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オバマの移民法改正案DAPA最高裁判所へ

201411月、大統領命令により、約4百万人の違法移民に対する救済措置が定められました。これが実行されると、米国籍者あるいは永住者の親である違法移民は、強制退去処分の適用除外とされ、就労許可証 が与えられるということになります。

しかし、この大統領命令は、テキサス州法務長官(共和党)などが違憲だとして訴訟に持ち込み、テキサス州連邦裁判事から差し止め命令が下されました。

連邦最高裁は、オバマ大統領の要求に応え、今年4月にこの件について判断を下すとしています。

この大統領命令が合憲と認められると、移民局には短期間で大量の申請が殺到することになります。オバマ大統領の任期が来年1月までで、後任の大統領がこの命令を取り消す可能性があるからです。

(re:http://www.reuters.com/article/us-usa-court-immigration-implementation-idUSKCN0UY1BH, https://news.vice.com/article/the-supreme-court-will-determine-the-fate-of-millions-of-undocumented-immigrants-obama)

H-1B 保有者の運転免許証更新について

多くの州において、H−1B保有者の運転免許証は、有効なH−1B認可証の期限迄となっています 。よくあるケースとしては、H−1B延長申請が通常申請にて申請された数ヶ月後に、申請が未だ審査中であり 、免許証の期限も切れる事に気づく事が あります。このような場合はどのように対処すればよいのでしょうか。

米国移民局は、H−1B延長申請が審査中である限り、I-94に記載してある滞在期限が切れた後も最長240日間迄同じ雇用主の元にて就業する事を認可しています。 H−1B保持者は、延長申請が審査中に米国外に旅行する事は避けなければなりません。申請書の受領書があれば、免許証を一時的に更新するDMVもありますが、カリフォルニア州のDMVでは、延長申請が審査中の場合免許証を更新する事ができず、免許証が切れた場合でも、グレースピリオドはありません。このような場合、H−1B保有者は、審査中の申請書を特急申請にアップグレードする、 又は特急申請が不可である場合には、他の交通手段を確保する必要がある事を雇用主と協議するのが良いでしょう。

H−1B延長申請が認可されたら、H−1B保持者は免許証の更新手続きを始めるができます。詳細は、DVMのウェブサイトを参照して下さい。又、免許証を更新する場合には、以下の書類を持参して下さい。

  • オリジナルの認可証
  • H−1B申請書のコピー

新たな免許証が発行される迄、DVMは約60日間有効の仮免許証を発行する事となります。

L-1 及び H-1B の追加費用の値上げ

L-1及びH-1B申請には2010年8月から2015年9月30日まで、総従業員数50人以上の会社でその50%以上の従業員がH-1B、L-1A、L-1B保持者である場合、追加申請費用がかかっていました。それが2015年12月18日に2016年度予算案が議会を通過したことで復活し、これまでの費用から値上がりし、L-1申請に対しては$2,250から$4,500へ、H-1B申請に対しては$2,000から$4,000となりました。

なお、在日アメリカ大使館、領事館でも2015年12月21日よりこの条件に該当する特定のブランケットLビザ申請に対し$4,500が課されています。これは通常の$190のビザ発行費用と$500のLビザ詐欺防止費に追加される費用です。もしこの条件に当てはまる場合、I-129SフォームのPart1Aの二つの質問にYesと回答し、ビザ面接の際にこの費用を支払う必要が有ります。なお、移民局申請もそうですが、L-2はこの費用に該当しません。

ちなみにこの費用は新規及び延長申請ともに必要です。ただ、この条件に該当するスポンサー会社は全体のほんの一部に過ぎず、多くの場合は該当しないのですが、今後、通常ケースにおいても申請費用の値上げという流れが近く及んでこないとも限りません。今後に注目です。

新年明けましておめでとうございます

2016年移民法の行方 

20164月から受付開始される新規H-1B 2017年度)申請について、2016年も近年同様、抽選となることは疑いのないことでしょう。先日オバマ大統領は、L-1またH-1Bを持つ従業員の割合が会社全体の少なくとも50%を占める会社からの申請費用(通常の$325申請費用、トレーニング費、Fraud費に加えて必要とされる申請費用の一つで、それら割合が50%に至らない会社は対象外)を50%値上げすることに署名したものの、多くの会社が対象外の会社からの申請であることから、新規H-1B申請者の数が減ることの打開策とはなり得ないでしょう。

アメリカにおいて急激に拡大しているIT産業を背景に、関連する会社からのH-1B申請は増えることが予想されています。数学、科学、エンジニアリング等を専攻としたアメリカの学位を取得した留学生(特にインド人や中国人)の多くは引き続きアメリカに滞在しアメリカでの仕事を希望していることから、そのこともまた新規H-1Bの申請数を増やす決定的要因ともなっています。

一方、アメリカで学位を取得した多くの海外留学生が、このH-1B年間発給枠に伴う抽選の実施が要因で、卒業後H-1Bにてアメリカで就労したくとも実現せず、自国への帰国を余儀なくされている現状もあります。 

また2016年はH-1BL-1保持者に対する会社への監査訪問が引き続き実施され、その実施数は増えることも予想されています。

更に、カリフォルニア州サンバーナディーノ郡でのテロによる銃乱射事件を受け、ビザウエーバープログラムを使ってのアメリカ入国がより厳格化されることでしょう。結果、Bビザなどの非移民ビザの取得が求められるケースが増え、アメリカ大使館でのビザ取得までにかかる時間が長くなることが予想されます。

2016年はアメリカ大統領選挙の年でもあることから移民関連事項は重要視されることでしょう。例えばドナルドトランプ氏が掲げるように、事実、移民問題が選挙のキャンペーンとしても利用されています。今後の選挙運動の内容には注目したいところです。これら移民法を良い方向へ導く可能性を秘めたキャンペーンが繰り広げられる一方、実態とすれば、移民法にとってあまり好ましくない法案があることも否めません。

デビッド シンデル

SW Law Group, P.C.