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第三機関(Third Party)を就労先とするH-1B申請に関する新指針(その1)

2018年2月22日、米国移民局(USCIS)は第三機関(Third Party)を就労先とするH-1B申請に関する新しい指針を発表しました。この新しい指針は今年の新規H-1Bビザ申請(2018年4月2日から開始)、またH-1Bビザ保持者の延長申請の両方に対して直ちに適用されます。一般に、H-1B受益者の就労先について、第三機関会社での雇用を計画している請願者(H-1Bビザのスポンサー会社)は、その第三機関での全雇用期間に対する雇用契約書、特定の業務スケジュール、そして関連するクライアントからの詳細な情報の提出が申請上、詳細に要請されることとなりました。移民局審査官は、請願者、契約先会社、さらにはその末端の関連クライアント間における契約関係を確認のうえ、請願者が引き続きH-1Bビザ受益者の雇用を全て管理する内容のものかの評価を下します。移民局は全ての契約書の確認を経て、仮にH-1B申請上のリクエスト雇用期間を3年としても契約書に1年など短い期間の契約雇用期間しか存在しないと判断される場合は、仮に認可するとしても3年ではなく1年限定の認可に留めることもあり、また明確な雇用関係が確認できない場合は、最終的にケースを却下することもあるでしょう。言い換えれば、今回の新方針により、H-1Bスポンサー会社はこれら雇用に関するビジネス上の詳細な、また場合によっては機密事項に関わるような情報の開示までもが求められることを意味します。

 

実際、同様の方針が長年にわたって打ち出されていたこともあり、弊社では関連する雇用契約上の資料の提出を推薦してきましたが、今回の発表を受け、これまで以上に関連資料が詳細に確認されることとなるでしょう。更に、この第3機関会社における全雇用期間に対し、H-1Bで求められる専門職としての業務が確実に遂行されることが裏付けられる内容をしっかりと書面化しなければなりません。

 

移民局は、その全雇用期間において、第3機関会社での雇用内容がH-1Bの専門職であるか、また第3機関での雇用においても引き続きビザスポンサー会社とH-1Bビザ受益者の間に明確な労使関係(Employer-Employee relationship)が存在し続けるかについて、提出書類を確認しますが、今回の指針において以下のような証拠書類(例)の提出を求めています。

  • H-1B専門職の業務を遂行する就労先(worksite)となる第3機関の会社及び関連する全ての会社との署名入りの契約書
  • 第3機関会社におけるH-1B受益者による予定業務内容、雇用上の条件、雇用期間、就労時間等が記載された第3機関の会社より署名された書類(署名は会社の責任者からのもので、例として作業指示書、作業命令書、レターなど)
  • 技術資料、マーケティング分析資料、資金援助を証明する書類等を含む業務内容が詳細に記載された証拠書類

 
移民局による警告にはなりますが、H-1B請願者(ビザスポンサー会社)は、これら資料によっては記載の機密事項部分の割愛は可能でしょうが、その場合は、その割愛を補うべく十分な証拠書類や説明が必要となるでしょう。

トランプ政権によるH-1Bビザへの影響

今年も2019年度新規H-1B申請開始日が近づいてきましたが、昨年4月に受付された2018年度の新規H-1B申請に対しては、多くの申請審査に質問状が発行されたり、審査に時間がかかったり、また多くのケースが却下されるなど、その厳しさが目立った年度であったことは記憶に新しいところです。

 

2017年11月の時点の移民局データでは、前年の2倍以上の新規H-1Bケースが却下されたという数字もあり、このことからトランプ政権の公約にも関連すべく外国人雇用の機会が削減され始めた現象が見え始めてきている結果とも言えるでしょう。

 

その他、2017年11月時点の関連データによると、全体の17.6%(30,445件)の新規H-1Bが却下となっており、前年の同時期が7.7%であたことを考えると相当に増えている計算となります。更に質問状発行について言えば、2017年11月までにおいて、全申請に対して、半分近くの申請に質問状が発行されたようです。

 

これら状況を受け、移民局ディレクターであるLee Francis Cissna 氏は、これはアメリカ移民システムの完全性を保つためで、この質問状の発行により遅れが出ていることは理解しているが、質問状を発行し、その返答内容を確認することでより正しく認可審査が導き出されている、と述べています。

 

しかしながら、実際、発行された質問書に対して300〜400ページにも昇る返答書を提出したとしても、どのようなケースが認可され却下されるのか、明確な規則性が見当たらないとも言えます。あえてその根拠として挙げるとすれば、オファーされている給与額はいくらなのか、会社の業務状況や歴史はどうか、ビザ受益者の学歴や職歴はどうか、申請上のポジションはH-1Bで求められる専門職であるか等々、移民局の確認したいポイントは大まかには見て取ることはできます。ただ、実際に、その前の年まで問題なく認可されていたケースでも質問状を多く受けており、例えば、弊社では会計士やシステムアナリストがなぜH-1Bの条件でもある大学学士号を必要とするポジションなのか、それらはなぜ専門職と言えるのか、という首をかしげたくなるような主旨の質問状も受けております。ちなみに弊社で受けた質問状の内容について、その多くが既に質問状を受ける前の最初の申請書の中で議論している内容のものをあえて質問状で聞いていることもまた今回の質問状の特徴でもあるかもしれません。

 

別の記事でも紹介しましたが、トランプ政権はプライオリティーシステムとして抽選対象となる新規H-1b申請の仕組みに修正を加えることを提案しており、またH-1Bの有資格者条件も見直しを変えようとしています。

 

これら状況を受け、多くの企業や個人がH-1B申請に躊躇を示し始めているのも事実です。今年の新規H-1Bの申請数がどうなるのか、審査がどのような厳しさとなるのか、現状では申請方法等は昨年と変わりはありませんが、今後に注目です(上記、データ等San Francisco Chronicleの記事が元になっております)。

H-1Bビザに関する新しい法律

アメリカ移民局は現在、移民法に関­する新法案の提出を予定しており、これが最終的に法制化されると、H-1Bビザの扱いに大きな変更が予想されます。またF-1の学生またH-4(H-1Bの配偶者ビザ)に対して与えられる就労許可に関する法律にも変更が見られるようです。想定される主な変更事項は下記の通りです

 

H-4保持者に与えられる就労許可発行の廃止

移民局は現在特定の条件のもとH-4保持者に与えている就労許可の廃止を提案しています。施行予定は2018年2月です。

 

新規H-1B申請に対し、その事前登録と事前抽選の実施

基本方針は2011年に提出された同様の法案ですが、新規H-1B(抽選対象となる申請)に対し、事前登録受付を実施し、事前抽選に当選した場合のみ申請書が提出できるようになるという仕組みです。今回は更なる変更が想定され、H-1Bの年間発給数に対してプライオリテーシステムを導入するというものです。つまり限られたH-1B年間発給数に対して、高い給与を得る、また高い専門性を持つ申請者に高い優先順位を与えるべく対象申請者の資格(雇用条件等)に応じて、多くの数の割り振りを実施するという案です。施行予定は2018年2月です。

 

H-1Bの資格基準及び賃金支払い義務の内容の見直し

移民局は、アメリカ国外からの最高で最も有能な外国人のみにH-1Bが与えられるようにすべく、H-1Bの通称である”Specialty Occupation(専門職)”と言う定義の見直しを計画しています。今後法案化されるとすれば、アメリカ人労働力の確保また一定賃金の確保を目的として、H-1B雇用における雇用体系また、労使関係の定義にも変更が予想されます。詳細は今後に注目ですが、施行予定は2018年10月です。

 

外国人留学生に与えられるプラクテエィカルトレーニングの見直し

移民税関監査局は、F-1またM-1の学生に与えられるOPTに対して包括的な変更を考えているようです。これによりアメリカ人労働力の保護また学校や外国人留学生に対する監視体制が増強されることが予想されます。つまり、通常のOPT、STEM OPT、 CPTプログラムの取り扱いに対し、雇用主(トレーニング提供企業)は何らかの更なる責務また制限等が盛り込まれることでしょう。詳細は今後に注目ですが、施行予定は2018年10月です。

 

申請費用の値上げ

移民局は申請費用の値上げを検討しています。またF-1ビザやJ-1ビザに求められるSEVIS費の値上げも予定しています。

 

以上、概要です。こちら、まだ提案の段階で、まだ法制化されたものでもなく、内容の変更もありえますが、現政権の立ち位置がはっきりと見える案とも言えるでしょう。今後、移民局は通常の事務手続きを経て、一般市民からのコメントを求めることでしょう。その後、議会による法制化がいつされるかですが、来年の新規H-1b申請にどのような影響が出てくるか、今後新しい情報が入り次第、随時紹介いたします。

H-1Bビザの審査状況 (その2)

H-1B申請に対し質問状が多発している現状は前の記事でもお伝えの通りですが、その背景には、アメリカ移民法に関わる改革は新政権の掲げる重要改革事項の一つで、H-1Bビザについても、最も熟練した高額所得者に対してのみ発行されるべきである、との大統領命令に従い、移民局は、このレベル1の給与額を引き合いに質問状を発行することで”大統領指令の実行”を遂行する傾向が見受けられます。

同内容の申請において、特に移民局は今年4月に受け付けた新規H-1B申請(抽選の対象となったH-1B申請)に対し、多くの質問状を発行しています。つまり移民局は本来専門職であるべきH-1Bビザのポジションに対して、エントリーレベルの給与額をオファーすることはH-1Bの条件を満たさない、との見解を示し始めたわけです。

今後は新規H-1Bケースに限らず、H-1B延長や転職の申請等に対しても同様の対応が予想されます。例えば3年後の延長申請については、既に3年の経験がある従業員の延長申請を行うこととなり、その申請上のオファー給与額がエントリーレベルのレベル1賃金に基づいているとすれば、その不適格性を指摘される可能性は十分に予想できます。言い換えれば、本来H-1B申請の条件の一つであるポジションに関連した相当する学士号(Bachelor’s)以上の学歴を持っている、という最低条件に加え、3年の職務経験が加わることは、その特定の申請者に対するH-1B申請に対し、エントリーレベルのポジションとしてレベル1の給与をオファーすべきではない、ということを意味することになります。

これまで移民局は申請者の経歴やポジションの複雑性、専門性に応じた給与レベル設定について厳しい指摘はなく、2回目、3回目以降のH-1B申請においても、レベル1の給与設定に対し、多くは指摘の対象とはしてきませんでした。しかし今後は、それらケースに関しても質問状発行の対象となることは推測できます。事態の状況がより深刻なのは、現時点で、関連したこの質問状に対し、回答して認可を受けたという報告が全米弁護士協会から一切の報告が上がってきていないという点です。今後の政府による対応は注目です。

H-1Bビザの審査状況 (その1)

新政権のもと、ビザ申請審査が非常に厳しくなおり、H-1Bビザも例外ではありません。更にH-1B申請はプレミアム申請(審査が15日以内に行われる特急申請)が使えないなど不便な状況が続いていました。そこで、H-1Bの現状について2回に分けてお知らせします。

まず、明るい話題として、H-1B申請はプレミアム申請について、こちら徐々に再開に向かっています。こちら4月以降H-1B申請については、プレミアム申請ができない状況が続いていましたが、日本人の多くが該当する申請カテゴリーでは、今年4月に受付開始され、抽選となった全新規(2018年度)H-1B申請に対し、9月18日よりプレミアム申請へのアップグレードが可能となりました。更に、米国弁護士協会の報告では、まだ正式ではないものの、10月3日までには延長や転職も含む全てのH-1B申請でプレミアム申請が再開となる見通しです。この記事が読まれている頃には正式となっていることでしょう。

このプレミアム申請の再開を受け、早々にH-1Bの結果を知りたかった方は朗報と言えるでしょう。運転免許証やその他資格更新など正式な滞在許可認可が必要な方はアップグレードを望むところでしょう。ただ一方で、現在の厳しい審査状況を念頭におく必要があります。プレムアム申請に切り替えれば早く認可を得られるという利点もありますが、現状では大変内容の厳しい質問状が発行される可能性がこれまで以上に考えられます。前々回の記事でも触れ、また次回の記事でも続きで紹介しますが、これまでにはない質問状が多発している現状がありますので、プレミアム申請にアップグレードする場合は、最新の移民局による審査傾向の元、タイミングなど、より戦略的に対応することが望ましいでしょう。

さて、その質問状について、レベル1のポジション(特定の地域及びポジションに対する賃金レベルの4段階のうち、レベル1がエントリーレベルポジションに相当)の賃金額に基づいて認証されたLCA(労働局発行の労働認定証)とともに提出した新規H-1B申請に対し、質問状が多発しています。今後、同内容の質問状が延長、転職のH-1B申請においても発行され始める、と予想しています。

H-1Bビザの審査状況

皆さんも耳にしていることかと思いますが、新政権のもと、ビザ申請審査が非常に厳しくなってきており、H-1Bビザも例外ではありません。

ここ最近の政府の新方針のもと、レベル1のポジション(特定の地域及びポジションに対する賃金レベルの4段階のうち、レベル1がエントリーレベルポジションに相当)の賃金額に基づいて認証されたLCA(労働局発行の労働認定証)とともに提出したH-1B申請に対し、移民局より質問状が発行される可能性が非常に高くなっています。アメリカ移民法に関わる改革は新政権の掲げる重要改革事項の一つで、H-1Bビザについても、最も熟練した高額所得者に対してのみ発行されるべきである、との大統領命令に従い、移民局は、このレベル1の給与額を引き合いに質問状を発行することで、”大統領指令の実行”を遂行する傾向が見受けられます。

移民局は今年4月に受け付けた新規H-1B申請(抽選の対象となったH-1B申請)に対し、確認できただけでも既に数百件以上にも及ぶ関連した質問状の発行をしており、とりわけ、レベル1の労働認定証をもとに作成された申請書が主な質問状発行の対象ケースとなっています。つまり、移民局は本来専門職であるべきH-1Bビザのポジションに対して、エントリーレベルの給与額をオファーすることはH-1Bの条件を満たさない、との見解を示し始めたわけです。

今後は新規H-1Bケースに限らず、H-1B延長申請等に対しても同様の対応が予想されます。例えば3年後の延長申請については、既に3年の経験がある従業員の延長申請を行うこととなり、その申請上のオファー給与額がエントリーレベルのレベル1賃金に基づいているとすれば、その不適格性を指摘される可能性は十分に予想できます。

言い換えれば、本来H-1B申請の条件の一つであるポジションに関連した相当する学士号(Bachelor’s)以上の学歴を持っている、という最低条件に加え、3年の職務経験が加わることは、その特定の申請者に対するH-1B申請に対し、エントリーレベルのポジションとしてレベル1の給与をオファーすべきではない、ということを意味することになります。労働局のガイドラインにおいても、学士号に加えて2年以上の職務経験がある場合は、少なくともレベル2の給与をオファーすべきとの指針があります。

これまで移民局は、申請者の経歴やポジションの複雑性、専門性に応じた給与レベル設定について厳しい指摘はなく、2回目、3回目以降のH-1B申請においても、レベル1の給与設定に対し、多くは指摘の対象とはしてきませんでした。しかしながら、今後は、それらケースに関しても質問状発行の対象となることは推測できます。上述の通り、移民局は予定職務内容とともに労働認定証を注意深く確認し、既に多くのレベル1のケースで非常に困難な質問状を発行する傾向にあります(このような状況のもと、レベル1給与額で認可されているケースはあります)。事態の状況がより深刻なのは、現時点で、関連したこの質問状に対し、回答して認可を受けたという報告が全米弁護士協会から一切の報告が上がってきていないという点です。言い換えれば、レベル1での申請では、現状、質問状に返答しても、最終的には認可が得られない可能性が非常に高くなってきているという状況とも言えます。

今後の政府による対応は注目です。

H-1Bの審査状況

皆さんの中には2018年度新規H-1Bの申請を今年4月に行い、現在結果を待っている方もいらっしゃることでしょう。今回の新規H-1bについては特急プレミアム申請ができなかったことから、抽選結果を早く知りたくても早くできず、また無事の当選を確認できた方でも最終審査結果が出るまでにはまだしばらく時間がかかる状況があるなど、不安な要素も多くあります。

そのような中、移民局は7月19日付で新規H-1B申請の抽選に当選しなかった申請者への申請書類の返却が完了したとの発表を行いました。今回の申請は4月3日〜7日まで申請の受付がなされ、H-1B年間発給上限数以上の申請が押し寄せたことで抽選となり、移民局は抽選当選者のデータ入力を5月3日に完了したとの発表を行っていました。その後、抽選に漏れた方には随時申請書類が返却されておりますが、それも7月19日付で当発送は終了したことを意味します。

弊社では、既に抽選に当選し、認可を受けた方がいる一方で、まだ申請書のコピーが戻ってきていない方もいらっしゃいます。今回の返却作業の終了を受け、移民局は7月31日までに、正式に抽選に当選したことを示す申請受領書、または抽選位当選しなかったことを示す申請書類の返却が確認できない場合、当選(審査)状況確認のため、移民局に問い合わせが可能となります。

さて、H-1Bの特急プレミアム申請不可の状況についてですが、移民局は2017年4月から先の半年は全てのH-1B申請(新規に見に限らず、延長や転職等の申請も含む)に対してプレミアム申請不可との状況でしたが、こちら年間上限枠対象外のH-1Bケース(高等教育機関やそれに関わる非営利団体、また非営利リサーチ、政府機関などをスポンサーとするケース)など7月24日付で、一部解禁になりました。ただ多くの場合が、上限枠のあるH-1B保持者または新規申請者であることから、引き続き、不憫な状況が続くことでしょう。特に運転免許証の更新が関わる方は、延長申請など、6ヶ月前から申請は可能ですので、早めに申請しておかれることをお勧めします。現在の就労期限までに正当に延長申請が完了していれば、結果待ちでも期限後の引き続きの滞在も可能ですが、DMVは延長認可が確認できるまでは運転免許証の更新を認めない場合もあるかと思います。

最後に、新規のH−1B審査状況についてですが、例年にはない質問状が発行されています。例えば、特定のポジションのLevel-1を使用した給与額(一般に特定のポジションに対して、職務内容や雇用条件等に応じてLevel-1~4まで給与額が区別されています)について、そのH-1Bにおける予定職務内容と労働局の定める給与Levelの条件を比較するなど、Level-1の給与額をオファー額とした根拠等を聞く質問状が発行されています。移民弁護士協会では、その対応に多くの意見が飛び交っている状況で、引き続き議論の中心となると同時に、今後これを意識した戦略的な申請書作りが求められるかもしれません。新政権の影響と言えるか断言はできませんが、移民局審査が厳しくなっていることは否めません。

Lビザ申請審査が厳しくなっている現状

弊社では多くのLビザ申請ケースを取り扱っていますが、最近、その審査が新しい形で厳しくなっており、質問状も増えていることを実感しています。

 

L-1ビザとは

簡単に、L-1とは国際企業間の転勤者のためのビザであり、米国に支店・子会社・親会社がある米国外の企業の社員が、同種の仕事内容で米国において働く場合に適用されます。エグゼクティブ又はマネージャーとして米国で勤務する者はL-1Aビザ、Specialized knowledge(会社特有の専門能力)を必要とされて米国で勤務する者はL-1Bビザとなります。ビザの有効期限は、L-1Aが最大7年、L-1Bが最大5年です。
申請者に求められる資格として、Lビザ申請の時点からさかのぼって過去3年のうち1年間継続して米国のスポンサー会社の米国以外の関連会社にてエグゼクティブ、マネージャー、または専門能力保持者として勤務している事が条件です。

 

L-1ビザ保持者に対する給与支払いの事例

そこで、つい最近の移民局の審査状況から気になった事例をいくつか紹介したいと思います。質問状が増えていること自体は前述の通りですが、更にこれまで追求されなかったような内容の質問も中にはあります。その一つの例が、L-1保持者に対する給与支払いについてです。法律ではL-1保持者に対しては、H-1Bビザに対して求められるような最低賃金額というものはありません。それでも特にL-1の延長申請に関し、申請書の中で特定の給与額を提示していたケースで、もしその金額以上の給与が正当に支払われてない場合は、移民局はその申請を却下する傾向が出てきているというものです。これまで移民局は給与の支払いに関しては深く注視していなかったのですが、今後は注意すべき事項となっています。
実際、L-1ビザで従業員を派遣している多くの企業は問題なく申請上の給与額以上支払っているようですが、一方で、その給与の全額または一部が日本で支払われているケースも多くあるようです。移民法上、厳密には法律違反ではありませんが、アメリカでL-1ビザをもとに就労している限りは、一部分が日本で支払われるにしても、日本の支払い分も含めた全額がW-2に計上されるよう心がけておくべきでしょう。もしそのような対応がされていない場合、移民局は日本で支払われた部分的な給与額を認識しないままケースを却下する可能性があります。

 

L-1ビザ保持者の永住する意思に対する移民局の懸念

その他、L-1はその保持者がアメリカに永住する意思を同時に持っても良い非移民ビザの一つなのですが、移民局はそれに対しても懸念を持っており、申請上、L-1での職務が終了次第、自国へ戻ることが明確に示されているかも審査上、注視しているようです。こちら、法律の解釈上は理解しがたいものですが、移民局の現状から、給与支払いの問題とともに注意すべき事項とも言えるでしょう。

2018年度の新規H-1Bビザ申請が受け付け上限に到達

既にご存知の方も多いかと思いますが、アメリカ移民局 (USCIS)は、 2018年度新規H-1Bビザ申請について、2017年4月7日、年間上限枠数である65,000件に達するH-1Bビザ申請を受けたと発表しました。更に、H-1Bビザにはアメリカの修士号以上をもつ申請者を対象としたいわゆる20,000件のマスター枠(追加枠)があるのですが、こちらも同様に年間上限枠に到達したとのことです。

 

今回、2017年4月3日より受付が開始され、最初の5営業日が正式な申請受付期間として定められていました。この5日間で、アメリカ移民局は、マスター枠を含め199、000件の新規H-1Bビザ申請書を受け付けたとのことです。

 

早速、アメリカ移民局は、4月11日にコンピューターによる無作為の抽選を実施し、通常枠である65,000件とマスター枠である20,000件に対して正式に受け付ける書類を選びました。なお抽選方法ですが、最初は20,000件のマスター枠に対して抽選が行われ、マスター枠対象者でその最初の抽選に漏れた申請者はその次に行われる65,000件(通常枠)の抽選の対象にもなるため、通常ケースの申請者よりは当選確率は高くなります。

 

なお、抽選に漏れた申請書は、アメリカ移民局より随時が手元に戻ってきます。その戻ってくる書類には抽選で選ばれなかった旨記載された手紙が同封されてくるかと思われますので、その時点で、自身の申請が選ばれなかったことが正式に判明します。なお、申請書と一緒に提出した申請費用はそのまま戻ってきます。こちら移民局からの返送には時間がかかりますので、ご自身の申請が抽選に選ばれたかどうかが最終的に分かるまで数カ月先になる人もいるでしょう。ただ、例えば、申請書と一緒に送った申請費用の小切手が実際にアメリカ移民局より現金化されたかなど、ご自身の銀行口座を確認することで、早めに移民局の動きを確認することはできるかもしれません。

 

さて、今回の総申請数ですが、昨年の236,000件に比べると約15%減っています。その背景には様々な事情があるでしょうが、当選確率が上がることは喜ばしいことです。弊社では、4月16日の半ば頃より正式に抽選に当選した方に対する受領書が郵便で届き始めました。今年は特急申請ができなかったことから、郵便のみでの通知となります。受領書は5月の前半でもまだ届き続けております。移民局により受領書の発行が完了すれば、移民局による当通知があると思われますので、それまでにまだ受領書を受け取っていない方は、もうしばらく待つべきでしょう。

 

なお、この抽選は新規の通常H-1Bビザ申請のみで、既にH-1Bビザを持っている方の延長申請、転職の申請、更には、特定の非営利団体をスポンサーとした新規申請などは対象外となりますので、引き続き、申請は可能です。

トランプ大統領による新たな大統領令の発行によるH-1Bビザへの影響。

2017年4月18日、トランプ大統領は「アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う」をテーマに掲げた新たな大統領令に署名しました。米国移民弁護士協会(AILA)は、この発令は、トランプ政権の望むH-1Bビザプログラム改革へ向けての第一歩と見受けられるものの、現法に基づくH-1Bビザプログラムの内容そのものが直ちに変更されるなど、大勢に影響はないものである、との見解を示しました。簡単に言えば、今回の大統領令の本質は、全てのビザプログラムに関連する政策の見直し、‘申請詐欺と悪用’を根絶する為の変更勧告、更にはH-1Bビザがより高度な知識を持った高給取りの申請者に対して発給されるような仕組みにすることを目的とした内容、と位置付けています。

 

今回の発令を受け、AILA会長ウィリアムA.ストック氏は次のように述べました。「この発表はシェイクスピアのマクベスの格言 “Full of Sound and fury, signifying nothing (猛り狂ううめき声と怒りばかりで、論理的に意味をなすようなものではない)”を思い起こさせます。ちなみに、この発令により移民局はH-1Bプログラムの見直しが求められている一方で、トランプ政権が思い描いている多くの変更の実現には立法装置が必要とされ、少なくとも長期的な立法制定プロセスが必要となります。単なる「うめき声と怒り」ではなく、本当に必要なのはトランプ大統領と議会が移民法改革に真摯に向き合って協力し合い、全ての移民またアメリカ国民に対して望ましいものとなるような21世紀における移民制度を作り上げることです」

 

更にストック氏の言葉は続きます。「我々移民制度はシリコンバレーに対してだけでなく、全ての地域そして産業分野にとって重要であるべきです。H-1Bビザ労働者は全米全州、更にその州それぞれの地方、例えばインディアナ州のボイシ市からノースキャロライナのローリー市・アイオワ州のデモイン市・ネブラスカ州のリンカーン市に至るまで、全ての地域の経済産業に大きく貢献しています。また、H-1Bビザ労働者は医療制度や製造業またエネルギー産業にとっても不可欠ものなのです。この大統領令によってトランプ政権が提案する改革は、単なる当てつけや逸話でなく、事実とデータに基づいて行われるべきであり、H-1Bビザプログラムを含む私たちアメリカ移民制度が、世界的競争力のある労働力を更に強化し維持していくべく、米国の企業にとって真に有効な手段となるものとなることを心から望みます」

 

弊社でも今後のH-1Bビザプログラム改革について多くの質問を受けます。ストック氏の言葉にもあるように、この改革が実行に移されるにしても、その間に多くの議論と立法手続きが必要となり、即の施行となることは考えにくい状況でもあります。ただ、一方で、あくまでも現法において、政府によるビザ申請審査が厳しくなる、詐欺申請防止のための監査(現地査察)が増える(実際に移民局、労働局より発表がありました)ことが想定されます。今後の移民法改革の行方には注目です。