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2026.10.10

永住権 移民ビザ

SB-1ビザの有効期限が切れたら?米国永住権を取り戻す方法とは

SB-1ビザの有効期限が切れた、または申請が却下されたとしても、米国での生活が終わるとは限りません。状況によっては、新たなSB-1の申請、永住権喪失の認定を争うこと、グリーンカードの手続きのやり直し、あるいは一時的なビザでの訪問といった選択肢があります。

人生は予測できないものです。米国の永住者(グリーンカード保持者)にとって、急な病気、世界的なパンデミック、家族の事情などにより、短期の海外渡航が予想以上に長期化してしまうことがあります。

米国外に1年以上滞在した場合、または再入国許可証の有効期間を超えて滞在した場合、通常、グリーンカードだけでは米国に再入国できなくなります。一般的な帰国の方法は、SB-1(帰国居住者)ビザです。もう一つの方法として、米国に渡航し、入国時に米国税関・国境警備局(CBP)に対して、一貫して米国に戻り永住する意思があったことを示す証拠を提示するという選択肢もあります。

では、SB-1ビザを使う前に有効期限が切れてしまった場合、申請が却下された場合、あるいは申請の時期を逃してしまった場合はどうすればよいのでしょうか。永住権を失うことは大きな不安を伴います。本稿では、次の点について解説します。

背景:SB-1帰国居住者ビザの仕組み

SB-1は2段階で手続きを行う移民ビザであり、承認後には厳しい期限があります。この期限を理解することが、SB-1の有効期限が切れた場合に何が起きるかを理解する鍵となります。

グリーンカードが再入国に使えなくなる可能性がある場合

1年を超えて不在にしたからといって、永住権が自動的に失われるわけではありません。永住権は「放棄」によって失われ、その判断は海外にいた期間だけでなく、本人の意思や米国とのつながりによって決まります。ただし、不在が長くなるほど、米国の居住を放棄していないことを示すのは難しくなります。

SB-1手続きの2つの段階

  1. 帰国居住者としての資格審査(Form DS-117): 渡航予定の少なくとも3か月前を目安に、米国大使館・領事館で申請します。グリーンカード、再入国許可証(お持ちの場合)、渡航日、米国とのつながり、海外滞在が長期化した理由を示す証拠を提出します。面接が必要です。
  2. 移民ビザの申請(Form DS-260): DS-117が承認されたら、移民ビザの申請書を作成し、ビザ申請料を支払い、健康診断と必要な予防接種を受けます。通常、2回目の面接があります。

承認されるためには、次の点を示す必要があります。

立証責任は申請者にあります。 有効な証拠としては、居住者として申告した米国の納税申告書、米国の自宅または賃貸借契約、米国の銀行口座、米国の運転免許証、米国での雇用、米国の学校に通う子どもなどがあります。一方、海外での就職、海外での新たな住居、海外での投票、長期または頻繁な不在などは、放棄の証拠とみなされることがあります。

期限が重要な理由

国務省は、承認された申請者はDS-117の承認から6か月以内に移民ビザを申請しなければならないと定めています。また、発給された移民ビザは通常、最長6か月間有効です。いずれかの期限を過ぎると、その承認やビザは使用できなくなります。

DS-117が却下された場合、その記録は国務省のシステムに残り、今後の申請はその経緯を踏まえて審査されます。

下段の3つの方法は、永住権の維持または回復を目指すものです。一時的に訪問する場合は、まずグリーンカードを正式に手放す必要があります

1. 新たなSB-1ビザの適格性を再検討する

新たにSB-1を申請できる場合もありますが、それは戻れなかった理由が今回も本人の力の及ばないものであったと示せる場合に限られます。2回目の申請は、1回目よりも厳しく審査されます。

渡航できないままSB-1の有効期限が切れた場合

SB-1ビザ(またはDS-117の承認)を使わないまま期限が切れた場合、通常は改めて適格性を立証する必要があります。領事官は前回と同じ質問に加えて、「なぜビザの有効期間中に渡航しなかったのか」という新たな質問をします。

新たな申請が認められる可能性が最も高いのは、遅延がさらに別の不可抗力による場合です。例えば、次のような場合です。

最初の承認以降の期間について、次のような十分な証拠書類が必要です。

最初のSB-1申請が却下された場合

DS-117の却下に対する不服申立ての制度はありません。新たに申請することはできますが、最初の却下理由に新たな事実やより強い証拠で対応できなければ、成功は望めません。領事官が居住を放棄したと判断した場合、同じ事実で再申請しても、ほとんどの場合同じ結果になります。

再申請の前に確認すべきこと

これらの質問に対する率直な答えが好ましくない場合は、本稿で紹介する別の方法のほうが現実的かもしれません。

取るべき行動: 米国を出国してからの全期間について書類を集めましょう。特に、最初のSB-1承認以降の期間に注意してください。

2. 米国の入国港で入国を申請し、放棄の認定を争う

米国との強いつながりを持つ長期居住者には、もう一つの選択肢があります。グリーンカードを持って米国に渡航し、帰国居住者として入国を求める方法です。この方法には大きなリスクがあるため、必ず法的助言を受けたうえで検討してください。

この選択肢がある理由

グリーンカードが渡航に使えなくなっても、永住権が自動的に失われるわけではありません。一般的に、永住権が失われるのは次の場合に限られます。

移民裁判所では、一般的に政府側が、明確かつ疑いのない説得力のある証拠によって放棄を立証する責任を負います。これは、申請者が立証責任を負う領事館での審査よりも高い基準です。

入国港で起こり得ること

到着時、米国税関・国境警備局(CBP)の官実は次のいずれかの対応をとる可能性があります。

慎重に検討すべきリスク

この選択肢を検討する価値がある場合

取るべき行動: 永住権を手放すと決めていない限り、空港でForm I-407に署名しないでください。この方法で渡航する場合は、航空券を予約する前に移民法弁護士にご相談ください。

3. 新たな移民ビザ請願を提出する

SB-1の要件を満たさなくなった場合や、再申請のリスクが高すぎる場合には、グリーンカードの手続きを一からやり直すことが、最も確実な方法となることが少なくありません。申請費用や処理期間は改めてかかりますが、長期不在が本人の力の及ばない理由によるものだったと立証する必要はありません。

家族による請願(Form I-130)

米国市民または永住者である家族が、あなたのために新たな請願を提出できます。必要な期間は、続柄によって異なります。

請願者カテゴリー待機期間
米国市民の配偶者近親者年間数の上限なし。処理期間のみ
21歳以上の米国市民の子(親のために請願)近親者年間数の上限なし。処理期間のみ
米国市民の親(21歳未満の未婚の子のために請願)近親者年間数の上限なし。処理期間のみ
米国市民の親(成人または既婚の子のために請願)家族優先(F1またはF3)年間数に上限あり。数年以上かかることが多い
永住者である配偶者または親家族優先(F2AまたはF2B)年間数に上限あり。待機期間はさまざま
21歳以上の米国市民の兄弟姉妹家族優先(F4)年間数に上限あり。長年かかることが多い

家族優先カテゴリーの最新の待機状況は、国務省が毎月発表するビザ・ブレティン(Visa Bulletin)で確認できます。

雇用による請願(Form I-140)

米国の雇用主がスポンサーになる場合は、雇用ベースの手続きで申請できます。カテゴリーによっては、本人が自ら申請することも可能です。

その他の方法

手続きの流れ

海外在住の申請者の多くは、次の流れで手続きを進めます。USCISが請願を承認し、案件が国家ビザセンター(NVC)に移り、DS-260と必要書類を提出し、米国大使館・領事館で面接を受けます。新たな移民ビザで米国に入国すると、再び永住者となります。

なお、米国市民権取得に必要な居住期間は、通常、新たな入国日から改めて数え直しとなります。

取るべき行動: 請願者となり得る家族や雇用主をすべて洗い出し、待機期間を比較したうえで、どの請願を進めるかを決めましょう。

4. 非移民ビザで米国に入国する

永住権を手放すと決め、一時的に米国を訪問するだけでよい場合は、非移民ビザが適していることがあります。身の回りの整理、不動産の売却、口座の解約、家族の訪問などが主な目的です。

選択肢

永住権を正式に手放す(Form I-407)

永住者の身分のままでは、通常、非移民ビザを発給してもらうことはできません。そのため、領事館は通常、非移民ビザの申請前または申請と同時に、Form I-407を提出して正式に永住権を放棄することを求めます。

Form I-407の提出に手数料はかかりません。通常は米国市民権移民局(USCIS)に提出しますが、米国大使館・領事館や入国港のCBPで受け付けられる場合もあります。

Form I-407を提出すると、永住権は失われます。十分に理解し、明確に決断したうえで署名してください。

注意:移民の意思と214(b)の審査

実際には米国に永住するつもりであれば、非移民ビザを利用することはできません。

注意:米国の税務上の影響

グリーンカードを手放すことは、税務上の影響を伴う場合があります。過去15課税年度のうち少なくと8年度、永住権を保持していた場合、米国の税務上「長期居住者」として扱われる可能性があります。その場合、永住権の放棄は国外移住(expatriation)とみなされ、報告義務や、場合によっては出国税(エグジットタックス)が生じることがあります。

USCISは、Form I-407を提出した人の氏名を内国歳入庁(IRS)に通知します。提出前に、米国税務の専門家にご相談ください。

取るべき行動: Form I-407を提出する前に、SB-1やその他の方法で永住権を維持できないかを確認しましょう。また、長年永住者だった場合は、税務の助言を受けてください。

一人で対応すべきでない理由

帰国居住者や放棄されたグリーンカードに関する規則は複雑であり、それぞれの選択肢に異なるリスクがあります。また、SB-1の期限切れや却下は、移民関係の記録に対する審査をさらに厳しくします。

長期的な悪影響を及ぼし得るよくある誤りには、次のようなものがあります。

これらはいずれも、長期または永久的な米国への入国禁止につながる可能性があります。

出典

本稿は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言または税務上の助言ではありません。各案件の結果は、個々の事情によって異なります。

この記事を書いた人

弁護士

David Sindell
デビッド・シンデル

ニューヨーク州およびニュージャージー州弁護士。東京にて外国法事務弁護士(外弁)として登録し、米国移民法を専門に31年以上の実務経験を有する。これまでに3万件を超える移民関連案件を手がけ、企業・個人を問わず米国での就労・生活を幅広く支援してきた。
現在は東京を拠点に、英語・日本語・フランス語・タイ語を用いたきめ細かなサポートと、執筆・講演活動を通じた情報発信を行っている。

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