カテゴリー別アーカイブ: L-1

今週の移民法ニュース

国土安全保障省(DHS)によるH-1Bカテゴリーの変更について

この変更では、H-1Bの雇用者と被雇用者の関係を再定義してスタートアップの起業家に適用しやすくすること、長年行われてきたFraud Detection and National Security (FDNS) によるサイトビジット(実地監査)に関する規則とガイドラインを制定すること、H-1Bへのステータス変更を希望するF-1ビザの学生に対するキャップギャップ適用について明確化することが期待されています。

また、請願書に記載する雇用開始日に関しても、より柔軟性が持たれる予定です。

H-1Bによる雇用に重大な変更が生じ、請願書の修正が必要となる場合、またH-1B従業員の勤務地が変更する際に必要となる移民局への通知が効率化されます。またこの規則により、H-1B規則における不正防止措置が強化されることが予想されます。

移民局はさらに、L-1規則の変更についても提案する予定で、「専門知識」の定義の改訂、「雇用」と「雇用者-被雇用者関係」の定義の明確化に加え、L-1カテゴリーに賃金要件が課される可能性があります。なお、この新規則についての長期的な期日目標は設定されていません。

国務省による移民ビザの本人確認要件の免除について

国務省は、移民ビザを申請する際、申請者本人が領事館で面接を受け、申請書を提出しなければならないとする要件について、その免除を認める規則を発表する予定です。免除が適用される要件を含め、現時点で詳細は明らかにされていません。同規則は2023年4月に公表される予定です。

また国務省は、B-1のカテゴリーのうち、B-1 in lieu of H-1B(BビザにてH-1B相当の短期就労を可能とするもの)及びB-1 in lieu of H-3(BビザにてH-3相当の短期トレーニングを可能とするもの)を廃止するというトランプ政権時の規則をアジェンダから削除しました。同規則は2020年に公表されましたが最終決定はなされておらず、国務省は現在、その施行を全面的に再検討中であるとしています。この新規則は国務省の2022年秋の主要アジェンダ、長期アジェンダのいずれにも登場しないため、同省は当面の間、この規則の検討を放棄したことが伺えます。

The Department of Homeland Security (DHS) is making changes to the H-1b category. The new rule is expected to redefine the H-1B employer-employee relationship and provide flexibility for start-up entrepreneurs, establish regulations and guidelines for the longstanding Fraud Detection and National Security (FDNS) site visit program and further clarify cap-gap benefits for F-1 students awaiting a change of status to H-1B. 

The agency also intends to provide some flexibility concerning employment start dates listed on petitions. An important aspect to be addressed by DHS is when a material change to H-1B employment occurs, necessitating an amended petition; and streamline the required notification to USCIS when an H-1B employee changes to a new worksite location. The regulation is also expected to increase anti-fraud safeguards in the H-1B regulations

USCIS ALSO has plans to propose amendments to the L-1 regulations that would revise the definition of specialized knowledge, clarify the definition of “employment” and “employer-employee relationship,” and potentially impose wage requirements in the L-1 category. No long-term target date has been set for this L-1 rule.

and AT THE STATE DEPARTMENT..

Waiver of in-person requirements for immigrant visas

The State Department also plans to issue a rule that would permit a waiver of the requirement for immigrant visa applicants to appear before a consular officer to be interviewed and to execute their application in person. Details of the rule, including parameters of waiver eligibility, are not available at this time. The rule is slated for publication in April 2023.

The State Department has removed from its agenda a Trump-era rule that would have eliminated the B-1 in lieu of H-1B and H-3 visa categories. The rule had been published in 2020 but a final rule did not follow. The State Department indicated that the agency was reconsidering issuance of the rule entirely. Since the rule does not appear on either the State Department’s Fall 2022 main or long-term agendas, the agency appears to have abandoned the rule for the time being.

米国大使館でのビザ面接の免除が延長されました

当社のお客様の中には、世界各地のアメリカ大使館、領事館で面接を受ける方が多くいらっしゃいます。各大使館・領事館には、それぞれ独自の規定があります。以下のニュースは米国国務省からのものですが、お客様がお持ちのビザが実際に免除の対象となるかどうかについては、各大使館のウェブサイトで確認する必要があることをご承知おきください。

国務省は、学生ビザおよび一時的就労ビザ保持者の米国への渡航が米国経済にプラスの影響を与えることを認識し、非移民の渡航を促進し、ビザの待ち時間をさらに短縮することに尽力しています。この度、国務長官は、特定の非移民ビザについて、アメリカ大使館、領事館での面接の免除を認める対応を2023年12月31日まで延長する決定を下したことをお知らせします。

免除の対象となるビザは、以下のカテゴリーです。

  • F-1、H-1B、H-2、H-3、L-1、O、P、Q、および関連ビザのうち該当するもの

アメリカ大使館、領事館は、2023年12月31日まで、特定のビザの初回申請および更新について、ケースバイケースで面接を免除する権限を有します。これは、一時的な農業および非農業労働者(H-2ビザ)、学生(FおよびMビザ)、学術交流訪問者(学術Jビザ)、および以下のカテゴリーにおける非移民一時的就労ビザの個人による申請において適用されます(専門技術者(H-1Bビザ)、研修生または特別教育訪問者(H-3ビザ)、企業内転勤者(Lビザ)、卓越した能力または業績を持つ個人(Oビザ)、スポーツ選手・芸術家・芸能人(Pビザ)、国際文化交流プログラムの参加者(Qビザ)、およびその他該当する者)。これらの免除は、国土安全保障省の同意のもと、国務長官の決定により許可されます。

また、ビザが失効してから48ヶ月以内に同じカテゴリーのビザを更新する申請において面接が免除される措置は、今のところ、そのまま継続されます。

これらの面接免除措置により、多くの大使館・領事館では、面接の予約枠が空くことで、面接を必要とする他の申請者の待ち時間が短縮されています。2022年度には、約700万件発給された非移民ビザの半数近くが、面接なしで審査されました。私たちは、パンデミック時の閉鎖に続き、世界中でビザの待ち時間を減らすことに成功しており、初めての観光ビザ申請を含むビザ申請において、待ち時間をさらに短縮するためのあらゆる努力を行っています。

大使館・領事館では、現地の状況に応じて、引き続き面接が必要とされる場合があります。申請者の皆様には、それぞれの大使館・領事館のウェブサイトにて、この件に関するより詳細な情報、および現在の運営状況やサービスについてご確認いただくことをお勧めします。詳しくは、Bureau of Consular affairs travel siteをご覧ください。

Waiver of Interviews Extended at US Embassies

Many of our clients have interviews at consulates throughout the world. Each embassy/consulate has it’s own regulations. The following news is from the Department of State.  However, the client still needs to check the embassy’s local website to determine if the type of visa is eligible for a waiver. The visas eligible for a waiver include the following categories

F-1, H-1B, H-2, H-3, L-1, O, P, Q and qualifying derivative visas.

The Department of State recognizes the positive impact of travel to the United States by foreign student and temporary work visa holders on the U.S. economy and is committed to facilitating nonimmigrant travel and further reducing visa wait times. We are pleased to announce that the Secretary of State has made a determination extending the authority of consular officers to waive in-person interviews for certain nonimmigrant visa categories through December 31, 2023.

Consular officers are authorized, through December 31, 2023, to continue to waive in-person interviews on a case-by-case basis for certain first-time and/or renewing applicants. These categories of visas are for Temporary Agricultural and Non-Agricultural Workers (H-2 visas), Students (F and M visas), and Academic Exchange Visitors (academic J visas), and certain beneficiaries of approved individual petitions for nonimmigrant temporary worker visas in the following categories: Persons in Specialty Occupations (H-1B visas), Trainee or Special Education Visitors (H-3 visas), Intracompany Transferees (L visas), Individuals with Extraordinary Ability or Achievement (O visas), Athletes, Artists, and Entertainers (P visas), and Participants in International Cultural Exchange Programs (Q visas); and qualifying derivatives. These waivers are authorized by a determination of the Secretary of State with the concurrence of the Department of Homeland Security.

The authorization to waive the in-person interview for applicants renewing a visa in the same classification within 48 months of the prior visa’s expiration was previously authorized to remain in place until further notice.

These interview waiver authorities have reduced visa appointment wait times at many embassies and consulates by freeing up in-person interview appointments for other applicants who require an interview. Nearly half of the almost seven million nonimmigrant visas the Department issued in Fiscal Year 2022 were adjudicated without an in-person interview. We are successfully lowering visa wait times worldwide, following closures during the pandemic, and making every effort to further reduce those wait times as quickly as possible, including for first-time tourist visa applicants.

Embassies and consulates may still require an in-person interview on a case-by-case basis and dependent upon local conditions. We encourage applicants to check embassy and consulate websites for more detailed information about this development, as well as current operating status and services. For more information, visit the Bureau of Consular affairs travel site.

米国移民局(USCIS)による特急審査(Premium Processing Service)サービスの拡大

米国移民局(USCIS)は、特急審査サービス(Premium Processing Service)の適用が可能となる申請の種類を拡大する最終規則を行政管理予算局(Office of Management and Budget)に提出したことで、当規則の実施に近づいたことを発表いたしました。また、当規則は、I-765 EAD(労働許可申請)及び非移民ビザ申請者の扶養家族によるビザ及び滞在延長申請延長(I-539)を含むケースを対象としています。

なお、特急審査サービスとは、移民局(USCIS)の審査制度で、特定の移民ビザ、及び非移民就労ビザ申請の審査を迅速化するためのものであり、通常正式な受領から二週間以内に米国移民局(USCIS)から申請結果を受けることが可能となるサービスです。また、当サービスを使うことにより、雇用主は通常審査の場合にかかる長時間の待機を回避することができます。なお、通常審査期間は、米国移民局(USCIS)及びケース(就労ビザのタイプ)により異なります。

現在、特急審査サービスは、H-1B, L-1、E、O、PなどI-129請願書に基づく特定の非移民ビザ申請とI-140請願書に基づく特定の移民ビザ請願申請のみが対象となっております。Form I-129請願書は、雇用主(Petitioner)が用いる請願書の一種となっており、非移民の就労ビザの大部分に用いられます。また、I-140請願書は永住権(グリーンカード)申請のための重要なステップであり同様によく使われています。現在、特急審査サービス申請一通につき、$2,500 (USD)の追加申請料金が必要となります。

また、特急審査の対象となるケース(ビザ)の種類、申請料金、実施日などといった詳細等は、現時点ではまだ不明ではありますが、弊社では、引き続き、皆様にこのトピックに関する最新情報を、随時報告できればと考えております。

※本記事は3月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

最近のアメリカ移民法事情

バイデン政権誕生から数ヶ月が経ち、またCOVID-19による影響がまだ残る中、アメリカ移民法も少しずつ変化が出てきています。

まずはトランプ大統領による大統領令により制限されていた在外アメリカ大使館でのH-1BやLビザ査証面接や永住権申請が4月1日より解禁となり、現在では、在日アメリカ大使館・領事館では、通常ケースでのビザ面接が可能となっています。ただ一部B-1/B-2ビザ は人道的理由などで緊急で渡航する場合を除き、申請は受け付けていない状況は続いています。

在日アメリカ大使館・領事館の面接の空き状況ですが、東京アメリカ大使館は比較的数カ月先までの予約を受け付けている一方で、大阪神戸アメリカ領事館は数週間先や特定の曜日など面接が希望通り取れないような状況が続いています。またアメリカに既にビザを持って滞在している人が日本に帰国してビザを更新する場合は特に不便で、日本では入国後の14日間の隔離が必要なことから、その隔離後の面接及び面接後のビザ発行までの期間を考慮すると長期間アメリカを離れなければならない状況ともなっています。一方で、政府の定める条件に該当する方は、面接なしでの郵送でのビザ更新申請が可能となっていますので、検討されても良いでしょう。尚、郵送での更新申請でも日本への帰国は必須ですので注意ください。

一方、移民局申請に目を向けて見ると、全体的には、好ましい好ましくない両側面において、引き続きCOVID-19による影響が残っています。好ましくない面と言えばやはり引き続きの審査期間の長期化です。急ぎの場合など、時間のコントロールが必要な場合は、特急審査申請の利用も考慮が必要な状況となっています。ただ申請書への署名はオリジナルではなくコピーでも受け付けてくれる状況は続いており、また審査過程において指紋採取が必要なアメリカ国内での雇用ベースの永住権申請や再入国許可証の申請などは、以前に取得した指紋データを政府が使うことで、改めての指紋採取なしに最終結果が出ている状況でもあります。

更に最近では、アメリカ国内における滞在延長申請(I-539申請)のうち、主たる申請者の扶養家族の滞在延長申請に対して求められていた指紋採取が2021年5月17日より先2年間一時停止となりました。対象はH-4、L-2、E-1/E-2/E-3の扶養家族ビザに対してで、現在審査中の方でも2021年5月17日までに指紋採取の通知書を受け取っていない、または新規の申請でも2021年5月17日から2022年5月23日までに移民局が申請書を受け取ったケースが対象となります。以前は指紋採取自体がなかったのですが、指紋採取が義務化されて以降、例えば、移民局へ特急審査申請を使って主たる申請者と同時に家族の滞在延長を申請したとしても、主たる申請者は早々に認可される一方で家族は長期間、結果が出ない、という状況が現実として存在していました。日本への帰国に懸念がある方は、朗報かと思います。

また移民局は、去る4月27日、バイデン大統領による大統領令に則り、H-1B、L-1A、L-1B、Eビザなど、非移民ビザ延長申請においては、最初の申請の審査内容及び判定内容等に従った上での延長審査を行うことを発表しました。これは非常に大きなニュースで、これまでは、延長申請において、スポンサー会社も職務内容も雇用条件も全く変わらない単なる延長申請でも、最初の申請の審査内容や認可という結果そのものを踏襲することなく、全て見直した上での延長審査がなされていました。そのことにより多くのケースで質問状が発行されるなど、追加の労力と時間を要していました。今後は、それらも改善されていくのでは無いかと考えております。

今後は、ワクチン摂取も進んでくれば、国際間での人流も活発化することも予想され、移民大国アメリカもまた活気を取り戻すのではないかとも期待しています。上記、皆様に直接関係がありそうな事例を取り上げましたが、その他不法滞在者や不法入国者への扱い、永住権申請の審査要項(パブリックチャージに関する事項など)の緩和化など、事実、トランプ大統領による厳しい移民政策からの緩和化も感じられます。

弊社では引き続き、皆様に最新情報をお届けできればと考えておりますが、それがいずれも明るい話題であることを願うばかりです。

米国移民局による申請費用及び申請フォームの変更について

2020年10月2日より、米国移民局(USCIS)は、新しい申請費用による申請受付の開始と共に、いくつかの主要な雇用ベースの移民申請フォームの変更と特急審査申請サービスの審査期間を変更するということです。

新申請費用について:

新申請費用は下記をご参照下さい。

Form Current Fee Final Fee Percentage Change
NONIMMIGRANT
I-129H1 $460 $555 21%

I-129H2B(Named Beneficiaries)

 

$460 $715 55%
I-129H-2B(Unnamed Beneficiaries) $460 $385 -10%
I-129L(Includes L-1A,L-1B and blankets) $460 $805 75%
I-129O $460 $705 53%
L-129E & TN I-129CW(includes E-1,E-2,E-3,TN and CW) $460 $695 51%
I-129MISC(includes) H-3,P,Q,R $460 $695 51%
I-539,Application to Extend/Change Nonimmigrant status(Online Filing) $370 $390 5%
I-539,Application to Extend/Change Nonimmigrant status(Paper Application) $370 $400 8%
IMMIGRANT
I-140,Immigrant Visa Petition $700 $555 -21%
I-526,Immigrant Petition by Alien Entrepreneur $3,675 $4,010 9%
I-485,Application to Adjust Status $1,140 $1,130 -1%
I-485,Application to Adjust Status for applicant under the age of 14 $750 $1,130 51%
I-765,Application for Employment Authorization(Non-DACA) $410 $550 34%
I-765,Application for Employment Authorization(DACA) $410 $410 0%
I-131,Application for Travel Document $575 $590 3%
Biomentrics Fee(NON-DACA) $85 $30 -65%
Biomentrics Fee(DACA) $85 $85 0%
Total Fees for Adjustment of Status Applications bundle–I-485 with I-765,and I-131 $1,225 $2,270 85%
I-90,Application to Replace Permanent Resident Card(online filling) $455 $405 -11%
From I-90,Application to Replace Permanent Resident Card(paper filling) $455 $415 -9%
CITIZENSHIP
N-400,Application for Naturalization(online) $640 $1,160 81%
N-400,Application for Naturalization(paper filing) $640 $1,170 83%

新しい申請フォームについて:

米国移民局は、いくつかの雇用ベースの移民申請フォームの新しいバージョンを発行する予定ですが、それらが正式に利用可能になる具体的な日付は明確にされていません。なお、主な非移民就労ビザカテゴリー(H-1B、L-1O-1ビザなど)については、そのビザカテゴリー毎にI-129フォームの各エディションを作成し発行する予定のようです。

特急審査申請の変更点について:

特急審査申請サービスの申請費用は変更されませんが、米国移民局は審査申請期間をカレンダー暦の15日から営業日の15日(もしくは追加1週間)に変更されるということです。尚、営業日には、連邦の休日は含まれません。

永住権保持者へのステイタスの変更(AOS)申請に関する新しい費用について:

永住権保持者へのステイタスの変更(AOS)申請費用は、 $ 1,130の申請費用に加え別途で労働許可証および一時渡航許可証(Advance Parole) の申請ごとに、それぞれ$ 550および$ 590の申請費用を支払う必要があるということです。これらの新しい費用は、全非移民ビザステイタス保持者からの変更申請に適用されるということです。

会計年度2021年の新規H-1B申請について:

米国移民局は今年の8月中旬に、2021年度新規H-1B申請の2回の抽選を実施しました。 2020年10月2日より前に提出される申請については、現在使用されている申請費用と申請フォームが適用されます。一方、 2020年10月2日以降の申請については、新しい申請費用と申請フォームが適用されるということです。

差し止めの可能性について:

米国移民局による新しい申請費用と申請フォームに関する規制は、現在、カリフォルニア州の連邦地方裁判所で係争中の訴訟で異議が唱えられています。カリフォルニア地方裁判所がこの規則に対して差し止め命令を出した場合、米国移民局は現在使用している申請費用スケジュールと申請フォームに戻すよう要求される可能性があるようです。

国益に基づく入国禁止措置例外規定の基準 (8月12日発表国務省によるガイドライン)

2020年6月22日、トランプ大統領はH-1B、L-1、およびJ-1など一部の非移民ビザ申請者のアメリカ入国を一時的に禁止する大統領布告10052(Presidential Proclamation 10052)を発表しました。この大統領布告では、「米国の国益」に基づき例外規定となるビザ申請者についても定められています。

さらに2020年8月12日、今度は米国国務省が、この「米国の国益」に基づく入国禁止措置例外対象についてのガイドラインを発表しました。

入国禁止措置の対象外となるH-1Bビザ申請者

  • 新型コロナウイルス対策・治療に従事する公衆衛生・医療関係者及び研究者。またはがんや伝染病など、公益性の高い分野で進行中の医学研究に従事する公衆衛生・医療関係者。
  • 米国の重要な外交政策目的を達成するため、または条約・契約上の義務遂行のために、米国政府機関または政府関連団体からの要請に基づいて渡航する場合。
  • 同じ米国企業で、同じポジションでの雇用を同じH-1Bビザで継続するために再渡米する場合。
  • 専門的技術者・上級レベルの管理職者・またはその他の緊急かつ継続的な米国の経済回復促進に必要な労働者で、次の5つのうち少なくとも2つの条件を満たす申請者。
    1. 雇用企業が、米国内でのH-1B社員による引き続きの業務遂行を必要としていること。
    2. 雇用企業のビジネスが社会的に重要なインフラ(例えば化学、通信、ダム、防衛産業、緊急サービス、エネルギー、金融サービス、食糧・農業、政府施設、医療・公衆衛生、IT、原子炉、輸送、水道システムなど)に関わるものであり、さらに申請者の職務が以下2つの条件のいずれかを満たすこと。
      1. 上級レベル (senior level) のポジションである、または職務内容が企業のビジネス全般の管理と成功に必要で重要な機能を果たすものであること。
      2. ビザ申請者の職務内容および専門資格が、申請企業に重要かつ特殊 (unique) な貢献をもたらすものであること。
    3. H-1B申請者の給与額が、労働局が定めるその職種の平均賃金額 (prevailing wage) を少なくとも15%上回る場合。
    4. 雇用される専門職に関連する分野において申請者が受けた教育・トレーニング・あるいは経験が経歴として卓越したレベルである場合。
    5. 大統領布告のためビザ発行が却下されることにより、雇用企業に財政的に大きな打撃となること。例えば、雇用主が財務上または契約上の義務を果たすことができない、事業継続が不可能となる、または、パンデミック前の事業レベルに戻ることに遅延またはその他の障害が生じる恐れがある場合。

入国禁止措置対象外となるL-1Aビザ申請者:

  • 新型コロナウイルス対策・治療に従事する公衆衛生・医療関係者及び研究者。またはがんや伝染病など、公益性の高い分野で進行中の医学研究に従事する公衆衛生・医療関係者。
  • 米国の重要な外交政策目的を達成するため、または条約・契約上の義務遂行のために、米国政府機関または政府関連団体からの要請に基づいて渡航する場合。
  • 同じ米国企業で、同じポジションでの雇用を同じL-1Aビザで継続するために再渡米する場合。
  • 雇用企業のビジネスが社会的に重要なインフラ(例えば化学、通信、ダム、防衛産業、緊急サービス、エネルギー、金融サービス、食糧・農業、政府施設、医療・公衆衛生、IT、原子炉、輸送、水道システムなど)に関わるものであり、申請者がその企業の上級レベル (senior level) の管理職 (manager) または重役 (executive) として赴任する場合。 さらに、申請者の職務が以下3つの条件のうち少なくとも2つを満たし、新しい法人または駐在事務所・支店を設立するための赴任でない場合。
    1. 上級レベル (senior level) の重役 (executive)、または管理職者(manager)。
    2. ビザ申請者に海外の関連企業で複数年の勤務経験があり、その結果培った卓越した知識や技能があること。この知識や技能は、現地で新規雇用した場合、長期間にわたるトレーニングを要するもので、さらに会社の多大な経済的負担なしには取得できない知識や技能であること。
    3. 重要なインフラに関わる企業のビジネスの運営に不可欠な役割を果たす場合。
    4. 注意:新規に法人または駐在事務所・支店を設立する目的で渡米するL-1Aビザ申請者は、上記の3つの条件のうち2つが満たされ、さらに直接的または間接的に5人以上の米国労働者を雇用しない限り、渡米が認められない可能性が高い。

入国禁止措置対象外となるL-1Bビザ申請者

  • 新型コロナウイルス対策・治療に従事する公衆衛生・医療関係者及び研究者。またはがんや伝染病など、公益性の高い分野で進行中の医学研究に従事する公衆衛生・医療関係者。
  • 米国の重要な外交政策目的を達成するため、または条約・契約上の義務遂行のために、米国政府機関または政府関連団体からの要請に基づいて渡航する場合。
  • 同じ米国企業で、同じポジションでの雇用を同じL-1Bビザで継続するために再渡米する場合。
  • 雇用企業のビジネスが社会的に重要なインフラ(例えば化学、通信、ダム、防衛産業、緊急サービス、エネルギー、金融サービス、食糧・農業、政府施設、医療・公衆衛生、IT、原子炉、輸送、水道システムなど)に関わるものであり、その企業の技術者として赴任する場合。さらに、申請者の職務が以下3つの条件の全てを満たす場合。
    1. 申請者の予定職務内容および専門知識が、雇用企業に重要かつ特殊 (unique) な貢献をするものであること。
    2. 申請者の専門知識が重要なインフラビジネスに関連したものであること。
    3. ビザ申請者には海外の関連企業で複数年の勤務経験があり、その結果培った卓越した知識や技能があること。この知識や技能は、現地で新規雇用した場合、長期間にわたるトレーニングを要するもので、さらに会社の多大な経済的負担なしには取得できない知識や技能であること。

入国禁止措置対象外となるJ-1ビザ申請者

  • 米国の国益向上のために外国政府と米国内の行政機関(連邦政府、州政府、または地方行政府)の間で取り交わされた覚書、基本合意書、その他の取り決めに基づいて実施される交換プログラムに参加する場合。また、その取り決めが大統領公布の発効日より前に発効している場合。
  • 米国政府機関が主催するプログラム(DS-2019フォームのプログラム番号が「G-3」で始まるプログラム)に参加するインターンまたは研修生の場合。米国の緊急かつ継続的な経済回復に貢献する、米国政府機関による交換プログラムに参加する場合。
  • 重要な外交政策に関連する場合(時間的制約のある重要な外交政策目標を達成するための交換プログラムに参加する場合のみ)。

入国禁止措置対象外となるH-4, L-2, J-2ビザ申請者

上記で国益に基づく例外規定と認められたH-1B, L-1, J-1申請者に同行する場合、配偶者または未成年の子供には、家族ビザが認められ、入国できます。

今後の見通し及び問題点

今回の入国禁止措置には、その法的根拠・権限に対して異議を申し立てる訴訟が複数起こされています。連邦裁判所が入国禁止措置の差止を命ずる可能性は高いと見ています。その中で発表された国務省ガイドラインは、入国禁止措置により企業や外国人労働者が被ったとされる損害に対処するための試みとも言えるかもしれません。

本来、H-1BまたはL-1ビザの資格条件審査は移民局が行うものであるため、大使館の領事が改めて審査する資格条件はないはずなのですが、このガイドラインは、法的根拠なしに、大使館独自の資格条件を設定してしまっています。また、国益に基づく例外規定を国務省のガイドラインとしたことにより、判断は国務省の裁量内と位置付けられることになり、(議論の余地はあるものの)裁判で係争できる範囲外とみなされることになります。

今回の国務省ガイドラインは、一部の外国人や企業にとってはビザ取得(及び米国入国)の可能性を生み出したと言えるでしょう。しかし、問題は、そもそも移民局申請(注: H-1BビザもL-1ビザも大使館でのビザ申請の前に移民局の認可が必要)の時点で大量の文書による証拠提出が必要とされる審査プロセスに、それとは全く別の、独立した、(しかしやはり文書による証拠提出が必要な)審査プロセスをこの国務省ガイドラインが確立させたということです。企業は、国益による入国禁止措置例外(NIE)であると大使館領事が判定してくれるかどうか、いつ、どのような基準で判定されるのか、明確な説明もない中で、全くの新しい基準と要件に沿って申請書類を準備する必要があるのです。

手続き方法に関して言えば、第一に、NIEの判定が行われる前に、大使館での緊急面接予約が承認される必要があります。これには米国渡航が緊急を要するものであるという証明も必要になります。第二に、大使館領事は、明確な基準や指標なしにNIEかどうかを判断する必要に迫られます。パンデミックによるビザ面接停止のため生じている業務の遅延や、前代未聞の審査・手続きであるという事実を考慮に入れると、果たして審査を完了するのにどれくらいの時間がかかるか不透明です。

特にH-1Bビザ申請者は、米国での雇用を再開・継続するわけでない場合、上記にもあるとおり、非常に難しい基準を満たさなければなりません。「米国の緊急かつ継続的な経済回復促進」のために、彼らの渡航は「必要不可欠」でなければならないのです。これは(具体性に欠ける条件のため)広い解釈の余地がありますが、おそらく実際には非常に狭い範囲で判断されるでしょう。担当領事によって異なった判断をする可能性があるとも考えられます。さらに、これらの基準を満たしていても、H-1B申請者は、「重要なインフラ関連のビジネスに従事する企業」にとって「重要で」「特殊 (unique) な」貢献をしていることを証明する必要があります。しかしこの「特殊性 (uniqueness)」は、移民法上ではH-1Bビザの条件とされていないのです。またさらに、これらの条件を満たしても、申請者が米国外から遠隔で業務を遂行できる場合は、ビザ申請資格がないとされます。

L-1Aビザの場合、移民法上の要件である管理職 (manager) であるだけでは十分ではないことになります。国務省のガイドラインでは、「上級レベル」の重役または管理職でなくてはならないとされていますが、これははっきりとした定義がありません。また、移民法上のL-1ビザ資格条件は、米国外の関連企業で「少なくとも1年」雇用されていることですが、この国務省ガイドラインでは「複数年 (multiple years)」の雇用が必要であるとされています。 しかしこの「複数年」についても、何年なのか、定義がありません。

弊社では、現在の非移民ビザ及び移民ビザの入国禁止措置が少なくとも1箇所の連邦裁判所によって差し止められることを願っています。今回の国務省ガイドラインはある程度望ましい方向に進んでいるように見受けられますが、実際の内容は非常に曖昧で、具体性に欠け、定義がはっきりしない基準が多く含まれています。

例外規定ガイドラインの原文はこちらを参照ください。

米国移民局、2020年10月2日施行予定の新申請費用を発表

米国土安全保障省 (Department of Homeland Security:通称DHS) は、2020年7月31日に永住権、及び米国市民権等のビザ発行に伴う申請費用の変更を正式に決定したことを発表しました。尚、施行日は2020年10月2日からとされており、同日、又はその日付以降に提出される申請書においては下記の通り変更された申請費用を支払う対象になります。尚、主に弊社で取り扱っているビザの申請費用の変更は以下の通りです:

I-129フォームによる非移民ビザ申請費用:

これまで均一料金であったI-129フォームによる非移民ビザ申請費用($460)は次のように変更されます:

  • L-1ビザ: $805
  • H-1Bビザ: $555
  • E-1/E-2/TNビザ: $695
  • Oビザ: $705

I-539フォームによる申請費用:

$400

I-131フォームによる申請費用:

$590

I-765フォームによる申請費用 (DACA: Deferred Action for Childhood Arrivals 対象者を除く):

$550

I-140フォームによる移民ビザ申請費用:

$555

DACA対象者以外の指紋採取費用:

$30

I-485フォームによる申請費用:

$1,130

米国移民局移民申請費用:

$190

N-400フォームによる米国市民権申請費用:

$1,170

尚、全ての変更された申請費用を含むリストはこちらをご参照下さい。

H-1B、L-1、およびJ-1ビザ申請者の米国入国一時停止措置と移民ビザ申請者の入国一時停止期間の延長に関する大統領布告の発表について

6月22日(月)付で、トランプ大統領はH-1B、L-1、およびJ-1ビザ申請者の入国と移民ビザ申請者の入国一時停止期間の延長に関する大統領布告を公布しました。この大統領布告は米国東部時間の2020年6月24日(水)深夜午前12時から2020年12月31日までの間有効とされます。(必要により延長される可能性あり。)

影響を受けるのは誰ですか?

入国一時停止措置は、以下の条件に該当する方にのみ適用されます。

  • 2020年6月24日時点で、米国外に滞在していて、
  • 2020年6月24日時点で、有効な非移民ビザを保持していない方。または、
  • 2020年6月24日時点で有効な、米国渡航・入国に必要とされるビザ以外の書類を所持していない方。もしくはそのような書類を6月24日より後に発給されている方。

影響を受けないのは誰ですか?

  • 2020年6月23日時点で米国内に滞在していて、ビザ保有者。
  • 2020年6月24日時点で有効なビザを取得している方。
  • Eビザは今回の大統領布告には対象として含まれていません。
  • 永住権所有者(グリーンカード)。
  • 米国籍者の配偶者または子供。
  • 米国の食品流通に不可欠なサービスの一時的提供者。
  • 米国入国を許可することが米国の国益に叶うと判断された外国人(例えば米国の国防・法執行・外交・安全保障にとって重要な外国人、または新型コロナウイルス治療に従事する医療関係者、新型コロナウイルスに対処するための研究従事者,または米国の経済回復促進に必要な外国人など)

2020年4月22日付大統領布告の延長について

今回の布告では、移民ビザ(グリーンカード)申請者の入国を一時停止するという2020年4月22日付の布告について延長するとされています。4月22日付の布告の詳細については、こちらの記事を参照してください。

米国内に滞在しているビザ保持者に対する制限が将来的に公布される可能性はありますか?

はい。今回の布告は、すでに米国への入国を許可された者やすでにビザを取得しているなどのビザ受益者について、EB -2やEB-3カテゴリーでの永住権申請やH-1B非移民ビザ申請により、米国労働者が「不利益」を被らないよう、労働省長官に対して、新しい法規の策定などを検討するよう命じています。ただし、現時点では、いつ・どのような内容の新しい法規が施行されるのか不明です。

よくある質問

下記が、この件に関する、よくある質問とその回答になります。

【一般的な質問】

この布告は実際、何を意味するのでしょうか?

米国外の米国大使館・領事館での新しいH-1B、H-4、L-1A、L-1B、L-2、J-1、J-2ビザの発行を停止しています。米国に既に滞在している人には影響ありません。また、Eビザ、F-1ビザ、O-1ビザにも影響はありません。

【米国内に滞在している外国人について】

現在、H-1B、H-4、L-1A、L-1B、L-2、J-1、J-2のいずれかのビザを持っていて、米国に滞在しています。非移民ビザ査証(ビザスタンプ)はまだ有効です。米国外に出て米国に再入国することはできますか?

はい 。
私は現在、H-1B、H-4、L-1A、L-1B、L-2、J-1、J-2のいずれかの合法的なステータスで米国に滞在しています。引き続き滞在可能ですか?私のI-94はまだ有効です。

はい。米国に滞在できます。 I-94が6か月以内に期限切れになる場合は、可能であれば米国に滞在している間に、米国移民局に滞在延長申請をすることをお勧めします。
私は現在、 H-1B、H-4、L-1A、L-1B、L-2、J-1、またはJ-2ステータスで米国に滞在しています。非移民査証(ビザスタンプ)の有効期限が迫っています。どうすればビザスタンプを更新できますか?

ビザスタンプの更新ではなく、米国内で米国移民局に滞在延長申請を提出して非移民滞在ステータスを延長し、米国に滞在し続けることをお勧めします。米国を離れなければいけない場合、新しいビザスタンプがなければ、米国に再入国は出来ませんのでご注意ください。上記のカテゴリーの対象者は、米国大使館は、以下に説明するいずれかの入国停止措置対象外の条件に該当しない限り、新しいビザスタンプを発行しません。
現在有効なE、O-1、F-1、B-1、B-2、E-3、K-1、K-3、M-1、P、Q、またはRビザを所持しています。この布告は私に影響しますか?

いいえ。

【米国外に滞在している外国人について】

私は米国外にいますが、パスポートに非移民査証(ビザスタンプ)がすでに発行されています。来月アメリカに行くつもりでした。アメリカに行けますか?

はい。この入国停止令は、2020年6月24日より前に発行された有効なビザ査証を持っている人には適用されません。よって、アメリカ入国時点で有効なビザを持っていれば、あなたはアメリカに行くことができます。ただし、従来通り、入国の際にはご自分の状況をきちんと説明出来るよう準備をしてください。
私は現在米国外にいて、今回の布告で入国制限された非移民ビザの面接予約を待っています。面接はキャンセルされますか?

面接はキャンセルされる可能性があります。まだはっきりとはしませんが、面接が大使館からキャンセルされない場合は、入国停止措置の対象外となる条件のいずれかを満たし、それを明確に証明できる場合を除き、自分から面接をキャンセルするべきと考えます。つまり、それら条件を満たさない場合には米国大使館がビザ面接申請を却下する可能性があるからです。日本を含むピザなし渡航 (ESTA) プログラム加盟国籍者の場合、ビザ申請却下を受けると、今後このプログラムが暫く利用できなくなる可能性があるからです。
この布告は、米国国務省と米国移民局に特定の審査基準と詳細なガイダンスを発行するよう命じています。弊社では、詳細が分かり次第、随時追加情報を更新します。
私は米国外にいて、H-1B、H-4、L-1A、L-1B、L-2、J-1、またはJ-2ビザの面接予約をしようとしていました。 Eビザのような別のビザタイプのカテゴリーを申請できますか?

(日本人の場合)あなた自身にEビザの取得資格があり、スポンサー企業が日本にある米国大使館・領事館にEビザ企業として既に登録されている場合、Eビザはこの入国停止令の対象外であるため、Eビザへの切り替えを検討することをお勧めします。
現在、米国外にいて、E、O-1、F-1、B-1、B-2、E-3、K-1、K-3、M-1、P、Q、またはRビザを申請するつもりです。 米国大使館でこれらのビザを申請できますか?

はい。ただ、この布告はあなたの申請するビザには影響ありませんが、ビザ取得には当然ながら米国大使館でビザ面接を受ける必要があります。しかし現在、緊急時を除いて、世界中の米国大使館はビザ面接を行っていません。ビザ面接業務が再開されれば、申請することができるようになります。

【H-1B】

移民局に対して審査中の新規H-1B申請がある場合、この布告には影響がありますか?

既に別のステータス(F-1など)で米国に滞在していて、ステータスの変更を申請中である場合、2020年10月1日またはそれ以降で申請が認可された日のどちらかのタイミングで、滞在ステータスがH-1Bに自動的に変更されることになります 。この場合、今回の布告は影響しません。ただし、入国停止措置の対象外となる特別な理由がない限り 、大統領令が有効な間は、海外への渡航及び当H-1Bビザでの再入国はできません。

現在米国外でH-1B申請の認可を待っている場合は、この入国停止令の対象となります。米国大使館・領事館が、あなたが入国停止措置の対象外であることを認めない限り、ビザ査証は発行されず、米国に入国することはできません。このため、 H-1B申請者の大多数は、少なくとも2021年までは米国に入国できないことが予想されます。この点に関しても、 追加情報が発行され次第、随時更新します。

【L-1】

米国大使館でのL-1ブランケットビザの申請も2020年末まで停止されますか?

はい。今回の布告は、L-1ブランケットビザと通常のLビザに区別をつけていないようです。したがって、全てのLビザについて入国停止措置の対象となります。もしあなたが入国停止令の例外となる条件を満たすと思われる場合は、その説明をして大使館に緊急面接を要請することも出来ます。
私は米国に滞在していて、L-1ブランケットステータスを保持しています。ビザ査証に記載のPEDの有効期限が近づいているため、帰国し、 ブランケットステータスを更新する予定でした。L-1ビザスタンプはまだ有効です。どうしたらビザステータスを延長できますか?

有効なビザのスタンプがあるので、渡米は可能ですが、ブランケットベースでしたら、有効なI-129Sも必要です。ただ、現時点では、米国大使館が面接を行い、延長されたPED付きの新しいI-129Sだけでも発行するかどうかについては明確にされていません。あなたが米国にいる場合の最善の解決策は、米国移民局に延長申請をすることです。

【入国停止措置の対象外】

布告にリストされているどの入国停止措置の対象外(つまり、入国が「国益」または「継続的な経済回復」を促進するものである場合)が私に適用されますか?

次の場合が対象外に該当します。

  • 米国の防衛・法執行・外交・安全保障にとって重要である場合
  • 新型コロナウイルス感染者の治療に従事する場合
  • 新型コロナウイルスに対処するための医学研究を米国内施設で行う場合
  • 米国の緊急的かつ継続的な経済回復を促進するために必要な場合
  • 弊社のお客様の中で、この対象外となる可能性が最も高いのは、最後の「 米国の緊急的かつ継続的な経済回復を促進するために必要な場合」でしょう。

対象外となるためにはどうすればよいですか?

(日本人の場合)現時点では、米国大使館は通常業務は一時停止しています。日本国からの郵送による申請の条件を満たさない場合で、ビザ面接を受けたい場合は、大使館に連絡し、緊急面接を要請する必要があります。緊急面接を受けるための基準は、前述の対象外リストのうち、最後の条件に類似しています。日本では緊急面接は非常に緩い基準で認められているようですが、今回の布告対象外の認定については、厳しい基準となると考えます。

大使館領事は、外国人が対象外基準を満たしているかどうかを決定する裁量権を有します。現時点では、今回の入国停止令対象となっているビザの緊急面接予約を予定している方は、米国大使館に対し、緊急面接と入国停止措置対象外審査の両方を要請する必要があるでしょう。

緊急面接要請と入国停止措置対象外審査要請が却下された場合でも、その要請それ自体はビザ面接ではないため、ビザの却下とは見なされません。一方で、面接を受けて却下された場合はビザの却下とみなされます。したがって、以後ESTAの使用が一定期間禁止される可能性があります。

現状、大使館での入国停止措置対象外審査の判断基準に関する情報が不足しているため、現在の弊社の見解は米国大使館からの指示に基づいたものではありません。この点に関しても、 追加情報が発表され次第、随時更新します。

今回の入国停止対象である非移民ビザの緊急面接予約があります。私が米国に入国できなければ、勤務先の会社が何百万ドルもの損失を出すことになります。これは、同時に私の米国入国が「継続的な経済回復」のためでもある、と主張することは出来ますか? 緊急面接予約はどうなりますか?

米国領事は認可するかしないかの裁量権を認められていて、ケースバイケースで審査を行います。前述のように、今回の布告では、米国国務省と米国移民局が、ビザ審査のための判断基準を発行するよう命じています。個々のケースの詳細については、弊社にお問い合わせください。

米国移民局による、2020年度第2四半期の高い質問状の発行について

米国移民局(USCIS)は、雇用者がスポンサーとなる非移民ビザのカテゴリーに関する2020会計年度の第2四半期の統計データを発表しました。そのデータ結果によると、全体的な質問状(RFE)と却下率の発行数の傾向が、雇用ベースのビザ資格を厳格にする目的で施行されたトランプ政権の大統領命令と一致していることが明らかになっています。

【2020年度第2四半期のH-1Bビザ申請に関する統計結果】

2020年度のH-1Bビザ申請における第2四半期の認可率は87.1%で、2019年度の第2四半期と比較すると、約 4%上昇しました。しかし、2015年度の全体的なH-1Bビザ認可率の95.7%と比較するとかなり低いです。

2020年度のH-1Bビザ申請における第2四半期の質問状の発行率は35.8%で、2015年度の22.3%と比較すると、非常に高くなっています。尚、質問状返答後の認可の確率は2020年度第2四半期に68.2%に増率しましたが、これはまだ2015年度の83.2%の認可率をはるかに下回っています。

米国移民局によるH-1Bビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 87.1% 35.8% 68.2%
2019年度(第2四半期) 83.7% 35.3% 58.8%
2018年度(第2四半期) 79% 48.2% 59.5%
2019 84.8% 40.2% 65.4%
2018 84.5% 38% 62.4%
2017 92.6% 21.4% 73.6%
2016 93.9% 20.8% 78.9%
2015 95.7% 22.3% 83.2%

【2020年度第2四半期のL-1ビザ申請に関する統計結果】

2020年度第2四半期のL-1ビザ認可率は74.3%で、2019年度の同時期から増加しています。しかし、これはまだ2015年度の83.7%の認可率をはるかに下回っています。

2020年度のL-1 ビザ申請の質問状発行率は53.6%で、2015年度の34.3%よりも大幅に高くなっています。尚、質問状返答後の認可の確率は55.3%に増加しました。

米国移民局によるL-1ビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 74.3% 53.6% 55.3%
2019年度(第2四半期) 71.8% 53.2% 51.1%
2018年度(第2四半期) 79% 42.6% 52.7%
2019 71.9% 54.3% 50.8%
2018 77.8% 45.6% 52.9%
2017 80.8% 36.2% 49.4%
2016 85% 32.1% 55.6%
2015 83.7% 34.3% 53.5%

【2020年度第2四半期のTNビザ申請に関する統計結果】
2020年度第2四半期のTN認可率は88.7%で、2015年度の95.1%よりも大幅に下回っています。

2020年度第2四半期のTNの質問状発行率は25%でした。質問状返答後の認可の確率は58%で、2015年度と比較しても15%近く低くなっています。

米国移民局によるTNビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 88.7% 25% 58%
2019年度(第2四半期) 88.4% 24.5% 54.8%
2018年度(第2四半期) 85.2% 30.8% 53%
2019 89.8% 24.5% 60.1%
2018 88.2% 28.2% 59.9%
2017 91.6% 22% 64.7%
2016 90.7% 23.6% 64.2%
2015 95.1% 17.3% 74.8%

【2020年度第2四半期のO-1ビザ申請に関する統計結果】
2020年度第2四半期のO-1認可率は89%で、2017年度の最近の94.1%から大幅に低下しています。

2020年度第2四半期のO-1 質問状発行率は30.1%に増加しました。質問状返答後の認可の確率は64.8%に減少しました。

米国移民局によるO-1/O-2ビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 89% 30.1% 64.8%
2019年度(第2四半期) 90.5% 27.7% 67%
2018年度(第2四半期) 93.2% 21.8% 69.3%
2019 90.8% 26.4% 66.1%
2018 92.8% 22.9% 69.3%
2017 94.1% 22% 74%
2016 92.9% 22.6% 70%
2015 92% 24.9% 69%

この統計結果から分かること

これらの傾向から分かる重要な点は、トランプ政権下による大統領命令 “アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う(通称:Buy American and Hire American)” が実現に向かっていることです。尚、H-1B、L-1、およびTNビザ申請の結果には小さな改善がありましたが、質問状発行率は増加したか、高いレベルにとどまっていました。

この大統領命令の目的は、国土安全保障省と労働省に、H-1BとL-1ビザを含むビザ保持者の非移民労働者が米国の労働者に与える影響を見直すことです。尚、この統計から推測出来ることは、将来、より高い確率の質問状発行や却下などが見込まれ、 非移民の雇用カテゴリーに対して制限がかかることでしょう。尚、弊社では、引き続き、皆様にこの問題に関する最新情報を随時報告できればと考えております。

コロナウイルス(COVID-19)による移民に関する変化

世界的に流行しているコロナウイルス(COVID-19)により、米国の移民政策に影響を与える変更が下記の通り生じました。

  1. 特急審査申請の一時停止。米国移民局は、2020年3月20日に、全てのI-129(H,L-1, E, O-1など)およびI-140申請に対する特急審査申請が、今後、新たな通知が発表されるまで、直ちに停止されることを発表しました。
  2. 米国移民局の閉鎖。少なくとも2020年の4月1日まで公共サービスを実施する全ての米国移民局のオフィスが閉鎖されるということです。尚、これには、米国移民局の各フィールドオフィス、asylumオフィス、申請サポートセンター(Application Support Centers)や、米国市民権申請に伴う宣誓式などが含まれます。
  3. 署名入り書類の提出に関する柔軟な対応について。米国移民局は、2020年の3月21日付又はそれ以降に提出されたI-129フォーム(非移民ビザ申請書)を含む全ての申請フォームにおいて、原本の署名が複製された書類も受け付けることを発表しました。尚、 直筆の署名入りの原本が必要なフォームにおいては、米国移民局は電子的に複製されたオリジナルの署名を受け付けるということです。尚、電子的に複製されたオリジナルの署名入りの書類を提出する個人または団体は、直筆署名を含む原本の書類のコピーも保持する必要があるということです。
  4. 領事館の停職。多くの領事館が非緊急ビザのサービスを一時停止しています。
  5. 渡航制限。過去14日以内にオーストリア、ベルギー、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、又はアイルランドに渡航した者は、 米国に渡航することが制限されています。この渡航制限は、中国本土とイランからの既存の渡航禁止規則に加えられています。
  1. 以下に該当する場合は渡航禁止規則の対象外となります。
    1. 米国市民および永住権保持者
    2. 米国市民および永住権保持者の配偶者
    3. 米国市民および永住権保持者の親または法的保護者 (その米国市民および永住権保持者である子供が未婚で21歳未満である場合 )
    4. 米国市民および合法永住権保持者の兄弟姉妹(その米国市民および永住権保持者である兄弟姉妹が未婚で21歳未満である場合)
    5. 米国市民および合法永住権保持者の法的保護下にある子供
    6. その他の特定の外国政府および保健当局者

  2. 2020年4月11日に、当局はコロナウイルスの渡航禁止令に関して再評価する予定であるということです。
  3. 有効なESTA保持者ではあるが、渡航禁止規則の対象者であり、その禁止令に反して米国への渡航を試みる渡航者は 、ESTAが失効されるとい
    うことですのでご注意ください。