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米国移民局、特急審査申請サービスの再開を発表

米国移民局(USCIS)は、非移民労働者のためのI-129申請書 および外国人労働者の移民のためのI-140申請書の特急審査申請サービスを再開することを発表しました。

  • 2020年6月1日より、米国移民局はI-140申請の全ての申請書において、I-907フォームを使用した特急審査申請サービスのリクエストの受け付けを開始しました。
  • 6月8日から、米国移民局は下記の特急審査申請サービスのリクエストを受け入れました。
    • 2020年6月8日より前に提出された新規申請書を除くH-1B申請書で、現在も米国移民局により審査中であるもの(特急審査へのアップグレードによるリクエスト)
    • 2020年6月8日より前に提出され、現在も審査中であり特急審査申請サービスの対象となる非移民労働者のための I-129フォームを含む全ての申請書(H-1B申請書を除く。特急審査へのアップグレードによるリクエスト)
  • 6月15日から、米国移民局は下記の特急審査申請サービスのリクエストを受け入れました。
    • 特急審査申請サービスをリクエストするI-907フォームが一緒に提出されているH-1B申請書(または2020年6月8日又は、その日付以降に提出された申請に基づいたアップグレードによるリクエスト)は、次の理由で新規申請から免除されます:
      • 雇用主は年間上限枠の対象外として適用される会社である。又は、
      • ビザ受益者は、コンラッド/ IGAのウェーバーに基づいて年間上限枠の対象外となる場合です
  • 6月22日から、米国移民局は、以下を含むその他全てのI-129フォームを含む申請書の特急審査申請サービスを再開しました。
    • 特急審査申請サービスのアップグレード申請と、I-907フォームが一緒に提出された申請の両申請に対する全てのH-1B新規申請書、及び
    • 特急審査申請サービスが対象であるその他の全ての非移民労働者のための I-129申請書で I-907フォームが一緒に提出された申請書

*本記事は6月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。
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H-1B、L-1、およびJ-1ビザ申請者の米国入国一時停止措置と移民ビザ申請者の入国一時停止期間の延長に関する大統領布告の発表について

6月22日(月)付で、トランプ大統領はH-1B、L-1、およびJ-1ビザ申請者の入国と移民ビザ申請者の入国一時停止期間の延長に関する大統領布告を公布しました。この大統領布告は米国東部時間の2020年6月24日(水)深夜午前12時から2020年12月31日までの間有効とされます。(必要により延長される可能性あり。)

影響を受けるのは誰ですか?

入国一時停止措置は、以下の条件に該当する方にのみ適用されます。

  • 2020年6月24日時点で、米国外に滞在していて、
  • 2020年6月24日時点で、有効な非移民ビザを保持していない方。または、
  • 2020年6月24日時点で有効な、米国渡航・入国に必要とされるビザ以外の書類を所持していない方。もしくはそのような書類を6月24日より後に発給されている方。

影響を受けないのは誰ですか?

  • 2020年6月23日時点で米国内に滞在していて、ビザ保有者。
  • 2020年6月24日時点で有効なビザを取得している方。
  • Eビザは今回の大統領布告には対象として含まれていません。
  • 永住権所有者(グリーンカード)。
  • 米国籍者の配偶者または子供。
  • 米国の食品流通に不可欠なサービスの一時的提供者。
  • 米国入国を許可することが米国の国益に叶うと判断された外国人(例えば米国の国防・法執行・外交・安全保障にとって重要な外国人、または新型コロナウイルス治療に従事する医療関係者、新型コロナウイルスに対処するための研究従事者,または米国の経済回復促進に必要な外国人など)

2020年4月22日付大統領布告の延長について

今回の布告では、移民ビザ(グリーンカード)申請者の入国を一時停止するという2020年4月22日付の布告について延長するとされています。4月22日付の布告の詳細については、こちらの記事を参照してください。

米国内に滞在しているビザ保持者に対する制限が将来的に公布される可能性はありますか?

はい。今回の布告は、すでに米国への入国を許可された者やすでにビザを取得しているなどのビザ受益者について、EB -2やEB-3カテゴリーでの永住権申請やH-1B非移民ビザ申請により、米国労働者が「不利益」を被らないよう、労働省長官に対して、新しい法規の策定などを検討するよう命じています。ただし、現時点では、いつ・どのような内容の新しい法規が施行されるのか不明です。

よくある質問

下記が、この件に関する、よくある質問とその回答になります。

【一般的な質問】

この布告は実際、何を意味するのでしょうか?

米国外の米国大使館・領事館での新しいH-1B、H-4、L-1A、L-1B、L-2、J-1、J-2ビザの発行を停止しています。米国に既に滞在している人には影響ありません。また、Eビザ、F-1ビザ、O-1ビザにも影響はありません。

【米国内に滞在している外国人について】

現在、H-1B、H-4、L-1A、L-1B、L-2、J-1、J-2のいずれかのビザを持っていて、米国に滞在しています。非移民ビザ査証(ビザスタンプ)はまだ有効です。米国外に出て米国に再入国することはできますか?

はい 。
私は現在、H-1B、H-4、L-1A、L-1B、L-2、J-1、J-2のいずれかの合法的なステータスで米国に滞在しています。引き続き滞在可能ですか?私のI-94はまだ有効です。

はい。米国に滞在できます。 I-94が6か月以内に期限切れになる場合は、可能であれば米国に滞在している間に、米国移民局に滞在延長申請をすることをお勧めします。
私は現在、 H-1B、H-4、L-1A、L-1B、L-2、J-1、またはJ-2ステータスで米国に滞在しています。非移民査証(ビザスタンプ)の有効期限が迫っています。どうすればビザスタンプを更新できますか?

ビザスタンプの更新ではなく、米国内で米国移民局に滞在延長申請を提出して非移民滞在ステータスを延長し、米国に滞在し続けることをお勧めします。米国を離れなければいけない場合、新しいビザスタンプがなければ、米国に再入国は出来ませんのでご注意ください。上記のカテゴリーの対象者は、米国大使館は、以下に説明するいずれかの入国停止措置対象外の条件に該当しない限り、新しいビザスタンプを発行しません。
現在有効なE、O-1、F-1、B-1、B-2、E-3、K-1、K-3、M-1、P、Q、またはRビザを所持しています。この布告は私に影響しますか?

いいえ。

【米国外に滞在している外国人について】

私は米国外にいますが、パスポートに非移民査証(ビザスタンプ)がすでに発行されています。来月アメリカに行くつもりでした。アメリカに行けますか?

はい。この入国停止令は、2020年6月24日より前に発行された有効なビザ査証を持っている人には適用されません。よって、アメリカ入国時点で有効なビザを持っていれば、あなたはアメリカに行くことができます。ただし、従来通り、入国の際にはご自分の状況をきちんと説明出来るよう準備をしてください。
私は現在米国外にいて、今回の布告で入国制限された非移民ビザの面接予約を待っています。面接はキャンセルされますか?

面接はキャンセルされる可能性があります。まだはっきりとはしませんが、面接が大使館からキャンセルされない場合は、入国停止措置の対象外となる条件のいずれかを満たし、それを明確に証明できる場合を除き、自分から面接をキャンセルするべきと考えます。つまり、それら条件を満たさない場合には米国大使館がビザ面接申請を却下する可能性があるからです。日本を含むピザなし渡航 (ESTA) プログラム加盟国籍者の場合、ビザ申請却下を受けると、今後このプログラムが暫く利用できなくなる可能性があるからです。
この布告は、米国国務省と米国移民局に特定の審査基準と詳細なガイダンスを発行するよう命じています。弊社では、詳細が分かり次第、随時追加情報を更新します。
私は米国外にいて、H-1B、H-4、L-1A、L-1B、L-2、J-1、またはJ-2ビザの面接予約をしようとしていました。 Eビザのような別のビザタイプのカテゴリーを申請できますか?

(日本人の場合)あなた自身にEビザの取得資格があり、スポンサー企業が日本にある米国大使館・領事館にEビザ企業として既に登録されている場合、Eビザはこの入国停止令の対象外であるため、Eビザへの切り替えを検討することをお勧めします。
現在、米国外にいて、E、O-1、F-1、B-1、B-2、E-3、K-1、K-3、M-1、P、Q、またはRビザを申請するつもりです。 米国大使館でこれらのビザを申請できますか?

はい。ただ、この布告はあなたの申請するビザには影響ありませんが、ビザ取得には当然ながら米国大使館でビザ面接を受ける必要があります。しかし現在、緊急時を除いて、世界中の米国大使館はビザ面接を行っていません。ビザ面接業務が再開されれば、申請することができるようになります。

【H-1B】

移民局に対して審査中の新規H-1B申請がある場合、この布告には影響がありますか?

既に別のステータス(F-1など)で米国に滞在していて、ステータスの変更を申請中である場合、2020年10月1日またはそれ以降で申請が認可された日のどちらかのタイミングで、滞在ステータスがH-1Bに自動的に変更されることになります 。この場合、今回の布告は影響しません。ただし、入国停止措置の対象外となる特別な理由がない限り 、大統領令が有効な間は、海外への渡航及び当H-1Bビザでの再入国はできません。

現在米国外でH-1B申請の認可を待っている場合は、この入国停止令の対象となります。米国大使館・領事館が、あなたが入国停止措置の対象外であることを認めない限り、ビザ査証は発行されず、米国に入国することはできません。このため、 H-1B申請者の大多数は、少なくとも2021年までは米国に入国できないことが予想されます。この点に関しても、 追加情報が発行され次第、随時更新します。

【L-1】

米国大使館でのL-1ブランケットビザの申請も2020年末まで停止されますか?

はい。今回の布告は、L-1ブランケットビザと通常のLビザに区別をつけていないようです。したがって、全てのLビザについて入国停止措置の対象となります。もしあなたが入国停止令の例外となる条件を満たすと思われる場合は、その説明をして大使館に緊急面接を要請することも出来ます。
私は米国に滞在していて、L-1ブランケットステータスを保持しています。ビザ査証に記載のPEDの有効期限が近づいているため、帰国し、 ブランケットステータスを更新する予定でした。L-1ビザスタンプはまだ有効です。どうしたらビザステータスを延長できますか?

有効なビザのスタンプがあるので、渡米は可能ですが、ブランケットベースでしたら、有効なI-129Sも必要です。ただ、現時点では、米国大使館が面接を行い、延長されたPED付きの新しいI-129Sだけでも発行するかどうかについては明確にされていません。あなたが米国にいる場合の最善の解決策は、米国移民局に延長申請をすることです。

【入国停止措置の対象外】

布告にリストされているどの入国停止措置の対象外(つまり、入国が「国益」または「継続的な経済回復」を促進するものである場合)が私に適用されますか?

次の場合が対象外に該当します。

  • 米国の防衛・法執行・外交・安全保障にとって重要である場合
  • 新型コロナウイルス感染者の治療に従事する場合
  • 新型コロナウイルスに対処するための医学研究を米国内施設で行う場合
  • 米国の緊急的かつ継続的な経済回復を促進するために必要な場合
  • 弊社のお客様の中で、この対象外となる可能性が最も高いのは、最後の「 米国の緊急的かつ継続的な経済回復を促進するために必要な場合」でしょう。

対象外となるためにはどうすればよいですか?

(日本人の場合)現時点では、米国大使館は通常業務は一時停止しています。日本国からの郵送による申請の条件を満たさない場合で、ビザ面接を受けたい場合は、大使館に連絡し、緊急面接を要請する必要があります。緊急面接を受けるための基準は、前述の対象外リストのうち、最後の条件に類似しています。日本では緊急面接は非常に緩い基準で認められているようですが、今回の布告対象外の認定については、厳しい基準となると考えます。

大使館領事は、外国人が対象外基準を満たしているかどうかを決定する裁量権を有します。現時点では、今回の入国停止令対象となっているビザの緊急面接予約を予定している方は、米国大使館に対し、緊急面接と入国停止措置対象外審査の両方を要請する必要があるでしょう。

緊急面接要請と入国停止措置対象外審査要請が却下された場合でも、その要請それ自体はビザ面接ではないため、ビザの却下とは見なされません。一方で、面接を受けて却下された場合はビザの却下とみなされます。したがって、以後ESTAの使用が一定期間禁止される可能性があります。

現状、大使館での入国停止措置対象外審査の判断基準に関する情報が不足しているため、現在の弊社の見解は米国大使館からの指示に基づいたものではありません。この点に関しても、 追加情報が発表され次第、随時更新します。

今回の入国停止対象である非移民ビザの緊急面接予約があります。私が米国に入国できなければ、勤務先の会社が何百万ドルもの損失を出すことになります。これは、同時に私の米国入国が「継続的な経済回復」のためでもある、と主張することは出来ますか? 緊急面接予約はどうなりますか?

米国領事は認可するかしないかの裁量権を認められていて、ケースバイケースで審査を行います。前述のように、今回の布告では、米国国務省と米国移民局が、ビザ審査のための判断基準を発行するよう命じています。個々のケースの詳細については、弊社にお問い合わせください。

米国移民局による、2020年度第2四半期の高い質問状の発行について

米国移民局(USCIS)は、雇用者がスポンサーとなる非移民ビザのカテゴリーに関する2020会計年度の第2四半期の統計データを発表しました。そのデータ結果によると、全体的な質問状(RFE)と却下率の発行数の傾向が、雇用ベースのビザ資格を厳格にする目的で施行されたトランプ政権の大統領命令と一致していることが明らかになっています。

【2020年度第2四半期のH-1Bビザ申請に関する統計結果】

2020年度のH-1Bビザ申請における第2四半期の認可率は87.1%で、2019年度の第2四半期と比較すると、約 4%上昇しました。しかし、2015年度の全体的なH-1Bビザ認可率の95.7%と比較するとかなり低いです。

2020年度のH-1Bビザ申請における第2四半期の質問状の発行率は35.8%で、2015年度の22.3%と比較すると、非常に高くなっています。尚、質問状返答後の認可の確率は2020年度第2四半期に68.2%に増率しましたが、これはまだ2015年度の83.2%の認可率をはるかに下回っています。

米国移民局によるH-1Bビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 87.1% 35.8% 68.2%
2019年度(第2四半期) 83.7% 35.3% 58.8%
2018年度(第2四半期) 79% 48.2% 59.5%
2019 84.8% 40.2% 65.4%
2018 84.5% 38% 62.4%
2017 92.6% 21.4% 73.6%
2016 93.9% 20.8% 78.9%
2015 95.7% 22.3% 83.2%

【2020年度第2四半期のL-1ビザ申請に関する統計結果】

2020年度第2四半期のL-1ビザ認可率は74.3%で、2019年度の同時期から増加しています。しかし、これはまだ2015年度の83.7%の認可率をはるかに下回っています。

2020年度のL-1 ビザ申請の質問状発行率は53.6%で、2015年度の34.3%よりも大幅に高くなっています。尚、質問状返答後の認可の確率は55.3%に増加しました。

米国移民局によるL-1ビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 74.3% 53.6% 55.3%
2019年度(第2四半期) 71.8% 53.2% 51.1%
2018年度(第2四半期) 79% 42.6% 52.7%
2019 71.9% 54.3% 50.8%
2018 77.8% 45.6% 52.9%
2017 80.8% 36.2% 49.4%
2016 85% 32.1% 55.6%
2015 83.7% 34.3% 53.5%

【2020年度第2四半期のTNビザ申請に関する統計結果】
2020年度第2四半期のTN認可率は88.7%で、2015年度の95.1%よりも大幅に下回っています。

2020年度第2四半期のTNの質問状発行率は25%でした。質問状返答後の認可の確率は58%で、2015年度と比較しても15%近く低くなっています。

米国移民局によるTNビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 88.7% 25% 58%
2019年度(第2四半期) 88.4% 24.5% 54.8%
2018年度(第2四半期) 85.2% 30.8% 53%
2019 89.8% 24.5% 60.1%
2018 88.2% 28.2% 59.9%
2017 91.6% 22% 64.7%
2016 90.7% 23.6% 64.2%
2015 95.1% 17.3% 74.8%

【2020年度第2四半期のO-1ビザ申請に関する統計結果】
2020年度第2四半期のO-1認可率は89%で、2017年度の最近の94.1%から大幅に低下しています。

2020年度第2四半期のO-1 質問状発行率は30.1%に増加しました。質問状返答後の認可の確率は64.8%に減少しました。

米国移民局によるO-1/O-2ビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 89% 30.1% 64.8%
2019年度(第2四半期) 90.5% 27.7% 67%
2018年度(第2四半期) 93.2% 21.8% 69.3%
2019 90.8% 26.4% 66.1%
2018 92.8% 22.9% 69.3%
2017 94.1% 22% 74%
2016 92.9% 22.6% 70%
2015 92% 24.9% 69%

この統計結果から分かること

これらの傾向から分かる重要な点は、トランプ政権下による大統領命令 “アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う(通称:Buy American and Hire American)” が実現に向かっていることです。尚、H-1B、L-1、およびTNビザ申請の結果には小さな改善がありましたが、質問状発行率は増加したか、高いレベルにとどまっていました。

この大統領命令の目的は、国土安全保障省と労働省に、H-1BとL-1ビザを含むビザ保持者の非移民労働者が米国の労働者に与える影響を見直すことです。尚、この統計から推測出来ることは、将来、より高い確率の質問状発行や却下などが見込まれ、 非移民の雇用カテゴリーに対して制限がかかることでしょう。尚、弊社では、引き続き、皆様にこの問題に関する最新情報を随時報告できればと考えております。

新型コロナウィルス流行におけるビザ取得の状況

2020年5月

世界的に大流行している新型コロナウィルスの感染者数や死亡者数の多さは大変深刻な状況で、経済界に対しても様々な形で悪影響が及んでおり、アメリカ移民業界そのものにも非常に大きな影響が出ています。渡航制限を始め、アメリカ大使館、領事館のビザ業務は一時的にサービスを停止し、またアメリカ移民局も面接や指紋採取など対面によるサービスは停止状態です。先行きも不透明で、例えば、アメリカ移民局は現状6月4日以降に対面サービスを再開の予定にはしていますが、延長される可能性もあります。ビザ保持者を抱える企業またビザの新規取得やステイタス延長を必要とするビザ保持者の多くが途方にくれています。その一方で、移民問題の厳格化を一つの公約としているトランプ政権は、一部をのぞき、劇的な法的緩和策をとっていない、という事実も存在しているようです。

世界的に大流行している新型コロナウイルスにより、米国の移民政策に影響を与える変更が様々な形で生じています。今回はそれら影響について、皆さんに直接関係する主な事項をいくつか取り上げてみたいと思います。

  1. 4月22日、トランプ大統領は先60日間アメリカ国外でのアメリカ永住権の発行を停止する大統領令に署名しました。現在、在外アメリカ大使館での永住権申請審査サービスは停止しているため、影響は感じられないと判断されるかもしれませんが、これはあくまでも一つの入り口に過ぎず、今後は対象とするビザ種類の拡大、また期間の延長など考えられます。とりわけ、失業者が多く出ているアメリカにおいて、トランプ政権はアメリカ人の雇用を最優先することから、この新型コロナウィルス問題とともに更なるビザ取得の厳格化が予想されます。一方で、H-1B, L-1,Eビザなどの非移民ビザや既に永住権を持っている方々に対しては現状影響はない、とのことです。尚、この60日間の永住権の発行停止について、アメリカ市民の配偶者や子供、投資を通しての永住権、医療従事者等々に対する永住権発行は引き続き行うこと、となっています。
  2. 3月20日よりアメリカ移民局での特急審査が一時停止状態となっております。これは、無期限の停止で、いつ再開するか不透明な状況です。全てのI-129(H,L-1, E, O-1など)およびI-140申請に対するもので、このことにより申請から最終結果が出るまでのスケジュール感がつかめないことになります。ビザの種類によっては数ヶ月も待ち時間が生じており、更なる長期化も想定されます。
  3. 3月18日より米国移民局の対面による一切のサービスが停止状態となり、サービスの再開は現時点で6月4日以降となっていますが、更なる延長も考えられるでしょう。3月18日以降スケジュールされていたアポイントメントは全てキャンセルされ、今後、移民局は再開の目処がつき次第、リスケジュールされた通知書を送る予定にしています。ただ、キャンセルされたケースの数やその後に追加でスケジュールされるべきケース、またいわゆるソーシャルディスタンシングによる1日の処理能力の低下等を考慮すると、リスケジュールされるにしても、今後、相当の遅れが出ることも予想されます。またオフィスそのものも閉鎖となっており、それには米国移民局の各フィールドオフィス、asylumオフィス、申請サポートセンター(Application Support Centers)や、米国市民権申請に伴う宣誓式などが含まれます。ちなみにアメリカ移民局は、対面ではない、通常の申請書は受付け、審査は行っております。
  4. 在外アメリカ大使館、領事館における米国ビザ業務が一時停止しています。従って、4月や5月など既に面接予約を取っていた方は自動的に面接がキャンセルされることになりました。これは政府が認める緊急のケースを除き、全ての移民、非移民ビザが対象となっています。一方で、該当者のみですが、郵送でのビザ更新は可能で、現在6月以降の面接予約は受け付けている状態です。ただ、こちら早々に枠が埋まっており、今後さらに枠を増やすか、逆に、場合によっては、それら予約も自動キャンセルとなるか、先行き不透明です。尚、このようなキャセルが続く状態でもあることから、これまで3回しかできなかった面接日の変更が6回まで可能となったようです。
  5. 既にビザを取得してアメリカに滞在している人が本来であればアメリカ国外へ出国してアメリカに再入国する、また再度ビザを取得してアメリカに再入国することを予定していた方々が、アメリカ出国を見送る必要性が出たことで、多くの方が、アメリカ移民局への滞在延長申請を余儀なくされています。Eビザ査証またLブランケットに基づくLビザ査証の取得をされた方もアメリカ国内で滞在延長申請は可能です。尚、アメリカ国境管理局に出向いても単純にI-94を延長してもらえることはなく、滞在や就労延長のためには移民局への申請がこれまでのルールと基本的には変わることなく申請を行う必要があります(一部のESTA者は条件を満たせば最大30日の滞在延長が認められます)。
  6. 既にアメリカで雇用を受けているビザ保持者に対し、例えば、H-1Bビザなど、特定の就労場所において、特定のポジションそして業務内容にて、また特定の賃金を受け取ることを大前提として雇用を受けているビザの種類もあります。現在、これに対して基本的には法的緩和策は取られておらず、例えば、在宅勤務への切り替えや業務内容の変更、フルタイムからパートタイムへの雇用形態の変更など、その雇用条件変更の程度によっては、引き続き、移民局への修正申請が求められます。
  7. 一方で、アメリカ移民局は署名入り申請書類の提出に関する柔軟な対応策を発表しました。3月21日付又はそれ以降に提出されたI-129フォーム(非移民ビザ申請書)を含む全ての申請フォームにおいて、原本の署名が複製された書類でも受け付けることを発表しました。尚、 直筆の署名入りの原本が必要なフォームにおいては、米国移民局は電子的に複製されたオリジナルの署名を受け付けるということです。尚、電子的に複製されたオリジナルの署名入りの書類を提出する個人または団体は、直筆署名を含む原本の書類のコピーも保持する必要があるということです。また、3月1日〜5月1日に移民局より質問状を受けたケースは返答猶予期間に対して救済措置が取られました。

以上、弊社でも多くの方から問い合わせを受けます。弊社でもできる限りお客様への明確なアドバイスを心がけてはおりますが、このような状況下、“弊社でも分かりかねます”というアドバイスが選択肢の一つとなっています。1日も早く、状況が終息し、世界の人々がこのウィルスの恐怖から逃れ、経済活動も活性を取り戻し、正常な移民受け入れ体制に戻ることを心から切望しています。

SW Lawグループ、マネジャー
吉窪 智洋

米国移民局、2021年度の新規H-1B申請に対する事前電子登録者数がH−1B の年間上限発給数に達したと発表

米国移民局は2021年度の新規H-1B申請に対し、事前に受け付けていた電子登録者の数がH-1Bの年間上限発給数に達したと発表しました。それに伴い、米国移民局は 、適切に登録をした登録者の中から、コンピューターを使用した無作為による抽選を実施し、抽選当選者にその旨を3月31日までに通知しました。尚、これより、当選者のスポンサー会社は、その当選者に対して完全版の新規H-1B申請書を米国移民局に提出することが可能となります。

既に多くの方が確認済みかと思いますが、登録者のオンラインアカウントには、各登録者に対して下記いずれかのステータスが表示されているはずですので確認してください。

  • 「提出済み」:最初の抽選選択プロセスが完了した後も、ステータスに「提出済み」と表示され続ける場合があります。 「提出済み」の登録者は、該当年度末までは再抽選などにより、当選の可能性があるかもしれません。尚、該当度末までに、全ての登録ステータスが「当選」、「未選択」、または「却下」に変更される予定であるということです。
  • 「当選」:2021年度の新規H-1B申請書の提出が可能となることを意味します。
  • 「却下」:同一人物が複数の登録を送信した場合や、支払いが不適切であった場合。尚、重複登録として却下された場合、その会計年度に対して提出された全ての申請は無効となります。
  • 米国移民局、コロナウイルスの影響により、2021年度の新規H-1B申請書の審査に遅延が生じると発表

    米国移民局は、COVID-19(コロナウイルス)が原因で、会計年度2021年の新規 H-1B申請に関するデータ入力および受領通知の発行に遅れが生じる可能性があると発表しました。尚、米国移民局は、少なくとも2020年5月1日まで、これらのケースの審査処理等を開始しないと発表しました。

    一旦米国移民局がデータ入力を開始すると、米国移民局の各サービスセンターにて受領した順序でケースの取り込み処理をするということです。尚、米国移民局は、この申請書の受領とデータ入力の遅延が、2021年度の新規H-1B申請の裁決の遅延にもつながると指摘しています。尚、米国移民局は、一部の新規H-1B申請書はタイムセンシティブであり、出来るだけ迅速に処理することを試みると述べていますが、これらのケースの裁定がいつ完了するかはまだはっきりしていません。

    尚、米国移民局は、2020年6月30日に終了する予定の90日間の新規H-1B申請書提出期間の延長はないと発表しました。

    *本記事は4月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

米国移民局、会計年度2021年の新規H-1B の申請書類の提出を4月1日から受領すると発表

米国移民局(The United States Citizenship and Immigration Services: 通称USCIS)は、新規“H-1B申請の登録抽選に当選した登録者に対し、 会計年度2021年の新規H-1B の申請書類の提出を4月1日から受付開始することを発表しました。

米国移民局は、最初の登録期間中において、およそ275,000件の登録が確認されたと発表しています。これは、昨年の合計件数、201,011件の申請書の受理数と比較すると、37%増加したということです。全体の登録者数の約46%(126,500件)は、マスター(修士号)保持者であり、残りの54%(148,500件)は通常(学士号)保持者の登録者であったということです。さらに、40,000件を超える登録アカウントが作成され、提出された登録者数の大部分はインド国籍(67.7%)および中国国籍(13.2%)であったということです。尚、抽選の当選確率は簡単に計算すると、マスター(修士号)枠で約16%、通常(学士号) 枠で25%であったということです。

尚、新規H-1B 申請の抽選に当選した場合、 当選者は、 登録当選通知に示されている決まった期間内に適切に申請書を提出する必要があります。新規H-1B申請書の提出期間は、少なくとも90日間です。

尚、COVID-19(コロナウイルス)が原因で、米国内の多くの企業が閉鎖を余儀なくされています。したがって、新規H-1B申請抽選に当選した申請希望者の申請書を作成する全ての弁護士およびスポンサー企業が最終的に申請書を90日間で提出出来るかどうかは不明なところではあります。もし当選者が規定の90日以内に米国移民局にH-1Bの最終申請書を提出出来ない場合、その数に応じ、最初の抽選に当選しなかった登録者のために追加枠が提供される可能性があるかもしれません。というのも、米国移民局は、以前に、十分な数の申請書が提出されなかった場合、年間上限発給数を確保するために、最初の抽選に当選しなかった登録者の中からさらに抽選をすると述べていました。尚、現時点で、最初の抽選に当選できなかった全ての登録者のmyuscis ウェブサイト上のステイタスは、 “Submitted”(「送信済み」)との表記のままとなっています。

尚、弊社では、引き続き、皆様に新規H-1B 申請の方針についての最新情報を随時報告できればと考えております。ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

*本記事は4月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

コロナウイルス(COVID-19)による移民に関する変化

世界的に流行しているコロナウイルス(COVID-19)により、米国の移民政策に影響を与える変更が下記の通り生じました。

  1. 特急審査申請の一時停止。米国移民局は、2020年3月20日に、全てのI-129(H,L-1, E, O-1など)およびI-140申請に対する特急審査申請が、今後、新たな通知が発表されるまで、直ちに停止されることを発表しました。
  2. 米国移民局の閉鎖。少なくとも2020年の4月1日まで公共サービスを実施する全ての米国移民局のオフィスが閉鎖されるということです。尚、これには、米国移民局の各フィールドオフィス、asylumオフィス、申請サポートセンター(Application Support Centers)や、米国市民権申請に伴う宣誓式などが含まれます。
  3. 署名入り書類の提出に関する柔軟な対応について。米国移民局は、2020年の3月21日付又はそれ以降に提出されたI-129フォーム(非移民ビザ申請書)を含む全ての申請フォームにおいて、原本の署名が複製された書類も受け付けることを発表しました。尚、 直筆の署名入りの原本が必要なフォームにおいては、米国移民局は電子的に複製されたオリジナルの署名を受け付けるということです。尚、電子的に複製されたオリジナルの署名入りの書類を提出する個人または団体は、直筆署名を含む原本の書類のコピーも保持する必要があるということです。
  4. 領事館の停職。多くの領事館が非緊急ビザのサービスを一時停止しています。
  5. 渡航制限。過去14日以内にオーストリア、ベルギー、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、又はアイルランドに渡航した者は、 米国に渡航することが制限されています。この渡航制限は、中国本土とイランからの既存の渡航禁止規則に加えられています。
  1. 以下に該当する場合は渡航禁止規則の対象外となります。
    1. 米国市民および永住権保持者
    2. 米国市民および永住権保持者の配偶者
    3. 米国市民および永住権保持者の親または法的保護者 (その米国市民および永住権保持者である子供が未婚で21歳未満である場合 )
    4. 米国市民および合法永住権保持者の兄弟姉妹(その米国市民および永住権保持者である兄弟姉妹が未婚で21歳未満である場合)
    5. 米国市民および合法永住権保持者の法的保護下にある子供
    6. その他の特定の外国政府および保健当局者

  2. 2020年4月11日に、当局はコロナウイルスの渡航禁止令に関して再評価する予定であるということです。
  3. 有効なESTA保持者ではあるが、渡航禁止規則の対象者であり、その禁止令に反して米国への渡航を試みる渡航者は 、ESTAが失効されるとい
    うことですのでご注意ください。

連邦地方裁判所判事は、学生と交換留学生の違法滞在に関する規則において恒久的な差し止め命令を発行する

2020年2月6日、連邦地方裁判所判事は、米国移民局 (USCIS) が実施を試みている新政策のF、J、Mビザの非移民の留学生とその扶養家族において、彼らが、非移民ステイタスの滞在許可期限に違反して滞在を続けた場合、その違反時点から自動的に違法滞在であるとみなす方針の施行を禁止する、恒久的な差し止め命令を出しました。

この新しい政策に先立ち、I-94を保有するF、J、Mビザの外国人留学生は、滞在許可期間のステイタスがD / Sとなっている場合は、米国移民局や判事から特別な違反行為等を申告されていない限り、違法滞在扱いされませんでした。しかし、この新しい政策では、F、J、またはMビザの留学生が、自分のステイタスにおける滞在許可期限を誤って違反してしまった場合、気付かないうちに、米国での違法滞在を引き起こしてしまうような、遡及的な効果を持っていたようです。この政策の与える影響は大きかったであろうということです。もし外国人が米国に180日以上または1年又はそれ以上不法滞在している場合、3年または10年以上の間、米国への再入国が出来なくなる可能性があり、不許可または別の救済の放棄を認められていない限り、非移民ビザや移民ビザ申請の資格がなくなる可能性があったであろうということです。

昨年、いくつかの大学と数名がこの米国移民局による新しい政策は、法定の違法滞在規定に反し、恣意的で一時的な上、行政手続法 (APA) と米国憲法のデュープロセス条項に違反していると主張する法的な挑戦を提起しました。尚、裁判所が訴訟を審理している間、ギルフォード・カレッジ対ウルフと呼ばれる、一時的に全国的な規模での差し止め命令を出しました。尚、2020年2月6日、連邦地方裁判所のロレッタ・C・ビッグス判事は原告に味方し、法律に問題があるとしてこの政策を無効にしたというわけです。

尚、さらなる通知が発表されるまで、F、J、又はMビザの留学生は米国移民局または移民裁判官からの決定的かつ肯定的な違法存在が決定されない限りは、違法滞在と見なされないという以前の政策に基づくことができるということです。しかし、政府はこの決定を控訴すると予想されています。

尚、米国移民税関執行局 (ICE) は今月、特定のF-1ビザと他の非移民者の滞在期間をD/Sから指定の終了日に変更する規制を提案する予定であるということです

米国移民局、新規H-1Bビザ申請登録制度に関する詳細を発表する

米国移民局 (The United States Citizenship and Immigration Services: 通称USCIS) は、会計年度2021年の新規H-1Bビザ申請登録プロセスに関する詳細を発表しました。H-1Bビザ申請書の提出を希望する雇用主はH-1Bビザ抽選に応募するためには最初に各H-1Bビザ労働者の事前登録が必要になるということです。

仮に2021年の事前登録希望者がH—1Bビザの年間発給上限を超えた場合、米国移民局による新規H-1Bビザ抽選の当選者は、正式なH-1Bビザ申請書を提出するために少なくとも当選から90日の申請猶予期間が設けられるということです。尚、新規H-1Bビザ申請登録には、各登録ごとに10ドルの返金不可の申請登録料の支払いが必要になるということです。尚、まとまった申請数の登録と支払いがオンラインポータル上で受け入れられるということです。

米国移民局は、雇用主とその代表者がいつから会計年度2021年の新規シーズン用のオンライン登録アカウントの設定を開始出来るかについて自身の移民局のウェブサイト上に発表するということです。おそらく、今後数週間の間に、米国移民局は登録アカウントの設定に関するさらなる指示を発表し、プロセスに関する公衆の周知活動を実施する予定であるということです。

尚、米国移民局は、最初の新規H-1Bビザ申請の登録期間が2020年3月1日から2020年3月20日まで実施される予定であることを確定しました。実際の登録終了日については米国移民局のウェブサイト上に発表される予定であるということです。尚、米国移民局は、オンライン登録においてシステム上の技術上の不具合などで起こりうる問題がある場合、または申請数が年間上限数に満たされなかった場合には、申請登録期間を延長するかもしれないということです。

尚、年間上限の85, 000に対する抽選が終了した後は、米国移民局は遅くても2020年3月31日までに、抽選によって選択されたビザ受益者のスポンサー会社に電子版で当選結果を通知する予定であるということです。尚、米国移民局はその後数週間のうちに正式な申請書提出期間に関する正確な日程を発表する予定で、正式申請書の提出期間は少なくとも90日間は設けられる予定であるということです。

弊社では、引き続き、皆様に最新情報を随時報告できればと考えております。

トランプ政権発足以降のビザ取得の状況

2020年1月

トランプ政権発足以降、“Buy American and Hire American” (通称 “BAHA”)をテーマに掲げた大統領令(2017年4月)が様々な形で現実化してきています。直訳すれば「アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う」となるこの言葉は、アメリカで働きたい、またアメリカでビジネスを拡大したい、という外国人や外国企業にとっては、その実現に大きな壁として立ちはだかっているようにも見え、我々が取り扱うアメリカ移民法にも直結している大きな問題となっています。

この大統領令の主旨は、アメリカの従業員の賃金と雇用率を高め、アメリカの移民法を厳格に実施し管理することにより、経済的利益を保護するというものであり、現実的にビザ取得が非常に難しくなってきている、ということになります。審査期間は全般的に長期化し、これまでにはないような質問状の発行、またアメリカ国内での永住権申請においても面接プロセスが追加される等、様々な形として現れてきています。実際に、ビザ申請却下率も高くなってきています。

では、皆さんの多くが気にかけているビザの種類として、H-1BやL-1についてアメリカ移民局による最近のデータを見てみましょう。

まずH-1Bの認可率について2015年度の認可率が95.7%であったものが年々減り、2019年度(第一四半期)では75.4%まで落ち込みました。また質問状も発行割合が2015年度の22.3%から60%まで引き上がっているようです。ちなみに質問状が発行された後の認可割合については、2015年度の83.2%から61.5%まで下がっています。これら変動はとりわけ2018年度以降、顕著となっています。特にビザをスポンサーしている会社のサイズがその認可率(却下率)に影響を及ぼしているということではありませんが、IT関連の企業では却下率や質問状の発行割合が上がっているようです。

次にL-1ですが、2015年度の認可率は83.7%であったものがH-1B同様に年々減り、2019年度(第一四半期)では74.4%に落ち込みました。質問状の発行割合も2015年度の34.3.%から51.8%まで引き上がっているようです。質問状が発行された後の認可割合については、大きな変化はなく2015年度の53.5%から52.7% へと、横這いの状況です。L-1における変動の中でも質問状の発行割合が2018年度以降、顕著に増加しているようです。

これらデータでお分かりの通り、移民局による審査が厳格化しています。質問状の内容も複雑化し、これまでには見かけなかったような詳細な事項まで追加で質問を受けることもあり、その傾向に合わせてその後の書類作りを行ってもまた更に別の理由で質問状が出るなど、時間を追うごとに質問状の難易度も上がっています。故に最初に提出する移民局への申請書も多くの説明や証拠資料を提出することになるなど、その申請準備には多大な労力と時間を要することとなり、ケースの却下率が上がっている現状も考えると、申請者となる企業に至っては、アメリカにおける従業員の雇用計画が想定通りにスムーズに進まないという問題も抱えているようです。

尚、今回紹介したデーターでは新規申請と延長申請での区別ではお伝えしてはおりませんが、移民局は全てのケースを詳細に審査することを発表しており、それは延長申請ケースなど既に最初のビザ取得の際に認可を受けているケースでも新規申請同様に全てを見直しするという厳しい審査がなされることになっています。実際に、延長申請でも過去の履歴を深く追及されるなど、延長申請に対してもこれまで以上に質問状が出ています。また申請却下もこれまでは質問状の発行を一旦挟むことが今までの傾向でしたが、現在では、それも無くいきなりの却下通知が届くケースも多いようです。

以上、上記は主にアメリカ移民局の最近の傾向ですが、アメリカ大使館でのビザ申請も厳しくなってきているようです。

最後に簡単に今年の新規H-1B申請についてご紹介します。来年度(2021年度)の新規H-1B申請が今年の春から動き始めます。今年から正式なH-1B申請資格を得るための事前登録システムが導入されることになり、登録期間は2020年3月1日から2020年3月20日までの予定です。登録者がH-1Bの年間上限を超える場合は、事前登録者の中で抽選が行われ、当選結果は遅くても2020年3月31日までに当選した登録者に通知される予定となっています。当選者は2020年4月1日頃から正式な申請が開始できる見込みで、正式な申請は当選から90日の申請猶予期間が設けられる予定となっており、正式な申請は米国移民局が受領した先着順に審査されるようです。尚、現時点では特急審査申請が利用可能かどうかは未発表です。

外国人から見れば、ビザ取得上、あまり好ましい現況とは言えません。一方的な見方かもしれませんが、これがアメリカ経済に真に良い影響を与えるかは疑問かもしれません。今後の政府の動きには益々注目です。

SW Lawグループ、マネジャー
吉窪 智洋