DHS、F・J・I非移民ビザ保持者に対する「固定滞在期間」ルールを正式決定:分析とコンプライアンスガイド
2026年7月17日、国土安全保障省(DHS)は、Fビザ(学術学生)、Jビザ(交流訪問者)、およびIビザ(外国報道機関代表)の非移民ビザ保持者を対象として、長年運用されてきた「Statusの存続期間(Duration of Status / D/S)」制度を廃止し、**「固定滞在期間(Fixed Period of Admission)」**を導入する最終ルールを公布しました。
本規制は2026年9月15日に発効予定であり、米国移民管理における根本的な方針転換を意味します。今後はビザ保持者、教育機関、プログラムスポンサー、および雇用主において、I-94の有効期限を厳格に管理し、滞在延長(Extension of Stay: EOS)申請を適時かつ正確に行うことが求められます。
1. 固定滞在期間制度の概要
従来、F-1学生およびJ-1交流訪問者は「D/S」として入国を認められており、ステータスを維持しルールを遵守している限り、期間の定めなく滞在が可能でした。新ルール下では、すべての対象者にForm I-94上で明確な**滞在期限(Admit Until Date: AUD)**が指定されます。
主な滞在期間の制限
- 初回入国時の最大認可期間: F・Jビザ保持者は、Form I-20またはDS-2019に記載されたプログラム終了日までの滞在が認められますが、1回の入国につき最大4年間に制限されます。4年を超えるプログラムの場合は、4年を迎える前に正式なEOS申請が必要となります。
- 猶予期間(Grace Period): F-1学生のプログラム終了後の出国猶予期間は、従来の60日間から30日間に短縮されます(J-1保持者は引き続き30日間)。
- 報道関係者(Iビザ): 報道任務の完了に必要な期間(最大240日間、中国国籍者は90日間)の滞在が認められ、必要に応じて延長申請を行います。
重要ポイント: 学校のDSO(留学生担当官)やプログラムのRO(責任者)がForm I-20やDS-2019上の期間を延長するだけでは、米国における合法的な滞在期間は自動的に延長されなくなります。今後は米国市民権・移民サービス局(USCIS)に対し、Form I-539等を用いた正式なEOS申請を行う必要があります。
2. 既存のD/S保持者に対する経過措置
DHSは、2026年9月15日のルール発効時点で、すでにD/Sステータスで米国に合法的に滞在している者に対して経過措置を設けています。
┌─────────────────────────────────────────────────────────────────────────┐
│ 経過措置ステータスマトリックス │
├───────────────────────────┬─────────────────────────────────────────────┤
│ 該当条件 │ 経過措置の適用内容 │
├───────────────────────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│ 2026年9月15日時点で │ I-20/DS-2019に記載のプログラム終了日、 │
│ D/Sステータスで滞在 │ またはEADの期限まで滞在可能(最長2030年 │
│ │ 9月15日まで)。 │
├───────────────────────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│ 発効日以降の国外渡航 │ 再入国時に日付指定(AUD)のI-94が発行され、 │
│ │ D/Sステータスおよび経過措置は終了する。 │
└───────────────────────────┴─────────────────────────────────────────────┘
- 即時のEOS申請免除: 2026年9月15日時点で適切にステータスを維持しているF・J保持者は、原則として直ちにEOSを申請する必要はありません。現在のForm I-20/DS-2019に記載されたプログラム終了日、または雇用許可証(EAD)の有効期限(上限は2026年9月15日から最長で2030年9月15日まで)まで滞在が可能です。
- 国外渡航の影響: 2026年9月15日以降に米国を出国して再入国した場合、経過措置の適用は失効します。再入国時には固定滞在期限(AUD)が指定された新たなI-94が発行され、即座に新規則に基づくEOS手続きの対象となります。
3. 就労許可およびOPT / STEM OPT
本ルールでは、オプショナル・プラクティカル・トレーニング(OPT)およびSTEM OPT申請と、基礎となる非移民ステータスとの関係についても変更が加えられています。
- EOSの同時申請: OPTまたはSTEM OPTの就労許可(Form I-765)を申請するF-1学生は、原則としてF-1ステータス自体を延長するためにForm I-539を同時に提出する必要があります。
- 経過的な猶予措置: 初期の手続き的混乱を緩和するため、2027年3月18日以前にOPTまたはSTEM OPTを申請する学生については、申請するOPT期間に関して別途Form I-539を提出する必要はありません。
- Form I-9(就労資格確認)上の注意点: 雇用主は、EOS申請の受領通知(Receipt Notice)のみで自動的に就労許可が延長されたとみなすことはできません。Form I-9の再確認にあたっては、独立した就労資格(有効なEADや法定の就労延長規定など)を確認する必要があります。
4. 学術計画に関する実質的な制限
手続き上の変更にとどまらず、本ルールはF-1学生の学術的な柔軟性に対しても以下のような厳しい制限を課しています。
- 学部生の転校・専攻変更: 学部生は原則として、学校の閉鎖などの承認された例外を除き、最初の1学年(1 academic year)期間中の転校、専攻変更、または教育レベルの変更が禁止されます。
- 大学院生の目標変更: 大学院生は原則として、在学中の転校や主要な教育目標の変更が制限されます。
- 同等またはそれ以下の学位レベルへの進学制限: 2026年9月15日以降にプログラムを終了した学生は、原則としてF-1ステータスのまま同等またはそれ以下の教育レベルのプログラムを新たに履修することはできません。
- 語学学校の通算上限: 独立した語学研修プログラム(English-language training)へのF-1ステータスでの在籍は、通算で最大24ヶ月までに制限されます。
5. 各関係者への推奨対策
学生および交流訪問者(F-1/J-1保持者)
- 毎入国後のForm I-94確認: 米国へ再入国した際は、毎回必ずオンラインでForm I-94をダウンロードし、滞在期限(Admit Until Date)を確認・記録してください。
- 学術計画変更前の事前相談: 専攻変更、転校、またはプログラム期間の延長を行う前に、必ずDSO/ROに相談し、適切な承認手続きを行ってください。
- 慎重な渡航計画: 2026年9月15日以降の国外渡航は、ステータスが固定滞在期間へ切り替わる要因となるため、リスクを事前に検討してください。
- 帯同家族(F-2/J-2)の管理: 家族の滞在延長申請も、主申請者のForm I-539に併せて確実に提出してください。
雇用主(企業・機関)
- 管理システム・データベースの改修: 従業員のForm I-20/DS-2019およびEADの有効期限に加え、Form I-94の滞在期限(AUD)を追跡・管理する項目を追加してください。
- 早期申請スケジュールの策定: I-94の有効期限を迎える従業員に対し、遅くとも6ヶ月前にはEOS申請の準備を開始できるよう社内ルールを整備してください。
- Form I-9プロセスの見直し: 「ステータス延長(Form I-539)」と「就労許可延長(Form I-765/I-129)」の違いを明確に理解し、正しい受領通知や書類に基づいて就労資格の再確認を行ってください。
タイムラインのまとめ
| 日付 | 出来事・マイルストーン |
|---|---|
| 2026年7月17日 | 連邦公報(Federal Register)にて最終ルールを公布 |
| 2026年9月15日 | 施行日;新規入国者に対して固定滞在期間ルールが適用開始 |
| 2027年3月18日 | OPT/STEM OPT申請時におけるForm I-539別途提出免除(経過措置)の終了 |
| 2023年9月15日 | 従来のD/S保持者に対する経過措置の最終終了期限(最長4年間) |