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旧称:シンデル法律事務所
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アメリカビザのステータス変更について

アメリカビザステータス変更とは、基本的に既に何かしらの非移民ビザを持っている方が、アメリカ国内で別のビザステータスへ変更することを示します。申請はアメリカ移民局に行い、認められれば、基本的にはステータス変更とそのステータスでの一定期間の滞在許可が与えられます。

ステータス変更のためには合法的なアメリカ入国は絶対で、ステータス変更申請の元になるビザステータスは合法的に維持している必要があります。

一方で、合法的なアメリカ入国とは言え、ESTAでアメリカへ入国した方が、何かしらのビザステータスへ変更するはできません。言い換えれば、ESTAは元々ビザなしでの渡米を意味していますので、ステータス変更の元になるビザがないためステータス変更という概念自体が存在しません(ただ、一部アメリカ人との結婚を通して永住権を申請する場合はESTAからでも認められる場合はあります)。なお、例えば政府関係の一部ビザでもアメリカ国内でのステータス変更が認められないものもございます。

さて、実際の申請についてですが、上記にも触れましたが、基本的にはアメリカ移民局に申請します。一般的には例えばH-1B、L-1、E、O、Pビザなどの就労ビザ間でのステータス変更の場合は、I-129というフォームを提出します。なお、一緒に申請する扶養家族はI-539フォームを提出します。またF-1やB-1/B-2などへのステータス変更の場合は、I-539フォームを提出します。変更先のビザステータスまたご自身の立場(主たる申請者か扶養家族か)等によって提出するフォームも異なるため、注意が必要です。

I-129申請については特急審査申請が設けられていて、別途特急審査費用を支払うことで、申請(移民局による正式な受付)から早ければ15日以内でステータス変更は完了します。

申請後ですが、就労ビザの場合、ステータス変更申請が認められるまでは新しい就労先で就労を開始することはできません。また、最終結果が出る前にアメリカ国外へ出国した場合、通常ステータス変更は認められませんので注意が必要です。なお、一旦のステータス申請後に元々のビザの滞在期限が過ぎてしまう場合について、その申請が元々のビザによる滞在期限までに行われ、その申請内容が認可を受けるのに正当なものであれば、最終結果が出るまでの審査中は合法的にアメリカ国内で結果を待つことはできます。無論、適当な内容の申請ではその申請そのものは有効ではなかったと移民局により判断される可能性があるため、仮に審査中に元々の滞在期限が切れてしまうような場合は、その期限以降は結果的に不法滞在扱いとなる可能性もありますので、申請書の内容はより注意する必要があるでしょう。

さて、無事に結果が出れば、一定の滞在期間も与えられるわけですが、もちろんステータス維持のためには就労ビザであれば就労、学生ビザであれは学業、というようにビザ種に応じた活動を申請書の内容に沿って行うことは重要で、変更が出る場合は、更なる修正申請が必要な場合もあります。

例えば、F-1やM-1などの学生ビザであれば、ステータス変更が認められても滞在期限は設けられず、D/Sという表記がされます。これはDuration of Statusの意味で、I-20を持っている、しっかりと授業料を支払い、特定の授業を受けているなど、その限りにおいて、アメリカ滞在を期限なく続けることができます。

なお、お客様によってはアメリカ滞在中にパスポートに貼り付けられているビザ査証が切れてしまう、またステータス変更した新しいビザ査証を必ず取得しなければならないと思っている方がいらっしゃいます。それは間違いで、ステータス変更が滞在許可とともに認められれば、その期限までは、あえてビザ査証を取得する必要はありません。ビザ査証はそのビザステータスにてアメリカに入国する際に必要なものに過ぎません。

その他の注意点として、一部ビザによってはそのビザ種それ自体に最長のビザ滞在期限が存在するというものです。例えばH-1Bであれば、一般的な状況では6年、L-1では5年または7年に限ります。なお、H-1BからL-1(またはその逆)へのステータス変更の場合、元々のビザステータスでの滞在期間もカウントされますので、ステータス変更後の最大滞在期限はその分短くなりますので、注意してください。

なお、上記は非移民ビザに関するステータス変更についてでしたが、ステータス変更とは非移民ビザ保持者から永住権保持者となるための申請も含みます。一部アメリカ人との婚姻を通しての申請以外は、非移民ビザを持っていなければ、アメリカ国内で永住権申請を行うことはできません。合法的にアメリカに入国していない、また入国後正当にビザステータスを維持していない、不法就労していた、などの場合は、一旦出国して、アメリカ大使館での移民ビザ申請を行う必要があります。なお、アメリカ国内での永住権申請の場合、最終段階のAOS(Adjustment of Status)申請の際、一緒に就労許可証と出入国許可証の申請も可能です。とりわけ移民局によるAOS審査が長くなるようであれば、永住権取得までの審査中、それら就労許可証と出入国許可証が認められれば、それらを使って少なくとも永住権取得(または最終結果が出る)までの間、就労及び渡航も可能になるので、大変便利です。

補足までですが、以前は30日/60日ルールというものがあり、これはある特定のビザでのアメリカ入国後30日以内は他のステータスには変更できない、30~60日であれば特別な変更理由が求められていましたが、現在ではそのルールは撤廃されました。アメリカ入国後早々のステータス変更は元々のアメリカ入国目的は正当ではなかったのではないかという疑いが持たれていたためです(一部、結婚を通しての永住権申請の場合、結婚後すぐの申請には制限はあるようです)。時代の流れとともにこのようなルールにも変化が出てきています。

以上、アメリカ入国後、状況が異なり、別のビザステータスへ切り替えることは珍しいことではありません。ただ、ステータス変更申請は時に戦略的に行う必要があります。例えば、転職を伴うステータス変更の場合は、認可されなければ、職を完全に失うような状況も出てくるかもしれません。せっかく学校から入学許可が出たのも関わらずステータス変更が認められなければ学校に通うこともできません。仮に認可されても希望の雇用開始日また始業日に間に合うことを保証するものでもありません。

実際にアメリカ国内でステータス変更を考えていらっしゃる方は、例えば、ご自身のステータスがどのように維持されてきているか、スケジュール感はどうなのか、またご自身の申請は雇用ベースか家族ベースかでもその内容は異なります。それら状況を踏まえ、あらゆる角度から総合的にご自身のケースを評価判断する必要があり、申請そのものも戦略性が求められることが多いことからも、ステータス変更をお考えの方は、まずは専門家に相談いただくことをお勧めします。

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