EB-5投資家が2025年度(会計年度)終了前に知っておくべきこと
9月が近づくにつれ、米国の移民制度は重大なカウントダウンに直面しています。連邦会計年度の終了日である2025年9月30日は、EB-5投資家にとって重要な分岐点です。毎年、未使用のビザ番号は失効し、ビザ審査の所用時間、締め切り日、国別の配分は、新しい会計年度の開始とともに大きく変化する可能性があります。
2025年8月のビザBulletin(グリーンカード申請の可能性を示した月次のチャート)では、インドや中国など、長期にわたり待機が続いていた国々に対して珍しく動きが見られました。また、地方部のEB-5投資カテゴリーは、引き続き処理時間が速く、予測可能性の向上が図られています。2025会計年度も残り数週間となりましたが、最も重要な問いは、ビザの取得において「誰が期限内にビザを取得できるのか」そして「誰が翌年度以降の遅延に直面することになるのか」という点です。
現行のビザBulletinのハイライト
EB-5ビザの特定カテゴリー (地方部、ハワイ外務省(Foreign Affairs, HUA)、インフラプロジェクトを含む)は、現在全ての国において「現行」扱いとなっており、中国やインドも例外ではありません。これらのビザは迅速に審査されており、手続きもシンプルで待機リストも存在しません。申請を検討されている投資家にとって、今は非常に有利なタイミングです。
遅れが見られる分野と今後の見通し
すべての雇用ベース移民カテゴリーが同じペースで進んでいるわけではありません。実際、多くのカテゴリーでは停滞または後退がみられます。
- EB-2(全ての国):2023年9月1日に後退し、近日中に利用不可となる可能性があります。
- EB-3(インド):2013年5月22日にわずかに進展しただけで、加速の兆しは見られません。
- その他のEB-5カテゴリー:特に割り当て枠のない国おいては、停滞または遅滞傾向にあります。
これらの傾向は、USCISや国務省が残されたFY2025ビザの割当を配分するなかで、システムへの圧力が高まっていることを示しています。
現在の状況に影響を与える要因
以下の重要な要素が、EB-5の現状に影響を与えています:
- 未使用の家族ベースのビザの流入:これらは一時的に雇用ベース移民の供給を増やしています。
- EB-5地方部事業への優先審査:都市部よりも最大13倍の速さで地方部事業の審査が行われています。
- 改革と誠実性法(Reform and Integrity Act, RIA):この立法措置は、より一貫性があり高品質な申請書の提出を促進し、承認率向上に寄与しています。
- 投資家の需要増加:インド、ベトナム、中国などの申請滞積問題を抱える国において活動が活発化しています。
総合的に見て、EB-5は絶えず進化・変化しており、特定の分野では加速していることが明らかです。
タイミングの重要性:10月1日のリセットについて
毎年10月1日を迎えると、ビザ割当がリセットされ、2025年度の未使用EB-5ビザは失効します。その後の会計年度では、新たな上限設定や調整が行われる可能性があります。具体的には、以下のような状況が想定されます。
- 後退(レトログレッション):需要が供給を超える場合
- 不確実性の増大:特に未予約のカテゴリー (unreserved categories) において顕著
- 遅延の可能性:各機関が審査優先順位や割当を調整することによる影響
この点において、タイミングは極めて重要です。特に、優先日が現在有効な投資家や、設定済みカテゴリーの資格を有する場合は、9月30日までに申請を完了させることが、ビザ取得成功の可能性を最大化するために不可欠と言えます。
申請の準備と戦略
- I-956Fの承認を受けたプロジェクトを選択する:事前承認による申請の迅速化
- 地方部地域のプロジェクトを優先する:現行ステータスの維持、迅速な審査、そして低いリスクという恩恵を受けている
- 迅速に行動する:数週間の遅れでも、2025年度のビザプールを逃すリスクが高まる
USCISのデータに基づく洞察
最近の内部データによると、地方部地域のI-526E申請の約27%が2023年初頭から2025年までに審査・処理されたのに対し、都市部の申請は2%未満に留まっています。これは、RIAで義務付けられた優先審査の方針に対するUSCISのコミットメントを示しています。さらに、承認率も向上しており、審査の安定化と投資者の信頼増加を反映しています。
結論
2025年度の終了を迎えるにあたり、EB-5投資家がチャンスを最大限に活かすためには、ビザ制度の動向とタイミングを理解し、迅速に行動することが不可欠です。経験豊富な法律専門家に相談し、適切な戦略を立てることは、期限内に希望するビザを取得する上で決定的な違いをもたらす可能性があります。