カテゴリー別アーカイブ: 移民ビザ

米国ICEがジョージア州の現代自動車バッテリー工場で一斉摘発を行い、韓国人約500名が拘束される

米国移民・関税執行局(ICE)は、ジョージア州サバンナ西部に位置する、現代自動車が共同所有する建設中の電気自動車(EV)バッテリー工場に対し、大規模な強制捜査を実施しました。この捜査により、主に韓国籍の約475名が米国内での不法就労または不法滞在の疑いで拘束されました。

捜査の範囲と影響

本捜査は、国土安全保障省による米国史上最大規模の単一工場における取り締まりとされています。今回の強制捜査は、米国と韓国の間の継続的な緊張関係を浮き彫りにしています。特に、現代自動車工場が米韓貿易関係の基盤としての戦略的重要性と、米国の製造業政策というより広い文脈の中で、その緊張が顕著に現れています。

拘束された労働者の多くは、EVバッテリー工場の設置・建設・試運転に不可欠な業務に従事していました。国内では容易に入手できない高度な技術的専門知識と経験を要する業務を遂行するため海外から招致された、高度専門技術を持つエンジニアや設置技術者が多数含まれているとみられます。これらの役割は、従来、ビジネス訪問者ビザ(B-1ビザ)により許可されてきたものです。

外交・法的動向

捜査の翌日曜日、韓国政府関係者は、米国当局と協議の結果、拘束された韓国人労働者の即時送還に合意したことを発表しました。韓国のチョ・ヒョン外相は、チャーター便で労働者を迅速に帰国させるため、ワシントンへ外交団を派遣しました。

公式声明と政策の背景

ドナルド・トランプ大統領は、これらの人物が「不法」に米国に入国していたと述べ、バッテリーやコンピューター生産などのハイテク製造分野における国内の労働力育成や米国市民への訓練の強化を提唱する政策姿勢を強調しました。

一方、移民法弁護士のチャールズ・カック氏をはじめとする法律専門家は、多くの拘束者はエンジニアや設備設置技術者であり、彼らが従事していた業務は、B-1ビジネス訪問者ビザの範囲内で許可されたものと説明しています。カック氏は、「ジョージア州の現代工場で拘束された多くの韓国人は、高度な専門技術を持つ工程や設置作業に従事しており、これらはB-1ビザプログラムの下で認められている。彼らは75日を超えない数週間の滞在を計画し、業務を遂行する予定だった」と述べています。さらに、「彼らが行っていた設備設置や技術監督などの活動は、現在のビザカテゴリーの範囲内で明確に許可されており、これらの作業は、こうした複雑な施設の迅速な展開と運用に不可欠」と強調しています。

法的および規制の枠組み

B-1ビザは、非移民ビザであり、「ESTA(電子渡航認証システム)」を利用するビザ免除プログラム国加盟国である韓国など、承認された国の外国人が一定の範囲内の活動に従事することを認めるものです。具体的には、契約に基づき、一定期間内に行われる建設や設置作業の監督を含むビジネス訪問に関連する範囲内の活動に従事する事が許可されています。ただし、実際の建設作業や製造活動は明示的に除外されており、これらの活動には通常、H-1Bビザや就労許可証といった就労ベースのビザが必要となります。

弊所では、この種の案件を数多く取り扱っておりますが、より安全性の高いビザとしてE-2 TDY(一時的任務ビザ)も併せて検討しています。基本的には、B-1ビザの範囲内で行う活動は、その目的と整合性を保つ必要があり、今回の一連の取り締まりを受けて、米国大使館等はこの種のビザ発給に関してより厳格な姿勢を取るものと予想されます。そのため、企業側は代替策の検討が求められます。

設備設置や技術監督に関連する活動は、B-1ビザの許可範囲内に明確に含まれており、国際的な建設プロジェクトに付随する監督業務も認められています。さらに、韓国を含む41カ国の国民に対しては、ESTAによるビザ免除制度が適用され、活動目的が認められる範囲内であれば、合法的な短期滞在がより簡単にできます。ただし、当該工場で実施されていた活動の詳細情報は得られておらず、ビザの不適切な利用があった可能性も指摘されますが、その実態についての詳細は不明です。

まとめ

今回の取締りで、米国における国際的な企業活動におけるビザ遵守状況が継続的に監視されていることが浮き彫りになりました。当局の取り締まり措置は外交的配慮を要する側面もありますが、何よりも法令遵守が最重要であることに変わりはなく、多国籍企業においては、駐在スタッフのビザ管理が米国移民法に準拠していることの徹底が必要不可欠となっています。

トランプ政権、帰化申請者の「Good Moral Character (道徳的人格者)」基準を拡大

米国移民局(USCIS)は今後市民権審査において社会貢献を考慮し、軽微な違反行為を厳しく審査する方針です。

米国移民局は、申請者が帰化の取得に必要な「道徳的人格者」(Good Moral Character, “GMC”)要件を満たすかどうかの評価方法について、新たな指針を発表しました。

8月15日に発表された政策覚書において、USCISは審査官に対し、申請者の行動履歴や経歴について、従来よりも包括的かつ厳格な審査を行うよう指示しています。これまでは、特定の犯罪や重大な違反行為に限定して判断されてきましたが、新方針では、地域社会への積極的な貢献や、合法ではあるが社会通念に反する行為も審査対象に含めるとしています。

同覚書には次のように記されています:
「帰化は単なる手続き的な移民上の利益—最も重要なもの—としてではなく、忠誠と人格の両方を求める国への同化という重要な法的変革として構想されています。」

主な変更点

従来、道徳的人格の基準は帰化手続きの重要な要件の一つとされてきました。一般的には、申請前の3年または5年間に、重大な犯罪(加重重罪、米国市民権の虚偽申告、常習的な酩酊など)を犯していない限り、申請は認められていました。

しかし、新たな方針に基づき、USCISはより広範な視点での評価を行うことを義務付けています。具体的には、以下の2つの側面に重点を置いています。

前向きな特性に対する重点強化

  • 長期にわたる地域社会への貢献 
  • 家族の介護への責任履行 
  • 学業成績
  • 合法かつ安定した就労歴 
  • 税金の支払いを含む財政的責任 
  • 米国内での合法滞在期間

不正行為に対する審査強化

  • 法的には許容されるが社会的には問題視される行為(例:繰り返される交通違反、嫌がらせ、強引な勧誘行為) 
  • 複数回のDUI(飲酒運転)、違法投票、薬物犯罪などの条件付き禁止事項 
  • 地域社会の「社会通念」に反するあらゆる行為

米国移民局からの反応とコメン

USCISの広報担当官マシュー・J・トラゲッサー氏は、Newsweek誌のインタビューで次のように述べています。
「米国市民権は市民権の最高基準です。世界の最優秀者のみに与えられるべきです。本日、USCISは帰化手続きに新たな要素を追加し、新しく米国市民となる移民が我々の文化や歴史、言語に積極的に適応し、かつ道徳的人格を示すことを保証します。本覚書は、USCIS職員に対し、申請者の不正行為の有無だけではなく、地域社会への貢献や実績、財政的責任といった前向きな特性も考慮するよう指示しています。USCISはこの名誉ある市民権という特権において、国家の移民制度の健全性回復に引き続き尽力します。」

さらに、USCISはこの覚書において次のように明確化しています。
「このアプローチにより、法規則上の障害が存在しない場合、審査官は申請者の経歴全体を包括的に審査する権限を与えられ、申請者に対し、自身の行動が現行の倫理基準や地域社会の期待と一致していることを証明するための全ての情報を提示させることが可能となります。」

次のステッ

本覚書は即時発効し、USCIS職員は帰化申請者を審査する際に包括的評価プロセスを採用する義務があります。USCISは次のように述べています。
「審査官は、申請者が米国市民権の権利と責任を引き受けるに値することを立証する責任を果たしているかどうかを積極的に評価しなければならない。」

最終的な見

一部の批評家は、これらの変更は現政権による移民制限や帰化機会の縮小を目的とした広範な取り組みの一環と見なしています。これらの政策変更は、「公正性の向上」のためと解釈される場合もあれば、資格要件の厳格化と言えるケースもあります。いずれにせよ、今後多くの申請者に影響を及ぼすと予想されるため、法務専門家は最新の動向に注意し、適切な助言を行う必要があります。

EB-5投資家が2025年度(会計年度)終了前に知っておくべきこと

EB-5投資家が2025年度(会計年度)終了前に知っておくべきこと

9月が近づくにつれ、米国の移民制度は重大なカウントダウンに直面しています。連邦会計年度の終了日である2025年9月30日は、EB-5投資家にとって重要な分岐点です。毎年、未使用のビザ番号は失効し、ビザ審査の所用時間、締め切り日、国別の配分は、新しい会計年度の開始とともに大きく変化する可能性があります。

2025年8月のビザBulletin(グリーンカード申請の可能性を示した月次のチャート)では、インドや中国など、長期にわたり待機が続いていた国々に対して珍しく動きが見られました。また、地方部のEB-5投資カテゴリーは、引き続き処理時間が速く、予測可能性の向上が図られています。2025会計年度も残り数週間となりましたが、最も重要な問いは、ビザの取得において「誰が期限内にビザを取得できるのか」そして「誰が翌年度以降の遅延に直面することになるのか」という点です。

現行のビザBulletinのハイライト

EB-5ビザの特定カテゴリー (地方部、ハワイ外務省(Foreign Affairs, HUA)、インフラプロジェクトを含む)は、現在全ての国において「現行」扱いとなっており、中国やインドも例外ではありません。これらのビザは迅速に審査されており、手続きもシンプルで待機リストも存在しません。申請を検討されている投資家にとって、今は非常に有利なタイミングです。

遅れが見られる分野と今後の見通し

すべての雇用ベース移民カテゴリーが同じペースで進んでいるわけではありません。実際、多くのカテゴリーでは停滞または後退がみられます。

  • EB-2(全ての国):2023年9月1日に後退し、近日中に利用不可となる可能性があります。
  • EB-3(インド):2013年5月22日にわずかに進展しただけで、加速の兆しは見られません。
  • その他のEB-5カテゴリー:特に割り当て枠のない国おいては、停滞または遅滞傾向にあります。

これらの傾向は、USCISや国務省が残されたFY2025ビザの割当を配分するなかで、システムへの圧力が高まっていることを示しています。

現在の状況に影響を与える要因

以下の重要な要素が、EB-5の現状に影響を与えています:

  • 未使用の家族ベースのビザの流入:これらは一時的に雇用ベース移民の供給を増やしています。
  • EB-5地方部事業への優先審査:都市部よりも最大13倍の速さで地方部事業の審査が行われています。
  • 改革と誠実性法(Reform and Integrity Act, RIA:この立法措置は、より一貫性があり高品質な申請書の提出を促進し、承認率向上に寄与しています。
  • 投資家の需要増加:インド、ベトナム、中国などの申請滞積問題を抱える国において活動が活発化しています。

総合的に見て、EB-5は絶えず進化・変化しており、特定の分野では加速していることが明らかです。

タイミングの重要性:101日のリセットについて

毎年10月1日を迎えると、ビザ割当がリセットされ、2025年度の未使用EB-5ビザは失効します。その後の会計年度では、新たな上限設定や調整が行われる可能性があります。具体的には、以下のような状況が想定されます。

  • 後退(レトログレッション):需要が供給を超える場合
  • 不確実性の増大:特に未予約のカテゴリー (unreserved categories) において顕著
  • 遅延の可能性:各機関が審査優先順位や割当を調整することによる影響

この点において、タイミングは極めて重要です。特に、優先日が現在有効な投資家や、設定済みカテゴリーの資格を有する場合は、930日までに申請を完了させることが、ビザ取得成功の可能性を最大化するために不可欠と言えます。

申請の準備と戦略

  • I-956Fの承認を受けたプロジェクトを選択する:事前承認による申請の迅速化
  • 地方部地域のプロジェクトを優先する:現行ステータスの維持、迅速な審査、そして低いリスクという恩恵を受けている
  • 迅速に行動する:数週間の遅れでも、2025年度のビザプールを逃すリスクが高まる

USCISのデータに基づく洞察

最近の内部データによると、地方部地域のI-526E申請の約27%が2023年初頭から2025年までに審査・処理されたのに対し、都市部の申請は2%未満に留まっています。これは、RIAで義務付けられた優先審査の方針に対するUSCISのコミットメントを示しています。さらに、承認率も向上しており、審査の安定化と投資者の信頼増加を反映しています。

結論

2025年度の終了を迎えるにあたり、EB-5投資家がチャンスを最大限に活かすためには、ビザ制度の動向とタイミングを理解し、迅速に行動することが不可欠です。経験豊富な法律専門家に相談し、適切な戦略を立てることは、期限内に希望するビザを取得する上で決定的な違いをもたらす可能性があります。

EB-5投資家のステータス変更申請における注意点について

米国国土安全保障省(DHS)と米国移民局(USCIS)による最近の移民取締り措置では、ステータス変更申請(AOS)後の法的滞在期間に対してより厳格な姿勢が示されています。特に加重要因が存在する場合や、USCISが最新の入国が移民目的の事前意図を持って行われたと疑う場合において、その傾向が顕著となっています。一部のEB-5投資家は、面接や旅行後に退去手続きの対象となり、アドバンスパロール(AP)を利用して再入国したケースも含まれています。この状況を踏まえ、EB-5投資家を代理する弁護士は徹底したリスク評価を行い、クライアントの審査手続きを強化し、予想される執行当局の厳しい対応に備えて準備を進める必要があります。特に、移民法(INA) §212(d)(5)に基づく仮入国(Parole Entry)の場合、「到着外国人」(“arriving alien”)として扱われ、移民・関税執行局(ICE)による強制収容を伴う重い手続き上の結果を招く可能性があります。

ここ数ヶ月においては、EB-5投資家の一部(適切に提出され審査中のAOS申請を有する者を含む)が、以下に挙げる特定要因に該当した事例において、退去手続きまたは拘留の対象となっております:

 • 非移民ステータスを維持せずにアドバンスパロール(AP)で入国

 • 法執行機関との接触(その後不起訴または抹消された事案を含む)

 • H/Lビザの雇用主スポンサーの終了とUSCISへの通知、またはベースとなる非移民ビザ申請の取り下げ

• F-1ビザの「グレースピリオド(猶予期間)」中にAOSを申請

 • SEVISステータスの終了

 • Bビザの有効期間を超えた滞在

 • Bビザステータス下で子供を公立学校に在籍させること

 • 無許可の雇用(一時的なもの、書類未提出のもの、その他の形態を含む)

・ビザステータスの取り消し

 • 渡米前のAOS申請の意図を示す計画に関する資料(賃貸契約書、学校入学証明、就職内定書、または移民の意向を示す書類等)

多くのEB-5 申請者は、INA §212(d)(5)に基づくアドバンスパロールを使用して米国に再入国し、AOSを進めています。2025年7月8日、移民・関税執行局(ICE)は入国申請者の拘留に関する権限を明確化する暫定ガイダンスを発表しました。

これに伴い、EB-5申請者は以下の法的および執行リスクについて十分に認識しておく必要があります:

 • アドバンスパロールを受けた者は米国への入国が許可されますが、正式な移民ステータスを付与することなく、または移民法上の「推定入国」を構成する事なく、入国が認められます。しかし、AOSの資格は保持する一方で、USCISは、公平性、公共の利益の考慮、または乱用の疑いに基づき入国拒否を行う広範な裁量権を有しています。

 • パロールによる入国者は、入国申請者と扱われ、これにより以下のような法的措置を含む不利な法的結果が生じる可能性があります:  

 - パロールによる入国が移民裁判所からの保釈の対象外となる、かつ入国不適格とされた場合は強制収容の対象となります。  

 - 米国国土安全保障省(DHS)は虚偽申告の疑いがある場合にパロールの取り消しを行う権限を有します。

さらに、非移民ステータスの有効期限が切れた後も、永住権保持者へのステータス変更申請が審査中で米国に留まる者については、法律上、不法滞在の累積がない場合でも、実質的に不法滞在状態にあるとみなされます。ただし、検察の裁量に基づき、DHSは、当該申請が不法滞在の累積を事実上停止するものである場合、当該申請の最終的な審査が完了するまで、当該個人に国内に留まる事を許可することができます。この場合、外国人の滞在が「許可された」と解釈される場合があります。しかしながら、不法滞在の累積がないからといって、必ずしも移民法上、外国人の滞在が合法であるとは限りません。詳しくは、審査官用マニュアル(Adjudicators Field Manual)第40.9.2項『過去の不法滞在による入国不許可』」およびAILA文書番号25080804(2025年8月8日掲載)を参照ください。

非移民ビザ(NIV)での入国と事前のステータス変更申請意図について

EB-5申請者が、事前に永住権保持者へのステータス変更申請目的を持ってBビザ(もしくは他の非移民ビザ)で入国する場合には、特に注意が必要です。次のような点がリスクの兆候と見なされることがあります:

 • 入国前に賃貸契約に署名をする、子供の学校入学手続きをする行為

• 海外から米国内の銀行口座や公共料金口座を開設する行為

 • 到着後のAOS申請を計画したとされるメールなどのやり取り

B-1/B-2ビザからのステータス変更申請が、入国後に移民意図を形成した場合には合法とされる一方で、米国移民当局は、そのような意図が到着前に存在すると仮定する傾向が強まっています。現行の30日/60日/90日ルールは法的拘束力を持たず、安全上の目安としても扱われていません。現在、USCISは、申請書が詐欺や虚偽申告と認定される可能性のある事前の意図を持っていなかったことを証明する責任を積極的にかつ厳格に執行しており、これにより、入国後の意図の真撃性を立証する重要性を強調しています。

EB-5弁護士の役割

EB-5弁護士は、海外の投資家が米国のEB-5投資家移民プログラムの複雑な手続きを進める上で、重要な役割を果たします。弁護士は法的な専門家として、該当する移民法および規則の遵守を確保し、EB-5申請の各段階において戦略的な助言を行います。

. アドバイスとガイダンス

A. EB-5プログラムの説明
弁護士の主な役割は、投資者に対してEB-5ビザ取得の条件、メリット、手続きの流れ、潜在的リスクを説明することです。

B. 適切な投資案件の選定
弁護士は投資者が信頼できるリージョナルセンターや投資案件を選び、彼らの投資目標と移民目的に沿った適切な選択を支援します。ほとんどの法律事務所は、安定した資金回収見込みを有する保守的な投資を推奨します。EB-5投資の期間は通常2年から6年です(平均4年)。

C. 法的デューデリジェンス
投資の最終的な意思決定は投資者の責任ですが、EB-5弁護士は投資案件の合法性や開発業者の実績を評価します。必要に応じて、ライセンスを取得したブローカーやデューデリジェンスの専門家と協力する場合もあります。

D. 法的・規制上の複雑な課題への対応
弁護士は、米国移民法に関する戦略的な法的助言を提供します。また、EB-5の手続きにおいて重要なポイントである資金の合法的な出所証明を文書化するためのアドバイスを行います。

. EB-5申請手続き

A. 申請書類の準備・提出
弁護士が、米国移民局(USCIS)へ作成・提出する申請書類には以下が含まれます:

  • I-526E(リージョナルセンター投資用)
  • I-526(個別投資用)
  • I-829(条件解除申請)

B. 資金の源泉に関する書類
米国移民局(USCIS)の基準に従い、投資資金の合法的な出所と流れを追跡、確認、提示するための法的助言を提供します。

C. USCISとの連絡調整
弁護士は米国移民局(USCIS)と連絡を取り合い、追加情報請求(RFE)への対応を行います。案件の進捗状況をチェックし、適切な時期に審査が完了するようスケジュール管理をします。

D. 面接への準備
必要に応じて、投資者を対象とした米国移民局や領事館の面接準備を行い、効果的にプレゼンテーションができるよう支援します。

. 承認後のフォローアップ

A. 投資のモニタリングと雇用創出
弁護士は、投資者がEB-5の規制を遵守しているか、また雇用創出要件を満たしているかを確認します。

B. 追加情報請求RFE)への対応
追加情報請求(RFE)を求められた際には、必要な補足資料や情報を提供し、申請をサポートします。

結論
EB-5弁護士は、投資者の初期の戦略計画から最終的なグリーンカードの承認まで、EB-5申請手続きの全過程を通じて総合的な法務アドバイザーとしての役割を果たします。EB-5弁護士の存在は、規制遵守の確保、リスクの軽減、およびEB-5投資の成功を最大化するために不可欠です。

米国大使館における面接免除の廃止

AILA(米国移民弁護士協会)からの通知についてお知らせします。

2025年7月25日、米国国務省(DOS)は、2025年9月2日より施行される面接免除制度の大幅な見直しを発表しました。この改定により、面接免除の対象が縮小され、ビザ申請者の大多数が面接免除の対象外となります。

【変更点】

  • 多くのビザカテゴリー(E-1、E-2、F-1、H-1B、J-1、L-1、O-1等、以下に記載のないものを含む)において、対面による面接が義務付けられます。再申請や更新においても面接免除措置は廃止されます。 
  • 14歳未満および79歳以上の申請者についても、対面での面接が義務付けられます。

【引き続き面接免除の対象となる者】

  • B-1、B-2、B1/B2ビザまたは国境通過カード (“Border Crossing Card/Foil”) を更新する申請者に対しては、次の条件を満たす場合に面接免除措置が引き続き適用されます:
    • 前回申請したビザの失効日から12か月以内に申請する場合。 
    • 前回申請したビザの発行時に18歳以上であった場合。 
    • 国籍を持つ国または居住地国にて申請する場合。 
    • 過去にビザ申請を拒否されたことがない(ただし、その拒否が覆されたまたは免除された場合を除く)場合。 
    • 明らかなまたは潜在的な不適格要件に該当しない場合。
  • A-1、A-2、C-3、G-1、G-2、G-3、G-4、NATO-1からNATO-6、TECRO E-1、ならびに外交・公用ビザ申請者については、引き続き面接免除の対象となります。
  • 領事官は、必要に応じて、個々のケースごとに理由を問わず、対面での面接を要求する場合があります。

【施行日】

  • 2025年9月2日より新制度が適用されます。

【運用への影響】

  • 大使館や領事館のとりわけ需要の高い拠点においては、ビザ面接予約の待ち時間や審査が長引くことが予想されます。
  • 過去の申請履歴に問題がない更新申請者であっても、対面での面接が必要となることを、申請者が知っておく必要があります。 
  • B-1/B-2ビザの申請資格を持っている方が面接免除の対象となるためには、既存の条件に加え、申請者は国籍を持つ国または居住国の大使館・領事館で申請を行う必要があります。 
  • 申請者は、各大使館・領事館のウェブサイトで、最新の申請条件や手続きについて確認することを強くお勧めします。

E-2ビザとEB-5ビザのどちらを申請すべきか
〜ご検討されている個人の方々へ〜

アメリカ合衆国での就労、投資、起業に関心をお持ちの方には、E-2条約投資家ビザやEB-5投資家ビザの選択肢があります。これらのビザは一見似ているように思えますが、実際には大きく異なります。本記事では、まずそれぞれのビザの基本的な概要を簡潔に解説し、その後に両者の主な相違点について説明いたします。

E-2「条約投資家」ビザ

E-2ビザ、または「条約投資家」ビザは、一般には米国に相当額の積極的な投資を行う企業の従業員、また個人の投資に対して交付される非移民ビザです。E-2ステータスを取得するためには、国籍や投資内容など、様々な条件を満たす必要があります。

E-2ビザの要件

国籍:E-2条約投資家ビザを含む、あらゆるEステータスの基礎となるのは、ビザ申請者が米国と友好条約を締結している国の国民であることです。加えて、スポンサーとなる米国現地の企業の究極の所有権の50%以上が同じ条約締結国の企業や個人によって所有されている必要があります。米国国務省は、E-2資格が適用される条約国のリストを随時更新しています。

投資:E-2ビザのステータスを得るには、申請者が米国へ渡航し、ビジネスまたは企業の運営・管理を行う意向を持つ必要があります。したがって、受動的な投資だけでは通常、E-2ビザの要件を満たしません。申請者は、ビジネスの管理・運営・発展に積極的に関与し、意思決定に関与していることや、ビジネスに対する重要な支配権を有している必要があります。

さらに、投資自体もいくつかの条件を満たす必要があります。まず、該当の投資はリスクを伴い、具体的な企業に対してコミットされている必要があります。つまり、例えば新会社のケースであれば、少なくとも事業開始間近でなければならず、企業が準備段階や投機段階にないことを示す必要があります。単に銀行口座に資金があるだけでは不十分です。投資は潜在的な利益や損失の可能性を伴っている必要があります。

興味深いことに、E-2ビザのステータスを得るための最低投資額は法的に定められていません。代わりに、「相当額の投資」であることが求められます。すなわち、米国政府は、事業の購入や設立にかかるコストとの関連、等々で投資額を審査し、それが事業の種類と規模にふさわしいかどうかを判断します。そのため、投資額を決定する際には、企業の順調な運営に対して経済的にコミットしていることを示すのに十分な金額を投じることを推奨します。

最後に、ビザ申請者には自身の生計を支えるために必要な金額をはるかに上回る収入があり、経済的にプラスの影響を与えられることが必要です。これは申請者の投資する企業が最終的に米国の労働者を雇用し、米国の雇用をさらに創出し、その後米国経済に利益をもたらすことを意味します。

出国の意思: E-2ビザは更新が可能ですが、非移民ビザであるため、申請者はE-2ステータスの満了時に米国を出国する意思を持たなければなりません。通常、この意思は書面を通じて伝えられます。

EB-5「移民投資家」ビザ

EB-5移民投資家プログラムは、ビザ申請者が米国でグリーンカード(永住権)を取得するための直接的な道筋を作るプログラムです。このビザプログラムは、米国へ多額の資本を投資する外国人を対象としており、特定の要件も定められています。

EB-5ビザの要件

国籍:EB-5ビザには国籍要件はありません。EB-5移民投資家プログラムは、いかなる国籍の申請者にも利用可能です。

投資:最低投資金額は105万米ドルです。ターゲット雇用地域(TEA)への投資の場合は、最低投資額が少し低くなり、80万米ドルとなります。TEA内の最低投資額は、田舎地域や高失業率地域(国内平均の少なくとも150%)を反映しているため、TEA外の投資額よりも低く設定されています。これらの投資額は米国国土安全保障省(DHS)によって、2024年10月1日からインフレに基づき5年ごとに自動的に調整されます。

最低投資額に加え、EB-5プログラムには雇用創出の要件もあります。EB-5ビザを取得したい申請者は、米国内に入国した後2年以内に、適格な米国労働者のために少なくとも10人のフルタイム雇用を創出することを証明しなければなりません。

EB-5投資プログラムの興味深い点は、地域センター投資によるさまざまなメリットです。議会は、投資手続きを簡素化し、より多くの投資家を誘致することで経済成長を促進するために、EB-5地域センタープロジェクトを創設しました。このプログラムの下では、複数のEB-5投資家が資金をプールし、USCISの承認を受けた1つの地域センターが運営する投資に共同で出資することが可能です。EB-5地域センター事業は、米国議会によって再認可されており、2027年までにEB-5事業に投資する新規投資家は引き続き利用できます。

TEAには主に2種類あります:田舎の地域と失業率の高い地域です。EB5ANは、両方のタイプの投資プロジェクトを提供しています。

田舎の地域のEB-5プロジェクトへの投資には、以下のような複数のメリットがあります。

  • 最低投資額の引き下げ:前述のとおり、田舎のTEAのプロジェクトでは、投資額が800,000米ドルに設定されています。
  • I-526Eフォームの優先処理により、グリーンカードの取得が迅速化される。
  • ビザ割当枠の20%を事前確保しているため、ビザ審査の遅れに巻き込まれにくく、特にインドや中国出身者にとって利点と言えます。

E-2ビザとEB-5ビザの主な相違点

E-2ビザEB-5ビザ
ビザの種類非移民/一時的移民
投資額明確な最低額はなく、法律的には「相当額」としての定めとなっているTEAなら$800,000、それ以外は$1,050,000
雇用創出明示的な要件はないが、米国経済への寄与が期待される投資後2年以内に少なくとも10人のフルタイム雇用を創出。地域センターが管理
国籍要件適用対象条約国の国籍者に限定国籍不問。全ての国の投資家に開放
処理時間数週間〜数ヶ月数ヶ月〜数年以上、ビザ待ち時間や国による差異あり(TEA投資は最長10ヶ月承認例あり)
永住権取得取得不可。期限切れ後に米国を離れる意向が必要永住権(グリーンカード)取得への直接の道筋
事業への関与積極的な関与が必要。投資した事業に深く関わる必要がある柔軟性が高い

国籍要件

  • E-2ビザは、米国と有効条約を締結している国の国民のみが対象です。ビザスポンサーとなる投資米国企業も、同国の国籍者(または企業)が究極的に50%以上所有している必要があります。
  • EB-5ビザは、全ての国の投資家に開放されていますが、出身国により処理時間や条件が異なる場合があります。

永住権取得の道筋

  • E-2ビザは非移民ビザであり、一時的な滞在を認めるもので、直接的なアメリカ市民権取得の道はありません。一般的に3~5年間の期限付きで発行され、事業の継続が認められる限り無期限に更新可能です。
  • EB-5ビザは移民ビザに分類されており、投資者に永住権(グリーンカード)を直接付与します。

最低投資額

  • E-2ビザには最低投資額の設定はありませんが、一般的には30万〜50万ドル程度の投資例が多いです。ただ業界等にもよります。投資金は、事業の成功運営を示すのに十分な額である必要があります。
  • EB-5ビザは、TEA外の場合は105万ドル、TEA内の場合は80万ドルの最低投資額が必要です。

事業への積極的関与

  • E-2ビザ保有者は、投資した米国内のビジネスの管理・運営に積極的に関与する必要があります。これは、実際のアメリカの住まいもビジネスに近い場所に限定される場合が多いようです。
  • EB-5投資者は必ずしも積極的に事業に関与する義務はなく、米国内の住む場所、働く場所も自由です。

E-2ビザとEB-5ビザに関する基本的なQ&A

:私にはE-2ビザとEB-5ビザの両方の申請資格がありますか?

A: 状況により異なります。E-2ビザは、米国と友好条約を持つ国の国民である必要があります。一方、EB-5ビザには国籍の制限がなく、どの国の国民でも申請可能です。ただし、中国やインドの市民などのように、EB-5には資格があるものの、E-2には該当しないケースもあります。

:それぞれのビザにはどのような業種が該当しますか?

A: E-2ビザは、実態のある営利目的の事業に投資することが必要です。新規設立、フランチャイズ、既存の企業は対象ですが、非営利団体や協会は対象外です。これに対して、EB-5は、投資により一定の雇用創出要件を満たすことが求められます。

自分自身で事業を開始しなければなりませんか、それとも既存の事業に投資可能ですか?

A:両方のビザとも、起業または既存の事業への投資のどちらも可能です。特にE-2ビザの場合、多くの投資家はフランチャイズや既存企業の子会社設立を選択しています。

4. 事業に積極的に関与する必要がありますか?

A: E-2ビザでは、事業の運営に積極的に関与することが求められます。一方、EB-5では、積極的な関与は必須ではなく、より受身的な関与も許容されます。

5. 米国内での居住や勤務場所について制限はありますか?

A: E-2ビザの場合、一般には自身の事業所の近くに居住し、事業運営に必要な積極的関与を維持することが望ましいです。一方、EB-5ビザには地理的な制限はなく、米国内のどこに住んでも構いません。

6. グリーンカード取得への最短ルートはどちらですか?

A: EB-5ビザは、直接的なグリーンカード(永住権)取得への道筋となります。一方、E-2ビザは非移民ビザであり、直接的な永住権取得の道ではありませんが、EB-5や他の種類の移民ビザへのステップとして利用可能です。

7. 各ビザの承認までの期間はどのくらいですか?

A: E-2ビザの取得は一般的に迅速で、数ヶ月以内に決定されることもあります。これは非移民ビザであるためです。一方、EB-5ビザの処理には数ヶ月から数年かかる場合があり、平均的には3〜5年です。さらに、EB-5はビザ待ち行列に影響されやすいですが、E-2はそれに影響されません。

8. まずE-2で申請し、その後にEB-5に切り替えることは可能ですか?

A:はい、可能です。最初はE-2ビザで渡米し、必要な要件を満たした段階でEB-5ビザを目指すことができます。

9. 過去に非移民ビザの拒否を受けたことがありますが、申請可能ですか?

A:はい、以前に非移民ビザが却下された場合でも、E-2およびEB-5の申請資格は維持されます。ただし、過去の却下理由に対処し、再度申請時に適格性を示すことが重要です。

10. 家族を同行させたいのですが可能ですか?

A:はい。どちらのビザも、配偶者および未婚の子ども(21歳未満)を同行させることができます。

11. 配偶者は米国で働くことが可能でしょうか。

A: E-2ビザの場合、配偶者はE-2Sステータスで入国し、あらかじめ就労許可が自動的に付与されます。一方、EB-5ビザの場合、配偶者はEB-5グリーンカード申請(アメリカ国内でのAOSステイタス変更申請)審査中、就労許可を申請・取得することができ、最終的にグリーンカードが発行されれば、制限なく米国で働くことが可能となります。

米国大使館(東京)の最新動向

東京にある米国大使館の最近の動向と展望について、弊所より関係者の皆様にご案内いたします。

特定の状況下において、米国大使館は要請に応じて、Form I-130(米国市民の配偶者等に対する親族請願書)の特急審査を行うことがあります。こうした特定の状況に関しては、米国移民局(USCIS)の政策覚書であるUSCIS Policy Memorandum PM-602-0043.1 の「Process for Responding to Requests by the Department of State (DOS) to Accept a Locally Filed Form I-130(国務省からの、現地提出されたForm-130の受理要請への対応手続き) 」に記載されています。

この 覚書の(c)項には、USCISが米国国務省に対し、I-130請願の受理および手続きを許可する例外的な状況について、以下の説明があります。

  1. 軍事的緊急事態:海外に駐留している米軍兵士が、新たな派遣や転勤の通知を直前で受け取った場合。この例外は、同様の職務に就くほとんどの軍人に通常適用される通知期間よりも大幅に短い場合に限り適用されます。
  2. 医療緊急事態:ビザ申請者またはビザ受益者が、緊急かつ直ちに渡航を要する医療状況に直面している場合。例えば、妊娠中であり、母子にとって渡航の遅れが健康リスクや著しい困難をもたらすケースなどが該当します。
  3. 個人の安全が脅かされる場合:ビザ申請者またはビザ受益者が、差し迫った安全上の危険に直面している場合。
  4. 資格喪失年齢が迫っている場合:ビザ受益者が、ビザの資格喪失まで数カ月となっている場合。
  5. ビザ申請者の最近の帰化:ビザ申請者が最近米国市民権を取得し、家族が元の移民ビザ面接後に新たに別の申請を必要とする場合。
  6. 子供の養子縁組:国内で養子縁組を行い、出国が迫っている場合。この例外は、子供が少なくとも2年間ビザ申請者の法的および身体的監護下にあり、かつ最終的な養子縁組判決が下された場合にのみ適用されます。
  7. 急な部署異動のお知らせ:海外在住の米国市民が、ごく短期間のうちに米国への転勤令や米国での雇用オファーの通知を受けた場合。

申請者の大半は、「急な部署異動のお知らせ」という要件に基づいて申請しています。これらのビザ申請者とそのビザ受益者は、領事区域内に居住している必要があります。これまでは、この条件による申請は比較的寛大に認められてきましたが、最近では却下のケースも増加しております。その理由の明確な説明は少ないものの、米国大使館は最近、雇用の緊急性や、その雇用が永続的なものか一時的なものかをより厳密に審査しているようです。

このような動向を踏まえ、申請を検討されている方は十分注意いただき、ご質問等がございましたら、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。

II. L-1ブランケット申請について

また、米国大使館がL-1 ブランケット申請書に記載された会社名にこれまで以上に細心の注意を払っていることに気づきました。最近、あるお客様の会社名が変更となったケースがありましたが、企業自体および関連会社に変更はなく、名称のみが新しくなったものでした。現行の規則においては、社名変更のみを理由として ブランケットの修正を義務付ける規定はございません。しかしながら、コンプライアンスと透明性の観点から、会社名に変更があった場合には、最新の情報に更新することを推奨しております。

実際に最近の事例で、会社名が変更されたにもかかわらず、その内容がI-797のブランケット承認書に反映されていなかったために、米国大使館が個人のビザ申請を却下したケースがありました。該当企業は、最新の会社名を反映させたブランケットの修正を行う必要があったのです。

仮にその後ビザが承認されたとしても、一時的なものであれ一度却下をされた経歴はESTAの申請資格に影響を及ぼす可能性があることを認識しておくことが重要です。具体的には、過去にビザが却下された経歴は、その後のESTA申請時に必ず開示しなければなりません。これを怠ると、ESTAが却下される可能性があり、その場合米国への渡航には通常のビザ申請が必要となります。

ご不明点やご質問等がございましたら、どうぞお気軽に弊所までお問い合わせください。

NEWS FROM THE GROUND
U.S. Embassy Tokyo

We would like to inform our readers of several recent trends and developments observed at the U.S. Embassy in Tokyo.

Under specific circumstances, the U.S. Embassy may expedite the adjudication of Form I-130, Petition for Alien Relative, when requested. These situations are outlined in USCIS Policy Memorandum PM-602-0043.1, titled “Process for Responding to Requests by the Department of State (DOS) to Accept a Locally Filed Form I-130.”

Section (c) of this memorandum describes exceptional circumstances under which USCIS may authorize the Department of State to accept and process an I-130 petition:

  1. Military emergencies: When a U.S. service member stationed abroad receives notice of a new deployment or transfer with minimal advance notice. This exception applies when the notice given is significantly less than what is typically provided to most service members in similar positions.
  2. Medical emergencies: When a petitioner or beneficiary faces an urgent medical situation requiring immediate travel. This includes cases where pregnancy presents health risks or extreme hardship to the mother or child if travel is delayed.
  3. Threats to personal safety: When the petitioner or beneficiary is facing an imminent threat to their personal safety.
  4. Approaching age-out: When a beneficiary is within a few months of aging out of eligibility.
  5. Recent naturalization of the petitioner: When the petitioner has recently obtained U.S. citizenship, and the family needs a new, separate petition after traveling for the original immigrant visa interview.
  6. Adoption of a child: When the petitioner has legally adopted a child domestically and faces an imminent departure. This exception applies only if the child has been in the petitioner’s legal and physical custody for at least two years and a final adoption decree has been issued.
  7. Short notice of position relocation: When a U.S. citizen living and working abroad receives a job transfer or an offer of employment in the United States with very little notice.

The majority of applicants submit requests under the “short notice of position relocation” criterion. These applicants, along with their beneficiaries, must reside within the consular district. Historically, requests under this criterion have been granted quite liberally. However, recently, we have observed an increase in denials, often without explicit explanations. It appears that the U.S. Embassy is now scrutinizing more closely the immediacy of the job offer and whether the employment in the U.S. is permanent or short-term to determine if the expedite criteria are met.

We advise applicants to be mindful of these developments and to consult with us if they have any questions regarding this area.

II. L-1 Blanket Petitions
We have also noticed that the embassy is paying closer attention to the company names listed on L-1 Blanket petitions. Recently, a client experienced a corporate name change; the company and its relationships remained unchanged, except for the new name. Under current regulations, there is no strict requirement to amend the blanket petition solely due to a name change. Nevertheless, we recommend updating the blanket to reflect the new name as a best practice for compliance and clarity.

Recently, the embassy refused a visa for an individual whose company’s name had changed but was not reflected in the I-797 Blanket approval. The company was required to amend the blanket to show the updated name.

It is important to remember that even if a visa is ultimately approved, a denial—temporary or otherwise—can impact ESTA eligibility. Specifically, any previous visa denial must be disclosed on subsequent ESTA applications. Failure to do so may lead to ESTA denial, necessitating a regular visa application for travel to the United States.

For further guidance or assistance, please do not hesitate to contact us.

米国移民法における「ゴールドカード」提案に関する法的懸念事項

English page is here

1. 概要
トランプ大統領が推進する、「ゴールドカード」と称される制度案は、永住権の販売や商品化を目的としたものであり、これに伴う法的問題が浮上しています。この制度案の反対意見は、当該制度案が現行の米国移民法体系と矛盾していると主張し、またその合法性に疑問を投げかけています。

2. 議会の承認を必要不可欠とする法的基盤
米国において、新たなビザカテゴリーの創設や、永住権(グリーンカード)の資格基準の変更を行うには、基本的に議会(Congress)の正式承認が必要不可欠です。その法的根拠は以下のとおりです。

(1) 憲法に基づく立法権限
米国憲法第1条第8節第18項に基づき、連邦議会には「移民に関する法律を制定する独占的権限」が付与されています。米国連邦最高裁判所も、移民政策に関して連邦議会の「完全なる」立法権を認めており、大統領を含むその他の連邦政府機関が法律の範囲を一方的に変更する権限がないことを強調しています。

(2) 包括的な移民法制度(INA
現行の米国移民制度は、1952年制定の移民国籍法(INA)により規定されており、ビザの種類、資格条件、発給枠の上限などについて詳細に規定した包括的法的枠組みを構成しています。したがって、ビザ制度の法的構造や永住権取得条件に関する重要な変更は、連邦議会によるこの法律の改正を通じてのみ実現可能である。

(3) 大統領権限の制約
大統領は大統領令等を通じて移民政策の一部に影響を与えることができますが、新たな法律や制度を単独で制定したり、新しいカテゴリーを設けたり、実質的な法的要件を改正したりする権限はありません。移民法の制定や改正には、議会による法案提出、審議、承認、そして大統領の署名を伴う正式な立法手続きを踏む必要があります。

3. EB-5プログラムとの比較と示唆
投資を通じて永住権取得を可能とする制度として、1990年に「EB-5投資移民プログラム」が制定されました。近年では2022年に「EB-5改革・完全性法(RIA)」が成立し、同プログラムは2027年まで延長されました。

この制度は、通常105万米ドル(特定地域では80万米ドル)の投資と、米国労働者のための少なくとも10件の新規雇用の創出が要求されます。また、資金の出所が正当であることを確認するため、厳格な審査も行われています。

トランプ氏はこのEB-5制度を「ナンセンス」「不正多発」「虚構」などと批判し、代替案として「ゴールドカード」の導入を提唱しています。しかし、新たな法律の制定や既存制度の廃止・修正を行うには、いずれにせよ、憲法及び法制上の権限に従った議会の正式な立法手続きが必要となります。


4. 「ゴールドカード」に対する法的懸念と批判

もし「ゴールドカード」制度が「販売」モデル、つまり金銭的投資と引き換えに永住権を付与するという方式を採用した場合、いくつかの重大な法的・倫理的問題が生じる可能性があります:

(1)EB-5プログラムの目的からの逸脱
EB-5プログラムは、実質的な投資とアメリカでの雇用創出を義務付けた正当な投資制度として設計されています。雇用創出や資金の正当性の確認といった基本的要件を緩和・免除することは、法の目的から大きく逸脱することになり、公平性、透明性、詐欺防止の原則を損なう恐れがあります。

(2)富裕層優遇に対する社会的・倫理的批判
永住権を単に金銭の支払いと引き換えに提供することは、富裕層の投資家を優遇し、移民制度内で大きな格差を生むことになります。このような制度は、家族呼び寄せや就労ベース、難民、抽選永住権 (Diversity Visa Lottery)プログラムといった他のビザカテゴリーを疎外する可能性があり、米国移民政策に根付く多様性と平等の基本原則に反することになります。

5. 国家安全保障上の懸念
申請者の資産だけを根拠に永住権を与え、犯罪歴や国家安全保障上の脅威に対する包括的な審査を行わないことは重大なリスクを伴います。現在の永住権取得の手続きでは、このようなリスクを軽減するために、厳格な健康診断や犯罪歴調査、個人情報の徹底的な確認が取り込まれています。これらの保護措置が省略や緩和されたりすることは、国家安全保障が損なわれる可能性があり、深刻な懸念を抱かせるのものです。

6. 永住権の「販売」という概念に伴う法的問題
永住権は保持者に対して一定の給付へのアクセスや米国法の遵守義務など、米国市民と同等の法的権利と義務を与えています。このような永住権を金銭の支払いによって取得可能な商品として扱うことは、特に移民制度の正当性や一貫性において、根本的な法的・憲法的疑問を投げかけます。このようなステータスの「販売」は、手続的・法的な公正性、そして国家利益を守るために長年築かれてきた法制度の原則を損なう可能性があります。

トランプ大統領による新たな渡航禁止令の法的解説:移民法の観点から

English page is here

I. はじめに

2025年6月4日、米国のドナルド・J・トランプ大統領は、19カ国の国民に対し入国に関する広範な制限する「大統領宣言」(以下「本大統領令」)を発令しました。2025年6月9日午前0時1分より、本措置は、移民法及び国籍法(以下「INA」または「本法」という)第212条(f)項及び第215条(a)項に基づき付与された権限に基づき、施行されるものとされます。この宣言は、移民ビザと非移民ビザの両方の分類に適用される、完全な入国禁止措置と一部入国禁止措置の枠組みを定めています。ただし、厳格に定義された例外事項に限り、この枠組みが適用されない場合もあります。


II. 法的根拠

本大統領令は、以下のINAの2つの条項に基づいています。

  • 212(f):米国の国益にかなうと判断された場合、外国人の入国を一時停止または制限する広範な裁量権を大統領に与える。
  • 215(a):国家安全保障や公共の安全を守るために必要な場合、大統領はビザの発給やその他の入国書類の発行を制限する権限が認められます。

トランプ政権によるこれらの権限行使は、同様の法的根拠に基づいて発令された過去の渡航禁止措置と同じものです。


III. 制限の範囲

A. 全面入国・ビザ発給禁止対象国

本大統領令の公布と同時に、以下の12カ国の国民に対して、米国への入国およびビザ発給の全面禁止が適用されます。

  1. アフガニスタン 
  2. ミャンマー(ビルマ) 
  3. チャド 
  4. コンゴ(コンゴ共和国) 
  5. 赤道ギニア 
  6. エリトリア 
  7. ハイチ 
  8. イラン 
  9. リビア 
  10. ソマリア 
  11. スーダン 
  12. イエメン

範囲: これらの国のパスポート所持者は、いかなるビザの種類や旅行目的に関わらず、いかなる状況下でも米国への入国が禁止されます。これには、合法的な永住権を取得する移民ビザを申請する個人を含めほか、短期滞在、就労、留学、または家族の再会を目的とした非移民ビザを申請する個人も含まれます。制限は、入国待機中の渡航者にも適用され、合法的な移住手続きの場合でも対象となります。

B. 部分制限対象国

次の7カ国については、一部制限が適用されます。

  1. ブルンジ 
  2. キューバ 
  3. ラオス 
  4. シエラレオネ 
  5. トーゴ 
  6. トルクメニスタン 
  7. ベネズエラ

範囲:

  • 移民ビザ:すべての申請者に対して禁止。 
  • 非移民ビザ:B-1/B-2(商用・観光)、F・M(学生)、J(交流訪問)ビザに対して限定的に制限。 
  • 免除対象:H-1B(専門職)・L-1(企業内転勤)・K-1(婚約者)など他の非移民ビザ申請者は、明確に制限の対象外とされています。

備考: 制限の対象とならないカテゴリーの申請は引き続き受理されますが、領事官は法的権限の範囲内で必要に応じてビザの有効期限短縮を行うことができます。

IV. 適用範囲および制限事項

  • 将来的適用(Prospective Application
    本規定は、2025年6月9日の施行日以降に発行されたビザ及び米国外にいる個人に対してのみ適用されます。
  • 遡及的効力の否定(Non-Retroactivity
    2025年6月9日の施行日より前に発行されたビザは、この布告を理由に失効することはありません。2025年6月9日より前に有効なビザを所持し、同時点で米国内に滞在している者は、そのビザの有効性を引き続き保持することが出来ます。
  • 米国内にいる者への適用(Inside the United States
    施行日前に米国内に合法的に滞在し、有効なビザを所持する者については、本規定の影響を受けず、そのビザは引き続き有効です。

V. 例外規定(Section 4(b))
本大統領令は、特定の個人カテゴリーを保護するための例外規定を明示しており、以下の者はビザ制限の対象外とされる。

  • 永住者(LPR
  • 難民、庇護申請者、拷問防止条約(CAT)に基づき、国外退去の差し止めまたは保護を受けている者
  • 外交官及びNATO代表者
  • 入国禁止措置の対象国以外の国籍を有する二重国籍者
  • 米国市民の配偶者、未成年子女、21歳以上の親族(証明書類の提出を要す)
  • 海外で養子縁組された子ども
  • アフガニスタン特別移民ビザ(SIV)保有者及び米国政府職員のSIV所持者
  • イランにおいて迫害を受けている民族・宗教的少数派
  • 主要な国際スポーツイベント(例:オリンピック、ワールドカップ等)に参加するアスリート、コーチ、スタッフ及びその直系親族
  • 米国務長官により、その入国が国家の利益に合致すると判断された者