USCISの未処理案件数が過去最多の1,130万件に、却下率も上昇
最新の申請データが申請者と雇用主にとって何を意味するのか、そしてどう対応すべきか
米国市民権・移民局(USCIS)の処理状況に関する最新データは、同局のシステムがさらに遅延していることを示している。2026年8月に発表されたアメリカン・イミグレーション・カウンシル(American Immigration Council)によるUSCIS処理データの分析によると、2026会計年度第1四半期における同局の未処理案件数は、申請件数が大幅に減少したにもかかわらず、過去最多となる1,130万件の申請・請願に達した。
その組み合わせにこそ注目すべき点がある。申請件数が減っているのに積み残しが増えているというのは、需要の問題ではない。処理能力(スループット)の問題であり、現在案件が係属中の人、あるいは今後数か月以内に申請を予定している人すべてに直接影響する。
申請件数が減少する中でも積み残しは増加
2025会計年度第1四半期から2026会計年度第1四半期にかけて、USCISの未処理案件数は160万件以上増加し、970万件から1,130万件へと16.5%増加した。
同期間中:
- 新規申請件数は前年同期比で33.6%減少した。
- 処理完了件数は40.8%減少し、申請件数の減少幅を上回った。
つまり、同局の処理能力(アウトプット)は、新規受理件数(インプット)よりも速いペースで縮小したということである。この四半期中、USCISは受理した申請100件につき86件を処理するにとどまり、処理件数が受理件数に追いつかない状態が11四半期連続で続いている。この比率が1を下回り続ける限り、申請件数の多寡にかかわらず積み残しは増加し続ける。
「積み残し解消期間」が実際に示すもの
同分析によると、USCISの全フォームにおける平均積み残し解消期間は、2025会計年度第1四半期の9.4か月から2026会計年度第1四半期の18.6か月へとほぼ倍増した。庇護認定者(asylee)が提出する身分調整申請(adjustment of status)については、この数値は7.7か月から70.6か月へと8倍以上に跳ね上がった。
この指標は誤解されやすいため、注意深く読み解く必要がある。
積み残し解消期間は、個々の案件の処理期間とは異なる。これは未処理案件数を処理件数で割って算出される数値であり、現在の処理能力(スループット)で既存の待機案件をすべて処理し終えるまでにかかる期間を推計したものである。70.6か月という数値は、今日申請した庇護認定者が結果を得るまでに約6年待つことを意味するわけではない。USCISがその四半期と同じペースで処理を続けた場合、現在の待機案件を解消するのにそれだけの期間がかかる、ということを意味しているにすぎない。
この違いは重要である。しかし同時に、その変化の方向性も重要な意味を持つ。全フォームにわたってこの指標が1年で倍増したという事実は、同局の処理能力について看過できないシグナルである。
難民の身分調整に関する数値は、この仕組みを端的に示している。受理件数は16,725件から25,746件へと増加した一方、処理完了件数は17,756件からわずか3,536件へと激減し、効率比は0.14まで低下した。つまり、受理した案件100件につき、処理が完了したのはわずか14件である。
却下率が急上昇 ― 雇用ベース移民カテゴリーで特に顕著
処理の遅延は、問題の半分に過ぎない。全フォーム種別における却下率は、8.9%から12.2%へと上昇した。
複数の雇用ベース移民カテゴリーでは、その上昇幅はさらに顕著であった。
| カテゴリー | 2025会計年度第1四半期 | 2026会計年度第1四半期 |
|---|---|---|
| EB-1(すべての請願) | 13.9% | 30.1% |
| EB-1A(卓越した能力) | 25.3% | 52.5% |
| EB-2 国益免除(NIW) | 37.3% | 57.4% |
この四半期に決定が下されたEB-1A(卓越した能力)請願の半数以上が却下されており、この却下率は1年で倍増した。国益免除(NIW)の却下率も現在では50%を超えている。
これらは、請願者が弁護士を介さず、自らの資格に対する自己評価に基づいて申請の可否を判断することが多いカテゴリーである。このデータは、審査官がまさにこの種の申請に対して、著しく厳格な審査を行うようになっていることを示唆している。
人道的カテゴリーおよび渡航関連カテゴリーでは、最も大きな上昇が見られた。人道的仮釈放(humanitarian parole)の却下率は52.9%から88.7%へ、現地仮釈放(parole in place)の却下率は18.4%から45.8%へ、事前仮釈放(advance parole)の却下率は29.9%から46.7%へとそれぞれ上昇した。
個々の案件にとっての意味
申請後ではなく、申請前に証拠記録を固めておくこと。 あるカテゴリーの却下率が1年で倍増するような状況では、内容が薄い申請書が通る余地はなくなる。2年前であれば通用した証拠であっても、今は通用しない可能性がある。これは特に、書類による立証こそが案件そのものであるEB-1AおよびNIW請願に当てはまる。
証拠追加要求(RFE)が来る可能性を前提に準備すること。 RFEは、ただでさえ長期化しているタイムラインにさらに数か月を加えることになる。最善の対策は、審査官が抱きそうな疑問をあらかじめ想定し、それに対する回答を待つのではなく、当初の申請書の中で先回りして対応しておくことである。
早めに申請すること。 ほぼすべてのフォーム種別で処理期間が長期化している以上、明確な期限(在留資格の期限、プログラム開始日、就労開始日など)に紐づく申請には、1年前よりもはるかに大きな余裕を持たせる必要がある。
自己請願(self-petition)の戦略を見直すこと。 EB-1AやNIWの請願を検討している場合、申請費用と数か月にわたる待機期間を投じる前に、これらの却下率のデータを真剣に受け止める価値がある。自身の実績が現在の証拠基準を満たしているかどうか、また並行して、あるいは代替となる道を検討すべきかどうかを率直に評価することは、時間をかける価値のある作業である。
海外渡航については慎重に検討すること。 事前仮釈放(advance parole)の却下率が47%に迫る中、係属中の申請が承認されることを前提とした渡航計画には、以前よりも大きなリスクが伴う。承認が期限内に下りることを前提として予約を入れるべきではない。
更新は早めに行い、申請状況を常に最新に保つこと。 就労許可証、渡航書類、延長申請は、規則で認められた最も早い時期に提出すべきである。USCISに登録する住所は常に最新の状態に保ち、通知への対応は期限に十分な余裕を持って完全に行うこと。回答期限は原則として延長できない。
このデータが示していないこと
重要な限界が一つある。このデータセットが対象としているのは、移民、人道的、および仮釈放関連のカテゴリーである。H-1B、L-1、E-1、E-2、その他フォームI-129で提出される非移民労働者請願に関する数値は含まれておらず、上記の具体的な却下率がこれらの案件にも当てはまると考えるのは誤りである。
このデータが明らかにしているのは、同局全体における処理完了の遅延であり、この文脈は、カテゴリーを問わず、申請が係属中のすべての雇用主および個人にとって関連性がある。外国人を雇用スポンサーする企業は、より長期のタイムラインを想定すべきであり、過去の処理期間の基準を計画の根拠として当てにすべきではない。
ご相談ください
現在請願が係属中の方、申請を予定している方、あるいは証拠追加要求(RFE)を受け取った案件をお持ちの方は、当事務所が現状の評価および証拠記録を強化する方法についてサポートいたします。ご相談は SW Law Group, P.C. までお問い合わせください。
出典:アメリカン・イミグレーション・カウンシル(American Immigration Council)による、同団体の「USCIS Immigration Filing Trends」ダッシュボードのデータに基づくUSCIS処理データ分析(2026年8月発表)。数値は2026会計年度第1四半期と2025会計年度第1四半期を比較したものである。承認率および却下率は、処理完了案件に占める割合として算出されている。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。移民手続きの結果は、各案件固有の事実関係によって異なります。個別の状況については、資格を有する移民専門弁護士にご相談ください。