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旧称:シンデル法律事務所
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アメリカ永住権の申請について

アメリカ永住権は一旦取得できれば、例えばアメリカでの就労など、ビザスポンサーの必要性なく就労が可能になるなど、とても便利です。しかしながら多くの場合、取得までに非常に長い年月を要します。たとえば、一般の雇用ベースの永住権申請では、年間発給上限数があることや審査の遅延等により少なくとも2~3年程度はかかる場合が多く、また申請者の出生国によっては申請から取得まで10年以上かかるカテゴリーもあります。

日本人の場合、永住権の取得方法は大きく分けると主に3つに分類されます。雇用、家族、また抽選によるものです。

まず、雇用ベース(EB: Employment Based)の永住権申請では、多くの場合、会社をスポンサーとして申請します。カテゴリーは更に分類され、EB1からEB5までの5種類あります。EB1(多国籍企業の重役やマネージャーなど)、EB2(非常に優秀な能力を有する者でEB-1の“並はずれた能力”よりは低い基準に相当する、又は知的職業に従事する高学位(修士号かそれ以上)を持っている者、など)、EB3(学士号を持つが第2カテゴリーに該当しない場合、少なくとも2年の職務経験を持ち米国の労働者が不足している職業につく場合など)が主に日本人が該当するカテゴリーになります。自分がどのカテゴリーに該当するかは、会社の状況、オファーされるポジションや業務内容、経歴等によって判断されます。

基本的に申請は3つのステップがあり、第1ステップが労働局への労働許可申請(PERM申請)、第2ステップが米国移民局へのI-140移民申請(スポンサー会社の給与支払能力なども審査対象)、そして第3ステップ(永住権申請(基本的に本人の経歴、生体確認))です。最終第3ステップでは既にアメリカに何かしらのビザで滞在している人のアメリカ国内でのステイタス変更申請または日本での面接申請のどちらかを選択することになります。なお、EB1カテゴリーや他カテゴリーの一部では、第一ステップが免除されるものもあり、その場合、大きく審査期間を短縮できます。ちなみにEB-4は宗教家などが該当し、EB-5は多額の投資に基づいたものになります。

次に家族ベースの永住権申請についてです。スポンサーになれる家族は基本的にはアメリカ市民かアメリカ永住権保持者です。米国市民であれば配偶者、親、子供(21歳以上)、兄弟や姉妹で、永住者であれば配偶者、21歳未満の子供、等が主な対象者になります。 申請は本人とその家族の関係によって優先区分があります。たとえば、米国市民の配偶者や親の申請の場合は、年間発給数に影響はなく、比較的スムーズに申請は進みます。またアメリカ市民をスポンサーとする申請で、永住権取得に緊急を要する場合については、条件に当てはまれば、特急申請として永住権取得までの期間を縮めることができる申請方法もあります。その場合、日本からアメリカに呼び寄せる場合など半年程度で永住権取得まで至るケースもあります。ちなみに米国市民の祖父母、叔父・叔母、姻戚、いとこなどの親族は家族ベースの永住権取得の対象にはなりません。

大まかな申請の流れですが、ビサ申請者が米国内に居住している場合、Form I-130 (Petition for Alien Relative)およびForm I-485(Application to Register Permanent Residence or Adjustment Status)を米国移民局へ申請します。アメリカ国外にビザ申請者が居住している場合、まず米国移民局へのForm I-130の申請(例外あり)を行い、認可後、NVC(National Visa Center)による書類審査、そして、在外米国大使館(日本の場合:東京、那覇)での面接申請となります。上記にも触れましたが、永住権取得が緊急の場合は、I-130申請をアメリカ大使館に直接行うことのできる特別措置が設けられており、大きく審査期間を縮めることが期待できます。

申請は家族の証明は当然のこと、スポンサーには一定の経済力(アメリカでの一定額以上の収入)も求められます。とりわけ、配偶者の永住権申請は結婚そのものが真正(Bone Fide Marriage)であるかを示すことはとても重要です。結婚後2年以内にアメリカ市民の配偶者として永住権を申請した場合、最初は2年有効の条件付きの永住権が発行されます。

最後に、抽選永住権(Electronic Diversity Visa Lottery)です。俗に「永住権宝くじ」と呼ばれているもので、1992年より米国政府が実施しています。日本も対象国で、毎年数百人がこの方法を通して永住権を取得しているようです。応募時期は例年10月~11月頃です。無事に当選し、自身の当選番号が次の申請ステップに進むことのできる順番となれば本申請に進ことができます。逆を言えば、当選しても当選番号が大きければ実際の申請に進めないケースもあるのです。これは地域ごと(日本であればアジア)に抽選永住権発給数に上限が決められており、当選者数はその発給上限数よりも多めに設定されているからです。当選後の申請として、上記同様、アメリカ国内での永住権保持者へのステイタス変更申請、在日アメリカ大使館での面接を通して永住権申請があります。

一旦永住権を取得すれば、アメリカに永住するということが大前提になります。従って、永住権保持者としてアメリカを継続して1年以上離れる場合など、永住権を剥奪される場合もありますので注意が必要です。アメリカを長期に離れる場合は、Re-Entry Permitの取得を勧めます。また永住権取得を足掛かりとして、アメリカ市民になることも可能です。

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