証拠資料:
- 公式の事業予算及び資金調達に関する書類
- 詳細な財務諸表
- 出資または資金拠出に関する契約書
4. 財務諸表、銀行明細書、エスクロー預託証明書、または購入契約書などの資料を提出してください。
提出資料例:
- 資金の合法的かつ追跡可能な出所を証明する銀行記録や送金履歴
- 不動産や資産を取得した契約書、売買契約書、リース契約書
- 企業の運営を証明する事業登録証明書