米国国務省、非移民査証(NIV)の第三国処理に関する規定変更について

2025年9月6日付けで、米国国務省は非移民査証(NIV)の面接手続に関する大幅な変更を発表し、明確に第三国処理を制限する方針を示しました。これは、バイデン政権下において各国の領事館等が引き続き第三国に居住または国籍を有しない申請者からの査証申請を受理していた従来の方針から、重要な政策転換となります。

第三国処理とは何か

第三国処理とは、申請者が申請国の国籍または居住者ではないにもかかわらず、現地の米国領事館・大使館に査証を申請することを指します。例えば、日本国籍者がドイツ滞在中にフランクフルトの米国大使館で米国査証を申請するケースなどが該当します。従来は、世界各地の領事館等がこれらの申請を受理し、ビジネスや観光、その他の目的で渡米や就労のための渡航調整を円滑に行うことが可能でした。

政策の即時発効と公式指針

今回の規定は即日適用され、米国国務省は、全ての非移民査証申請者に対し、自国または法的居住国にある米国大使館または領事館での面接予約を行うことを推奨しています。新たな制限により、従来広範に許容されていた第三国での査証申請は基本的に禁止され、例外的措置を除いて適用されます。

米国国務省外務員制度(FAM)第9章FAM 401.9 Nに基づき、申請者は原則として自国または居住国の在外公館にて査証申請を行う必要があります。ただし、特別な事情がある場合には例外が認められるケースもあります。この方針は、米国の査証審査の安全性強化と一貫性の維持を目的としています。

査証処理の指定地点については、[こちら]にて一覧が公開されています。

申請者向けの重要ポイント

  • 居住証明:居住申告に基づき自国以外の国で申請する場合、申請地国における居住関係を証明する公式書類の提出が必要です(FAM 9 FAM 402.2参照)。 
  • 審査の厳格化:第三国で面接を行う場合、行政審査や追加の書類提出要求、処理時間の長期化が見込まれます。 
  • 予約の遅延と取扱期間:領事館は、ビザ申請の予約待ち時間および処理期間が大幅に延長される可能性を予告しています。 
  • 申請料の不返還:申請料は、一度支払った場所でのみ返金不能であり、他の在外公館への移行や返金は不可です。 
  • 既存予約の取り扱い:既に予約済みの面接については、基本的に継続されるケースが多いものの、やむを得ない場合は取り消しになる可能性もあります。

例外および制限事項

この規制は厳格ですが、緊急人道的理由や医療緊急時、重要な外交政策上の理由においては例外措置が検討されることがあります(FAM 9 FAM 403.7)。また、A、G、C-2、C-3、NATOビザ、外交・公用ビザおよび国連本部協定に基づく渡航者については、対象外です。

計画および事業運営への影響

雇用主およびビザ申請者は、十分な時間を確保して事前に計画を立てることが重要です。特に、適切な在外公館での面接予約を円滑に行うためや、処理遅延に備えるために、早期の準備が求められます。さらに、申請者の出国や帰国に伴うビザスタンプ取得のために、海外滞在期間が延長される可能性も考慮し、必要な準備を進める必要があります。

この政策の転換は、ビザ申請において早期の戦略的計画の重要性を強調しており、企業主導の調整体制を整えることによって、米国の移民手続きの変化に適切に対応していく必要性を示しています。

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