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米国移民局、特急審査申請の申請費用の値上げを発表

2018年8月31日、米国移民局はI-129フォームとI-140フォームの提出とともに要請する特急審査申請について、その特急審査申請費用の変更を発表しました。2018年10月1日より、特急審査申請費用が現在の1,225ドルから1,410ドルへと14.92%値上がりします。

この審査費用の値上がりに影響されるI-129フォームとI-140フォームによる申請は主にH-1B、L-1 やEB-3のカテゴリー等を含む様々な非移民ビザや移民ビザの申請に使用されます。

なお、最後に特急審査申請費用に変更があったのは2010年のことで、その際は、全ての都市部消費者に向け、消費者物価指数を基に費用が調整されました。今回の特急審査申請費用値上げの理由は物価のインフレの影響を受けています。なお、米国移民局は、この値上げによって得る追加資金を元に移民局職員の増員と情報技術システムの向上を見込んでいるようです。

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最近の移民法改正が及ぼす統計的影響について

アメリカの政策に関する国家基金(通称 NFAP: National Foundation for American Policy) はトランプ政権下によって生み出された最近の移民法改正が与える統計的影響について調査し、その統計結果を公表いたしました。以下が、米国移民局(通称 USCIS: U.S. Citizenship and Immigration Services) とアメリカの政策に関する国家基金(NFAP) が算出した2018年度7月の統計結果です。

2017年度のH-1B申請に関する統計結果

H-1B申請の第3四半期と第4四半期の質問状の発行
(通称 RFE: Request for Further Evidence) の割合 (2017年度)
第3四半期:質問状発行割合 第4四半期:質問状発行割合
インド 24.2% 72.4%
インド以外の全ての国 18.0% 61.2%
合算合計 22.5% 68.9%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

H-1B申請の第3四半期と第4四半期の却下の割合  (2017年度)
第3四半期:却下の割合 第4四半期:却下の割合
インド 16.6% 23.6%
インド以外の全ての国 14.0% 19.6%
合算合計 15.9% 22.4%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

L-1B申請における却下の統計結果

L-1B申請の第1四半期と第4四半期の却下の割合  (2017年度)
第1四半期:却下状の割合 第4四半期:却下状の割合
インド 36.0% 47.8%
インド以外の全ての国 14.1% 16.7%
合算合計 21.7% 28.7%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

L-1B申請の2015年度〜2018年度の却下の割合
年度 却下の割合
2015年度 24.9%
2016年度 24.2%
2017年度 27.1%
2018年度 第1四半期 30.5%
2018年度 第2四半期 29.2%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

L-1A申請における却下の統計結果

L-1A申請の第1四半期と第4四半期の却下の割合  (2017年度)
第1四半期:却下状の割合 第4四半期:却下状の割合
インド 9.5% 16.4%
インド以外の全ての国 14.3% 23.8%
合算合計 12.8% 21.4%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

O-1申請における却下の統計

O-1申請における第1四半期と第4四半期の却下の割合  (2017年度)
第1四半期:却下状の割合 第4四半期:却下状の割合
インド 14.7% 79.7%
インド以外の全ての国 20.5% 27.9%
合算合計 20.2% 33.9%

参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定

この統計結果から分かること

  • 2017年度のH-1B申請における第3四半期と第4四半期の質問状の発行数が28,711件から63,184件へと2倍以上の発行数となっております。なお、この第4四半期に発行された質問状の数はオバマ政権下の末期である同年度の第1四半期に比べると驚くべきことに、17%から69%に増加しました。
  • インド人申請者は他の国の申請者に比べ比較的多くの質問状を受けています。全てのH-1B申請において、インド以外の全ての国は61%の割合で質問状が発行されていることに対し、インド人申請者への質問状の割合は72%です。これはL-1B申請に関しても同様のことが挙げられます。
  • 特殊技能が必要とされるL-1B申請の却下率は、2017年度の第1四半期と第4四半期の間では合計で7%増量しました。なお、この割合は2018年も同様に継続して増加しています。
  • 役員、管理職向けの L-1A申請の却下率は、2017年度の第1四半期と第4四半期の間では12.8%から21.4%と飛躍的に増加しました。
  • 最後に、卓越した能力を有することが申請条件である O-1申請に関しては、2017年度の第4四半期の時点で約80%ものインド人申請者が質問状を受けることとなりました。

どの移民法改正が最も移民法に影響を与えたのかについて

2017年4月18日に制定された、トランプ政権下による大統領命令 “アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う(通称:Buy American and Hire American)” により、質問状と却下状の発行の割合は格段に上昇し続けています。特に、2017年度の第4四半期の統計結果は、同年の第3四半期の統計結果と比べ驚くべき違いが数字として現れています。

なお、米国移民局の審査官が質問状 を発行せずに申請書を却下することが出来る新たな新指針が施行されることにより、雇用者に質問状に応答する機会が与えられないため、今後更に大きな影響を及ぼすこととなるでしょう。なお、Notices to Appear (NTA:移民裁判所への出頭命令) の発行に関する新指針においても、米国移民局が、申請が却下された申請者を、適切な場合において、即座に国外退去させる権限を保持するため移民法に更に大きな影響が出てくることが予測されます。

Lブランケット申請において承認されたI-129Sフォームの発行枚数について

先月、米国移民弁護士協会(通称AILA: the American Immigration Lawyers Association)は、承認したI-129Sフォームを少なくとも3枚は発行しなければならないというブランケットLビザ申請に関する指針[9 FAM 402.12‐8 (F) (b)]があるにも関わらず、いくつかの在外米国大使館、領事館において、3枚未満のI-129Sフォームしか発行されていない状況があることを公表しました。 I-129Sフォームとは、Lブランケットプログラムに基づいたL-1ビザ査証申請において、アメリカ大使館、領事館での面接に必要な提出書類の1つです。面接が無事に終了し、ビザ査証が発行される際、このI-129Sフォームにビザの有効期間が手書きで記載され、ビザ査証とともに返却されます。

I-129Sフォームを適切な枚数所持していないとどのような影響があるのか

ブランケットLビザ保持者がアメリカに入国する際、税関国境警備局(通称CBP: Customs and Border Patrol: 空港などアメリカへの入国審査機関)が、ブランケットLビザ保持者に対してI-129Sフォームの原本の提出を要求し、ブランケットLビザ保持者に返却せずそのまま保管してしまった場合、このI-129Sフォームを失うことになります。従って、その後のアメリカ入国の際、原本を所持していないことになり、アメリカ入国への影響も考えられます。

解決策はあるのか?

国務省(DOS: the Department of State)が米国移民弁護士協会に伝え他ところによると、在外アメリカ大使館、領事館は、認証されたI-129Sフォームの必要数を発行する予定であるということです。国務省はブランケットLの指針が記載されているFAMの記載が変更になる前に連邦規則集(通称CFR: Code of Federal Regulations)の8章が変更されるのを待っているとのことです。なお、国務省はもし在外アメリカ大使館、領事館がI-129Sフォームを一枚しか承認しなかった場合は、I-129Sフォームは直筆のサインを必要としないため、コピーを取っておくべきでしょう、と勧めています。

最後に、米国移民弁護士協会は、ブランケットLビザ申請者は、ビザ申請(面接)の際、9 FAM 402.12‐8 (F) (b) の写し(面接官のマニュアルで、公表されて条文の一つです)を持参しておき、無事に面接をパスした場合は、必要に応じて面接審査官にその写しを提示することで、少なくとも2枚以上の承認されたI-129Sフォームを提供するよう促すことが懸命でしょう、とも助言しています。

詳細は米国移民弁護士協会の記事をご覧ください。
https://aila.org/infonet/practice-number-endorsed-forms-i129s

米国移民局によるNotices to Appear (NTA)に関する新指針

2018年6月28日、米国移民局(USCIS)はNotices to Appear (NTA:移民裁判所への出頭命令)の発行に関する新しい指針を発表しました。この新指針によって、今後米国移民局がNTAを発行する対象の範囲が以前より広がります。そのため、国外退去可能なケースで、詐欺行為、犯罪行為、又は、ビザ申請など却下されたにも関わらず米国に違法滞在している証拠がある場合の外国人もNTA発行の対象となります。

以前の方針では、米国移民関税執行局(通称ICE:U.S. Immigration and Customs Enforcement)がその役割を担い、米国移民局はビザ申請審査がその役割の中心でした。それが今回の方針転換を受け、米国移民局にもその機能及び権限が持たされた形となります。

米国に合法的に就労又は居住している外国人でも、彼らの滞在延長申請や転職申請が米国移民局による指針の変更によって思いがけず却下されてしまった場合もNTAの発行を受けての国外退去手続きをしなければならないようになります。なお、NTAの発行を受けた外国人は、その内容が、個人の意思に反しているとしても米国を出国することが出来なくなり、移民裁判所に行くことを余儀なくされてしまいます。同様に、最近のUSCIS の規定変更により、滞在を許可するステータスが無効になってしまった留学生もNTA発行の対象となります。なお、2018年5月31日の時点で既に70万以上ものケースが移民裁判機関にて滞りが出ている状況ですので、この新指針は移民法業界また外国人にとって更に大きな影響を与えることになります。

この新指針によって最も気になる点の一つは非移民ビザ(H-1B , L-1 ビザなど)の延長申請等、元のビザの期限を過ぎたにも関わらず申請は引き続き審査中の状態で、アメリカにて合法的に待機しながらも結果的にビザ申請が却下になってしまうケースで、今回のケースでは、その状況もNTA発行の対象となるようです。従って、非移民ビザ等延長申請の必要な方は、元のビザの期限を迎える前に延長申請の最終結果が出ている状況が望ましいと考えられます。

Lビザ申請審査が厳しくなっている現状

弊社では多くのLビザ申請ケースを取り扱っていますが、最近、その審査が新しい形で厳しくなっており、質問状も増えていることを実感しています。

 

L-1ビザとは

簡単に、L-1とは国際企業間の転勤者のためのビザであり、米国に支店・子会社・親会社がある米国外の企業の社員が、同種の仕事内容で米国において働く場合に適用されます。エグゼクティブ又はマネージャーとして米国で勤務する者はL-1Aビザ、Specialized knowledge(会社特有の専門能力)を必要とされて米国で勤務する者はL-1Bビザとなります。ビザの有効期限は、L-1Aが最大7年、L-1Bが最大5年です。
申請者に求められる資格として、Lビザ申請の時点からさかのぼって過去3年のうち1年間継続して米国のスポンサー会社の米国以外の関連会社にてエグゼクティブ、マネージャー、または専門能力保持者として勤務している事が条件です。

 

L-1ビザ保持者に対する給与支払いの事例

そこで、つい最近の移民局の審査状況から気になった事例をいくつか紹介したいと思います。質問状が増えていること自体は前述の通りですが、更にこれまで追求されなかったような内容の質問も中にはあります。その一つの例が、L-1保持者に対する給与支払いについてです。法律ではL-1保持者に対しては、H-1Bビザに対して求められるような最低賃金額というものはありません。それでも特にL-1の延長申請に関し、申請書の中で特定の給与額を提示していたケースで、もしその金額以上の給与が正当に支払われてない場合は、移民局はその申請を却下する傾向が出てきているというものです。これまで移民局は給与の支払いに関しては深く注視していなかったのですが、今後は注意すべき事項となっています。
実際、L-1ビザで従業員を派遣している多くの企業は問題なく申請上の給与額以上支払っているようですが、一方で、その給与の全額または一部が日本で支払われているケースも多くあるようです。移民法上、厳密には法律違反ではありませんが、アメリカでL-1ビザをもとに就労している限りは、一部分が日本で支払われるにしても、日本の支払い分も含めた全額がW-2に計上されるよう心がけておくべきでしょう。もしそのような対応がされていない場合、移民局は日本で支払われた部分的な給与額を認識しないままケースを却下する可能性があります。

 

L-1ビザ保持者の永住する意思に対する移民局の懸念

その他、L-1はその保持者がアメリカに永住する意思を同時に持っても良い非移民ビザの一つなのですが、移民局はそれに対しても懸念を持っており、申請上、L-1での職務が終了次第、自国へ戻ることが明確に示されているかも審査上、注視しているようです。こちら、法律の解釈上は理解しがたいものですが、移民局の現状から、給与支払いの問題とともに注意すべき事項とも言えるでしょう。

L-1Aビザにおける管理業務の証明について

米国移民局の新たな決定によると、L-1A保持者として、米国にて国際的な業務を行うマネージャーをサポートする海外スタッフの証明は、L-1Aに分類される根拠の一つとして考えられるべきだと述べられています。

米国移民局の行政不服審査庁(AAO)は最近、L-1Aの分類のための「管理能力」をどのように決定するかについて拘束力のある決定を採択しました。具体的には、その個人がアメリカにてマネージャーとしての管理業務を遂行するかどうかの決定によって人材のレベルが判断される場合、そのマネージャーの日常の非管理職的業務については、申請者となるアメリカの会社と法的に関連性のある海外企業に在籍しているスタッフによって行われている旨の根拠については、米国移民局は考慮しなければならないとの判決内容です。

この申立内容の背景は次の通りでした。申請者は日本企業のアメリカ子会社。その外国人労働者はL-1A分類された申請者で、新たなアメリカでの事業の副社長兼最高執行責任者(COO)として配属を命じられました。同社がL-1A保持者のためのオフィス拡張を行っていた際には、在アメリカの同社には二人の従業員がおり、同時にアメリカの事業をサポートするスタッフも日本に8人在籍していました。

米国移民局は当初、 管理職または幹部職としての条件を満たしたL-1A就労者をサポートするのに、申請者が十分な「組織的構造」を持っていなかったとして、この申請を却下しました。日本における8人のスタッフがL-1A就労者であるマネージャーの日々の日常業務をサポートしていたとは認めなかったのです。

控訴審ではAAOは米国移民局の決定を撤回し、この申請をL-1Aとして分類し認可しました。AAOは、彼らのアメリカでのビジネスがまだ発展途上の初期段階であり、 海外のスタッフとその サポートサービスの必要性を、米国移民局は根拠として考慮すべきであったと判決しました。アメリカでの給与支払いに基づく従業員が少数しかいないことがL-1Aマネージャーとしての資格を有しているかどうかの決定に関連する一方で、それは必ずしもL-1A就労者が、管理業務とは言えない日常業務を主に行っていることを意味するものではない、としています。

この決定はここ最近アメリカにてビジネスを拡大しようとしている国際的企業や、事業の最初の数年間にアメリカにて十分な人材を確保できないことで、海外の人材に依存しなければならない企業にとっては特に喜ばしい判決結果と言えるでしょう。

参照:Z-A-, Inc., Adopted Decision 2016-02 (AAO Apr. 14, 2016)

アメリカ移民局のL−1Bビザ審査状況

会社特有の専門能力を持つ従業員を企業内転勤者としてアメリカに派遣する際、L-1Bビザが申請オプションとなる場合が多くあります。アメリカ移民局の発表によると、2015年会計年度においてアメリカ移民局が受け取った、L-1B申請総数は13,626件で、そのうち、約76%(10,368件)の申請が認可され、約25%が却下されたとのことです。現在、2,116件のL−1Bビザ申請が審査中となっています。

 

2014年会計年度のL−1Bビザ申請の却下率は35%に達していましたが、その数は大きく減少傾向にあると言えます。

 

参照:

http://www.aila.org/infonet/uscis-performance-data-l-1b-petitions-for-fy2015

http://nfap.com/wp-content/uploads/2015/03/NFAP-Policy-Brief.L-1-Denial-Rates-Increase-Again.March-20151.pdf

 

L-1 ブランケットプログラムに基づくLビザ保持者の滞在、就労期限について

2015年10月8日、アメリカ弁護士協会とアメリカ国務省連絡委員会により発行された通達はとても重要な内容となっています。

 

Lブランケットプログラムに基づいたL-1ビザ査証申請は、アメリカ大使館、領事館での面接申請のみでビザが取得できるというメリットがあり、提出書類の中にフォームI-129Sというものがあります。面接が無事に終了し、ビザ査証が発行される際、このフォームI-129Sにビザの有効期間が手書きで記載され、ビザ査証とともに返却されるのですが、アメリカ国務省は、今回の通達のなかで、このI-129Sの有効期間の取り扱いに関する現国務省ポリシーについて、明確な解釈を示しました。

 

このI-129Sへの有効期間の記載は、アメリカ大使館、領事館の領事により行われるのですが、その日付に対し、実際に発行されるLビザ査証の有効期限、更にはアメリカ入国時に入国審査官により決定される就労及び滞在期限と異なるなど、多くの疑問が残っていました。

 

とりわけ、世界各国のアメリカ大使館や領事館、またアメリカの各州国際空港など税関国境警備局(CBP: 空港などアメリカへの入国審査機関)における審査官に対するトレーニングが未だ続いており、その状況もまた、I-129Sに記載すべき有効期間やビザの期間、またI-94の期限の決定について混乱が続いている要因のようにも思われます。

 

とりわけこの混乱は、2012年2 月のアメリカ国務省による22 CFR §41.54法の修正以降に顕著となり、国務省の発行するLビザ査証の有効期間(有効期限)と移民法上のLビザ認可期間とは全く異なるものとなりました。結果、国務省は各国との互恵協約(Reciprocity Agreement)に基づきビザ有効可能期間の上限まで有効なLビザを発行しています。日本など多くの場合、5年有効なLビザが発行されており、この期間はI-129Sに記載されるLブランケット有効期間に記載される最大期間(新規であれば3年、延長であれば2年)と異なる状況が発生しているのです。

 

このように、面接時に提出するフォームI-129Sの記入欄には就労リクエスト期間(通常、新規であれば3年、延長であれば2年)を明記している一方で、政府の発行証によってそれぞれに有効期間が異なることから、多くのビザ保持者がどの有効期間に基づいてアメリカに滞在し、アメリカで就労すべきか困惑していることでしょう。

 

なお、最近実施された連絡協議会(2014年10月9日)において、アメリカ国務省は、Lビザ査証の有効期間が充分残っている状況でも、当初ビザ認可時にI-129Sに記載された有効期限を迎えるのにあわせ、アメリカ国外にあるアメリカ大使館、領事館にて、新しいLビザ申請が可能である旨、明確に解釈発表しました。更に、アメリカ国内においても、ステータス及び滞在延長するため、アメリカ移民局に対して個人ベースでLビザ延長申請を行うことも可能です。

そこで今回2015年10月8日、アメリカ国務省はLビザ認証時にフォームI-129Sに記載される有効期間は、アメリカ移民局に対してLブランケットプログラムを通してではない個人ベースで申請したケースで移民法上認められる有効期間と同じとなることを示しました。つまりI-129Sに記載の期間が、法律上アメリカに滞在し就労できる期間である、と明確に基本方針を発表しました。

 

一方、アメリカ入国時にCBP入国審査官により決定されるI-94上の有効期限について、入国審査官は、L-1ビザ査証の有効期限またI-129Sの有効期限に関わらず、アメリカ入国時から3年という一貫した滞在及び就労期限を設定してきました。公式な発表は行われていませんが、CBPはLブランケットプログラムを通して取得したLビザ保持者によるアメリカ入国に対し、この3年の滞在許可期間をとりやめ、新しいポリシーに基づいて有効期限を与えているようです。その新しいポリシーとは、アメリカ入国時、最大で3年の滞在及び就労期間を与えるというもので、以下の条件を満たしていることを前提に決定されます。

 

  • 必要なパスポート有効期間が残っている
  • 有効期間が記載され、有効なフォームI-129Sを持っている
  • 移民法上定められたLビザ期間(L-1B: 最大5年、L-1A:7年)を超えた滞在期限を与えない

 

しかし、未だにアメリカ入国審査官は一貫性のない滞在期限を決定しているとの報告が続いており、(1) 入国時点から3年後、(2) I-129Sに記載の有効期限、(3) Lビザ査証に記載の有効期限(発行時から最大5年)、(4)パスポートの期限、等、多様です。

 

結果として、場合によっては、CBPの入国審査官によって決定されるI-94の期限がI-129Sに記載の期限より先になるということも起こっています。この場合、I-129Sの有効期限以降I-94期限までの期間は合法的に就労ができるのか、という疑問が湧いているのも事実です。

 

そのような疑問があるにもかかわらず、未だにCBPの対応は変わらず、 最終的な入国を認めるのはCBPの入国審査官であり、更に、移民局またアメリカ国務省の認証期間にかかわらず就労及び滞在期限を最終決定するのもまたCBPの入国審査官による裁量ということにもなるわけです。つまり、CBPの発行するI-94は、ビザ査証やI-129Sなど他の政府発行証書がもつ効力を上回る最たるものであることを意味し、LブランケットベースのLビザ保持者に対する就労及び滞在期限の扱いもまた、他の政府発行書類を凌ぐ扱いがなされるものとなることから、このような状況でもI-94の日付に従って雇用が継続できるとの解釈もできます。

 

しかしながら、この解釈は2015年10月8日に発表されたアメリカ国務省の示す方針とは矛盾し、国務省方針そのものが意味をなさないものともなるのですが、今回の国務省による方針内容はCBPの現方針を取り入れたものであることから、今後は、今回の国務省による方針に従うべきでしょう。

 

従って、I-129Sに記載の有効期間は移民法上定められた有効期間と一致するはずですので、その期間が合法的にアメリカでLビザ保持者として就労可能な期間となります。今後、アメリカ入国時にI-129Sの有効期限を越えたI-94の有効期限が与えられた場合、それは入国審査官による間違いであることを認識してください。

 

このようなI-94の期限日が設定された場合、I-129Sの有効期限を越えた期間の就労は行えず、入国審査官の発行するI-94は信用すべきではないとのスタンスを弊社ではとっています。I-129Sに記載の日付を優先してください。

 

ここで、十分気をつけていただきたいことは、仮にI-94の期限が残っている状況でも、I-129Sの有効期限を迎える前に必ず何らかの形で、延長申請を行うということです。大きく分けて二つありますが、アメリカ国内であれば、アメリカ移民局を通して延長申請を行う、もしくはアメリカ国外のアメリカ大使館、領事館にて新たなビザ査証とともに新たな有効期間が記載されたI-129Sを入手するという申請方法がありますので、I-129Sの有効期間についてはしっかりと覚えておくようにしてください。

L-1Bビザの新たな覚書

アメリカ移民局によるL-1Bビザの審査は日々厳しくなっており、政府発表の統計データを見ても、多くの質問状の発行、また高い却下率となっています。そこで、アメリカ移民局はL-1B条件を満たすためにどのような根拠を示すべきかについて、2015年8月17日、新たな覚書を発表しました。

まず、今回発表の覚書では、L-1Bで求められる専門的知識(“specialized knowledge”)について、specialまたは advanced knowledgeのどちらかに区別して審査することとしています。

アメリカ移民局は、special knowledgeについて、ビザスポンサー会社の商品、サービス、リーチ、設備、技術、マネジメント等の知識と定義しており、同業界において一般に得られるそれら知識に比べても明確に異なり、高度に稀なものであり、国際市場で生かされるべき知識です。一方で、それら知識は、必ずしも特許や商標で守られているなど会社特有なものである必要はありません。

またadvanced knowledgeについては、ビザスポンサー会社の特定のプロセスや手順等に関する知識や専門性としており、それらは関連業界で一般に得ることのできないもので、且つ会社内においても、既に高度に培われている、または更なる発展過程にあるべきもので、複雑で高度な理解力が求められる知識と定義しています。ただ、それら知識は、スポンサー会社内において一握りの従業員のみが有する知識までは求めていません。

更に、アメリカ移民局は申請者(ビザ受益者)の専門的知識(specialized knowledge)の有無を判断する際、次の6つの項目を重要視します。

  1. ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社で得た知識がアメリカのビザスポンサー会社のビジネスに対して著しく価値あるものか
  2. ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社において、ビザ受益者が、その専門性及び知識を通して、会社の生産性、競争力、イメージ、財務事情を著しく強化させるような業務に関わっていたか
  3. ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社での経験を通してのみ、通常得られる専門知識であるかどうか
  4. 膨大なコストや時間また会社として不都合を受け入れない限り、他個人に簡単に伝達または教育できないレベルのものであるか。(一般にそれら専門的知識を得るためには高度なトレーニングや長期の専門分野での職歴が必要であり、更にそれらにはコストや時間もかかるため、例えばアメリカのポジションに対し、ビザ受益者が持つような知識を持つものの任命が急務である場合、他者の現地採用には時間とコストがかかるだけでなく、ビザ受益者を必要なタイミングで派遣できないことで会社に多大な損害が及ぶ状況となるか)
  5. プロセスや商品の専門的知識がアメリカのビザスポンサー会社にとって特有なものでなくとも、洗練されている、複雑である、又はハイテクなものであるか
  6. アメリカのビザスポンサー会社の市場競争力を高めるものか

上記を踏まえ、今後L-1B申請にてサポートレターを作成する際、弊社提案として以下のような点に注意して専門知識の説明を行うべきでしょう(専門的内容を含みます)。

  • Specialとadvancedの知識を明確に区別すること。Specialized、special、そしてadvancedという3つの言葉を混同しないようにしましょう(Specialized = special and/or advanced.)。
  • 会社特有の知識(特許、商標、IP申請など)であることを立証できる補足資料等を提出できない限り、”proprietary(会社特有の)“という表現は使うべきではないでしょう。もちろん会社として特許等持ち、それにビザ受益者が関わっているような場合、その内容を強調すべきでしょう。
  • proprietary(会社特有の)“という表現が使えない場合、”sophisticated(洗練された)“, “complex(複雑で)” 、”highly technical(ハイテクな)“というような表現を使うと良いでしょう。
  • ビザ受益者が持つ専門的知識は一握りの従業員しか持ち合わせていない場合、明確にその顕著さを数字化すべきでしょう。例えば全従業員200名のうち10名のみが持つ卓越した知識である等。
  • 申請上の肩書きを通して、明確に“specialized knowledge”を持つことを連想させることも重要でしょう。申請ポジションが仮に管理職でもL-1Bの申請であれば、例えば内視鏡に関わる“Marketing Director”のL-1B申請を行う場合、”Marketing Director of Endoscopic Instruments”と具体化させると良いでしょう。
  • 可能な限り同業他社また他の従業員との職務内容の違いや比較について説明すると良いでしょう。特に、なぜビザ受益者の職務内容を他従業員が遂行できないかの説明があればより効果的でしょう。
  • ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社での職務内容及びアメリカでの予定の職務内容を箇条書きで書く場合、全体を100%として、それぞれに%を割り振るべきでしょう。またビザ受益者が専門知識を必要とするポジション(技術部など)であることが分かる組織図を加えると良いでしょう。L-1Bの申請でも移民局は質問状を発行し、組織図の提出を求めることがあります。
  • ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社での職務内容及びアメリカでの予定の職務内容はより詳しく具体的に書くべきでしょう。
  • ビザ受益者が成し遂げた特定業務やプロジェクトは明確にリスト化し、それらを通して具体的に金額的にいくらの功績となったかを示すこと。具体的に金額を書いた方がより効果的でしょう。
  • ビザ受益者がもつライセンス、トレーニング履歴(単なる新入社員研修ではない専門的で高度なもの(OJT含む)等)について、補足資料の提出と共に説明すべきでしょう。
  • アメリカのスポンサー会社のポジションで求められる専門知識を通して、ビザ受益者がトレイナーとして他従業員や同業他社に対してトレーニングを実施したことがあれば、補足書類の提出とともにその実績に関する説明を加えると良いでしょう。
  • 申請上のアメリカのポジションにビザ受益者以外の新しい従業員を任命する場合、その職務遂行に必要な知識の教育にどれほどの長い時間とコスト、また会社として経済的、経営的にどれほどの損失(トレーニング自体がアメリカに存在しない場合など)がでるかを説明すると良いでしょう。

更に、最近の移民局のL-1B審査傾向の一つに、ビザ受益者の専門知識の証明に、サポートレター内だけでの説明では十分ではなく関連した立証資料をどれほど提出できるかも重要視していることが見受けられることから、この覚書の内容をしっかりと把握するとともに、より戦略的に申請書類を作成するが求められます。

L-1査証上の注意書(annotation)

最近、L-1査証上の注意書(annotation)が改定された模様です。これまでは、通常のL-1・ブランケットのL-1の区別なく、「認可されたI-797またはI-129Sを入国審査で提示する必要あり (must present approved I-797 or I-129S at POE)とされていましたが、新しい表記では、通常のL-1の場合「認可されたI-797を入国審査で提示する必要あり (must present approved I-797 at POE)」とされ、ブランケットのL-1の場合は「I-129Sを入国審査で提示する必要あり (must present I-129S at POE)」とされるようになりました。

これから新しくL-1査証を取得する場合は、この表記に間違いがないかどうかを確認するようにしてください。