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米国移民局による新方針:質問状発行無しの申請審査について

2018年7月13日、USCIS(米国移民局)は新しい方針を発表しました。この新指針によると、2018年9月11日より、米国移民局の審査官が適切な場合において、最初の申請後に移民局が発行する追加情報や追加資料を要求する質問状 (通称 REF:Request for Evidence)や却下予定通知書(通称 NOID:Notice of Intent to Deny)を発行せずに申請書を却下出来る権限を持つようになります。

この新指針は2013年6月3日に発行された「質問状と却下予定通知の発行命令」(”Request for Evidence and Notices if Intent to Deny”)と矛盾します。というのも、この指針は米国移民局が申請者が追加資料を提出してもその申請が許可されることは”不可能”である場合を除き、追加情報や追加資料を要求する却下予定通知又は質問状を発行すべきであるというもので、この”不可能”という定義により、審査官は質問状や却下予定通知書の発行無しに申請を却下出来る権限を制限されていました。

質問状とは

質問状とは米国移民局が申請者に対して発行する要請書で、提出されている書類の内容では申請を許可するには不十分ではあるものの、許可が下りる見込みがあるケースにおいて、申請者に追加書類・証拠の提出を要求します。

却下予定通知書とは

却下予定通知書とは米国移民局が申請者に対して発行する書類で、申請が却下されることを事前通達するためのものです。ただ、それを覆すだけの追加書類や情報の提出により許可される可能性も残されています。質問状と却下予定通知書の違いは、質問状は申請が許可されるか見通しが立たない場合に発行されるのに対して、却下予定通知書は却下される可能性がある場合に発行されます。なお、質問状には追加で必要とする情報資料が通知書に記載されている一方、却下予定通知書にはケースを却下理由をリスト化するなどして記載されています。

いつ新指針が実施されるのか

2018年9月11日より実施予定。

新指針の対象範囲

新指針の対象範囲は、新指針が実施される2018年9月11日以降に受理される全ての移民局申請が対象となりますが、若年期に入国した不法移民の若者に対して強制退去処分を猶予する米国の移民政策(通称DACA: Deferred Action for Childhood Arrivals) に関連する申請は対象外となります。なお、今回の新指針により、カリフォルニアとニューヨークの司法機関によって発行された差し止め命令には影響がありますがDACA審査に関連する質問状と却下予定通知書の方針や施行には影響しないようです。

質問状と却下予定通知書の発行が無くなることで何が却下されるようになるのか?

以前同様、米国移民局は、法的根拠が無いなど申請が許可されることは”不可能”である場合において、引き続き、質問状や却下予定通知書の発行無しに法定却下の通知を発行する予定です。法的根拠のない申請例は無数に考えられますが、分かりやすい例として、例えば家族を通した永住権申請やハードシップ申請(家族が離れて暮らすことが困難であることを理由に本来は認可できないような履歴(犯罪歴など)を免除要求する申請)など、夫婦や親戚間に対して証拠を示すのですが、そもそもその親戚関係を証明できない、また親戚関係にあってもその親戚関係は申請カテゴリーに存在しない親戚関係であるなどです。

2018年9月11日より施行開始となる新指針により、米国移民局は全権力を行使して、証拠書類の提出が不十分である申請に対しても質問状又は却下予定通知書を発行することなく却下状を発行出来るようになります。例として以下の申請が対象となります。

  • 免除申請(本来はビザの認可の妨げとなるような履歴(犯罪歴など)を免除要求する申請)に対し、十分とは言えない証拠書類しか提出されていない権利放棄の申請
  • 申請時に、規定上、提出すべき書類として求められている法定書類や証拠などの必要書類が提出されていない場合 ( 例: 家族ベースの永住権申請(アメリカ国内での永住権保持者へのステイタス変更申請)で、 ビザスポンサーの財務能力を証明(収入や財産にて証明)する供述書(I-864フォーム)の提出が必要であるにも関わらず、提出されていない場合など)

この新指針で重要なこと

以前の方針では、ケースによっては、米国移民局審査官は最初の質問状への回答を受け、引き続き不足がある状況においては追加で2回目の質問状を発行することもありましたが、この新指針により、1つの質問状にまとめて全ての追加書類および情報を要請することが勧められています。質問状を受けた申請者は要請された全ての書類や情報を返答書類としてまとめて一度に提出しなければなりません。もし一部の書類のみ返答提出された場合は、移民局の申請審査の判断に影響を及ぼし、追加要請した必要書類や情報が提出されなかったことを理由に申請を却下する可能性があるでしょう。

米国移民局のエル・フランシス・シスナ指揮官はこの方針の変更により、軽薄で審査の対象に値しないケースの数を減量し、移民局の業務の効率性を高め、移民法に基づき公正な審査をすることで業務の改善に繋がるであろうと主張しています。

今回の新指針に関して質問がある場合はお気軽に弊社までご連絡下さい。今後も新情報を随時発信していきます。

米国移民局の新指針によるHとLビザ保持者への厳しい影響

米国移民局による新指針、移民裁判所への出頭命令(通称NTA:Notices to Appear)の発行により、移民局は、米国移民局関税執行局(通称ICE: Immigration and Customs Enforcement) との協議無しに該当外国人に対して移民裁判所への出頭命令を発行するよう任務の範囲が拡大されると見られています。移民局の審査官は今後、例えば、ビザ申請が却下され、その時点で国外退去可能なケースにおいては外国人に移民裁判所への出頭命令を発行し国外退去させることになります。

この新指針によるH-1B申請者への影響はありますか?

はい、あります。H-1B申請者はH-1B延長申請の審査中は仮にその期限を超えていても、その申請が正当なものであれば、少なくとも最終結果が出るまでの最大240日間は、米国に滞在可能で、スポンサー企業の元で就労を続けることは可能です。なお、現在アメリカ移民局での特急審査サービスを使わない通常ケースのH-1B審査には約半年(180日)はかかっており、仮に有効期限のギリギリに延長申請書類を提出したとして、移民局審査が更に2ヶ月(60日)追加でかかるとすれば、240日以上の審査期間がかかることを意味しますので、最終結果が出るまでの継続的な雇用ができなくなることを意味します。更に、最終的にH-1B 延長申請が却下された場合、H-1B申請者(またその家族)は申請が却下された日付から違法で米国に滞在していると見なされ、移民局により移民裁判機関への出頭命令が発行され国外退去を求められることが想定されます。

その発行以降の国外退去プロセスの期間、H-1B申請者は米国で合法的に働く権利を失うと同時に、出頭まではアメリカ国外への出国も認められず、正当に出頭しない場合は、アメリカへの再入国が先5年は禁止されることになります。

この新指針によるL-1A申請者への影響はありますか?

はい、あります。L-1Aビザ保持者の管理者又はマネージャーとしての永住権の申請を行っている外国人はこの新指針による影響を受けるであろうと見られています。というのも、L-1A申請者が永住権を申請する際、彼らの雇用主は永住権のスポンサーとして申請を行なうことになります。申請審査に掛かる時間はとても長く、場合によっては何十ヶ月も待たなくてはならない可能性もあります。H-1B申請者と同様に、申請結果が出るまでの間にL-1Aのステータスが切れる場合、又は移民局が最終的に申請を却下した場合、L-1A申請者とその家族は申請が却下された日付から違法で米国に滞在していると見なされ、移民局により移民裁判機関への出頭命令が発行され国外退去を求められることになります。

なお、永住権申請をしていない場合でも、上記H-1Bの延長申請と同様にL-1AやL-1Bの延長申請についても期限を超えての審査結果が却下となった場合も上記と同様の制裁を受けることが想定されます。

さらに詳しい詳細はこちらのリンクをクリックして下さい。https://bit.ly/2NjCc7o

米国移民局による不正防止審査の実施

2018年6月28日、移民局のオンブズマン・ジュリー・カークナー氏は米国移民局が複数の申請タイプの審査に遅れが生じていることを認める一方で、不正申請を防止する審査の強化に関する最新の定例報告書を議会に公表しました。

なお、オンブズマン氏の事務所は独立した企業体で議会によって創立され、その創立目的は、移民申請に関する方針の変更や申請者の援助を促進することです。

不正防止審査の現地調査の強化について

2017年、移民法上の不正・偽証申請および国家安全保障・公安に関わる問題を調査する移民局の組織FDNS(Fraud Detection and National Security Directorate)は、“リスクに基づく” 不正防止へ事業の中心を移行しました。つまり、FDNSは、Targeted Site Visit and Verification Programと呼ばれる新しい現地調査と検証プログラムの施行のもと、不正リスクの高い企業や雇用主の現地調査(監査)の施行を以前より更に強化するということです。アメリカ移民局の公式ウェブサイトによると、不正リスクが高いと見なされる対象は以下が含まれます。

  • 総社員数のうち、アメリカ人労働者に対してH-1Bを保持する従業員の割合が多い企業(いわゆるH-1B-dependent employer)による申請
  • 基本的な事業情報が市販データから認証出来ない企業による申請
  • H-1Bによる雇用の場所が第三者機関であるなどオフサイト雇用に基づいた申請

上記に当てはまる企業は審査の対象としてFDNSによるランダムの抜き打ち審査(監査)の対象となる可能性があるでしょう。現地調査の対象となるビザの種類にはH-1B、L-1AとL-1Bが含まれます。

なお、この不正防止審査の強化に対応するため、FDNSは2012年の職員数756名から2018年現在で1548名と職員数が2倍以上に増加したとのことです。

最後に、この定例報告書によると、不正防止審査の効率性を図るため、米国移民局はケース管理を完全デジタル化する必要性があるとも記されています。

米国移民局、多くのビザ申請において申請審査の遅延を認める

2018年6月28日、移民局のオンブズマン・ジュリー・カークナー氏は米国移民局が不正防止の審査を強化すると同時に、複数の申請書の審査に遅れが生じていることを認める最新の定例報告書を議会に公表しました。

なお、オンブズマン氏の事務所は独立した企業体で議会によって創立され、その創立目的は、移民申請に関する方針の変更や申請者の援助を促進することです。

審査の遅延について

今回発表の定例報告書には米国移民局の“効率性”を改善するために数々の具体的な計画が盛り込まれておりますが、米国移民局による申請審査は改善されないであろうという見解を認めています。

米国移民局の申請審査の遅延の原因の一つに新しい電子システム管理が挙げられています。以前は紙媒体システムを利用してそれぞれのケースを管理していましたが、主に電子システムを利用するようになったのはつい最近のことです。目的は申請審査の遅れを取り戻すためでしたが、逆にこの新しい管理システム(ELIS)の技術的な問題により更に遅延の被害を大きくすることとなっています。

この問題により特に外国人の身元調査にも影響を及ぼしています。そのため、申請審査に要する時間がより長くなっているのです。

さらに、米国移民局は申請審査の遅延の理由についてはほとんど発表していません。そのため、オンブズマン氏は米国移民局がこの情報を申請者に開示し始めることで自信を取り戻してもらえるよう勧めています。

この遅延による影響は全てのビザのカテゴリーに当てはまりますが、その中でも一番影響を及ぼすのはI-765の就労許可の申請です。というのも、この就労許可を得るために亡命したということを理由にする申請者が増加するのではないかという声が上がっているためです。その他のビザカテゴリーにおいては、審査の遅延等、特にI-485(永住権の申請)とN-400(米国市民権の申請)申請に対して悪影響が大きく出てくると思われます。

米国移民局によるNotices to Appear (NTA)に関する新指針

2018年6月28日、米国移民局(USCIS)はNotices to Appear (NTA:移民裁判所への出頭命令)の発行に関する新しい指針を発表しました。この新指針によって、今後米国移民局がNTAを発行する対象の範囲が以前より広がります。そのため、国外退去可能なケースで、詐欺行為、犯罪行為、又は、ビザ申請など却下されたにも関わらず米国に違法滞在している証拠がある場合の外国人もNTA発行の対象となります。

以前の方針では、米国移民関税執行局(通称ICE:U.S. Immigration and Customs Enforcement)がその役割を担い、米国移民局はビザ申請審査がその役割の中心でした。それが今回の方針転換を受け、米国移民局にもその機能及び権限が持たされた形となります。

米国に合法的に就労又は居住している外国人でも、彼らの滞在延長申請や転職申請が米国移民局による指針の変更によって思いがけず却下されてしまった場合もNTAの発行を受けての国外退去手続きをしなければならないようになります。なお、NTAの発行を受けた外国人は、その内容が、個人の意思に反しているとしても米国を出国することが出来なくなり、移民裁判所に行くことを余儀なくされてしまいます。同様に、最近のUSCIS の規定変更により、滞在を許可するステータスが無効になってしまった留学生もNTA発行の対象となります。なお、2018年5月31日の時点で既に70万以上ものケースが移民裁判機関にて滞りが出ている状況ですので、この新指針は移民法業界また外国人にとって更に大きな影響を与えることになります。

この新指針によって最も気になる点の一つは非移民ビザ(H-1B , L-1 ビザなど)の延長申請等、元のビザの期限を過ぎたにも関わらず申請は引き続き審査中の状態で、アメリカにて合法的に待機しながらも結果的にビザ申請が却下になってしまうケースで、今回のケースでは、その状況もNTA発行の対象となるようです。従って、非移民ビザ等延長申請の必要な方は、元のビザの期限を迎える前に延長申請の最終結果が出ている状況が望ましいと考えられます。

国土安全保障省、オバマ政権による国際起業家に関する規則の取りやめを提案

国土安全保障は、米国への人道的また公的な利益を踏まえ、米国入国を最終的に許可できる裁量権を持っています。2016年のオバマ政権の最終月、国土安全保障省は卓越した企業家を導入する目的で臨時入国許可又は、一時入国に関する規則を改正しました。その企業家達によって経済成長と革新を促進する公的な利益を生み出すことがこの規則改正の狙いで、International Entrepreneurship Rule(国際起業家に関する規則)という名で知られるようになりました。外国国籍者がこの規則で米国に入国する際に必要となる条件は以下の通りです。

  • 企業の少なくとも10%の所有株式を保持していることが最低条件で、加えて
    • 資格を満たす”投資家から少なくとも$250,000 の資金を有する、又は
    • 資格を満たす”政府からの少なくとも$100,000の賞金や助成金を有する(州および連邦の賞金や助成金も受け入れられています)

2017年7月、トランプ政権下、国土安全保障省は国際起業家に関する規則の実施を2018年の3月に遅らせるという規則を掲げました。一方で、2017年12月には、連邦裁判所がこの遅延を無効とした上、米国移民局は国際起業家の入国を許可する申請の受付を開始いたしました。

そのような中、2018年5月25日、国土安全保障省は国際起業家に関する規則を終了すると提案しました。規則の内容自体が広範囲にわたり、米国人労働者や米国人投資家による支援の妨げとなる上、そもそも国際起業家を招き入れる手段には不適切であるということが理由として挙げられています。

なお、国土安全保障省は2018年6月28日付又はそれ以前に受信した、国際起業家に関する規則を終了するという提案に対する諭評を受け入れてはいるようです。

このような状況もあり、多くの外国人米国入国希望者は、米国入国の手段として変動的で不安定な国際起業家に関する規則を利用するより、投資家ビザのE-2ビザや投資家永住権のEB-5ビザ(米国移民局が指定する地域内のプロジェクトに投資をすることで永住権を最短約2年程度で取得できる可能のある申請。その他、様々な条件あり)による申請により期待を寄せています。E-2投資家ビザは米国でのビジネスにおいて相当額の米国外からの資本の投入が必要となり、定期的なビザの更新が必要です。EB-5ビザの永住権保持者は米国での事業において少なくとも10名の米国人労働者を雇い、候補者には少なくとも$1,000,000(場合によっては$500,000)の投資をすること等が必要条件となっています。

第三機関(Third Party)を就労先とするH-1B申請に関する新指針(その2)

前回、 第三機関(Third Party)を就労先とするH-1B申請に関する米国移民局(USCIS)による新しい指針の概要について紹介しました。この新しい指針は既に有効なものとして扱われており、H-1B就労者の第三機関会社での雇用を計画している請願者(H-1Bビザのスポンサー会社)は、その第三機関会社での全雇用期間に対する雇用契約書、特定の業務スケジュール、そして関連する末端クライアントからの詳細な業務情報に関わる資料の提出が義務化されたという内容のものとなっています。今回は、その内容を更に掘り下げて紹介します。

業務スケジュール(タイムライン)について

H-1B申請上、第三機関会社における業務スケジュールの提出は長年必要とされていた重要な項目でもありました。ただ、今回の新指針により、単なる業務予定ではなく、業務予定をより明確に示すべく、正確な日付、関連する業者やクライアント等の名前、住所、電話番号、就労場所など、より詳細でより正確な内容のものが必要となってきています。つまり、H-1B申請の段階で、ある程度の内容が時系列上、第3機関会社との合意のもとで詳細に決定されている必要があることを意味します。

H-1B延長申請への影響について

この新しい指針はH-1B延長申請において大きな影響をもたらします。その変化に対し、ビザスポンサー会社が延長申請にて求められる提出書類(例)は以下の通りです。

  1. 延長申請の基となる最初のH-1B申請が第3機関会社での雇用であった場合、その延長申請に伴い、元の全期間における雇用の全てが、第3機関におけるH-1B雇用条件を満たす内容となっていることを示す証拠資料
  2. 最初のH-1B申請書に記載されていた通りの給料が支払われたことを示す書類
  3. 職務内容がH-1Bに求められる条件を満たす専門的なものであり、これまで、更には延長後もその雇用が継続することを証明する資料
  4. ビザスポンサー会社が、H-1B受益者に対する給与支払いや雇用上の管理など、ビザ受益者との間に明確な労使関係(Employer-Employee relationship)が存在していることを証明する資料

なお、この指針は過去に承諾された関連する指針(就労場所の変更に伴う指針など)と矛盾しない一貫したものとなっています。

最後に、繰り返しますが、この新しい指針により、もし申請上、H-1B全雇用期間のH-1B専門職としての職務内容や労使関係、更には第3機関会社(実際の就労先)におけるに雇用の実態等を証明できない場合は、移民局審査官はその裁量によりH-1Bの認証期間を限定的に短くしたり、場合によっては申請そのものを却下したり、とその審査権限を強く行使できることを示唆しています。

第三機関(Third Party)を就労先とするH-1B申請に関する新指針(その1)

2018年2月22日、米国移民局(USCIS)は第三機関(Third Party)を就労先とするH-1B申請に関する新しい指針を発表しました。この新しい指針は今年の新規H-1Bビザ申請(2018年4月2日から開始)、またH-1Bビザ保持者の延長申請の両方に対して直ちに適用されます。一般に、H-1B受益者の就労先について、第三機関会社での雇用を計画している請願者(H-1Bビザのスポンサー会社)は、その第三機関での全雇用期間に対する雇用契約書、特定の業務スケジュール、そして関連するクライアントからの詳細な情報の提出が申請上、詳細に要請されることとなりました。移民局審査官は、請願者、契約先会社、さらにはその末端の関連クライアント間における契約関係を確認のうえ、請願者が引き続きH-1Bビザ受益者の雇用を全て管理する内容のものかの評価を下します。移民局は全ての契約書の確認を経て、仮にH-1B申請上のリクエスト雇用期間を3年としても契約書に1年など短い期間の契約雇用期間しか存在しないと判断される場合は、仮に認可するとしても3年ではなく1年限定の認可に留めることもあり、また明確な雇用関係が確認できない場合は、最終的にケースを却下することもあるでしょう。言い換えれば、今回の新方針により、H-1Bスポンサー会社はこれら雇用に関するビジネス上の詳細な、また場合によっては機密事項に関わるような情報の開示までもが求められることを意味します。

 

実際、同様の方針が長年にわたって打ち出されていたこともあり、弊社では関連する雇用契約上の資料の提出を推薦してきましたが、今回の発表を受け、これまで以上に関連資料が詳細に確認されることとなるでしょう。更に、この第3機関会社における全雇用期間に対し、H-1Bで求められる専門職としての業務が確実に遂行されることが裏付けられる内容をしっかりと書面化しなければなりません。

 

移民局は、その全雇用期間において、第3機関会社での雇用内容がH-1Bの専門職であるか、また第3機関での雇用においても引き続きビザスポンサー会社とH-1Bビザ受益者の間に明確な労使関係(Employer-Employee relationship)が存在し続けるかについて、提出書類を確認しますが、今回の指針において以下のような証拠書類(例)の提出を求めています。

  • H-1B専門職の業務を遂行する就労先(worksite)となる第3機関の会社及び関連する全ての会社との署名入りの契約書
  • 第3機関会社におけるH-1B受益者による予定業務内容、雇用上の条件、雇用期間、就労時間等が記載された第3機関の会社より署名された書類(署名は会社の責任者からのもので、例として作業指示書、作業命令書、レターなど)
  • 技術資料、マーケティング分析資料、資金援助を証明する書類等を含む業務内容が詳細に記載された証拠書類

 
移民局による警告にはなりますが、H-1B請願者(ビザスポンサー会社)は、これら資料によっては記載の機密事項部分の割愛は可能でしょうが、その場合は、その割愛を補うべく十分な証拠書類や説明が必要となるでしょう。

トランプ政権によるH-1Bビザへの影響

今年も2019年度新規H-1B申請開始日が近づいてきましたが、昨年4月に受付された2018年度の新規H-1B申請に対しては、多くの申請審査に質問状が発行されたり、審査に時間がかかったり、また多くのケースが却下されるなど、その厳しさが目立った年度であったことは記憶に新しいところです。

 

2017年11月の時点の移民局データでは、前年の2倍以上の新規H-1Bケースが却下されたという数字もあり、このことからトランプ政権の公約にも関連すべく外国人雇用の機会が削減され始めた現象が見え始めてきている結果とも言えるでしょう。

 

その他、2017年11月時点の関連データによると、全体の17.6%(30,445件)の新規H-1Bが却下となっており、前年の同時期が7.7%であたことを考えると相当に増えている計算となります。更に質問状発行について言えば、2017年11月までにおいて、全申請に対して、半分近くの申請に質問状が発行されたようです。

 

これら状況を受け、移民局ディレクターであるLee Francis Cissna 氏は、これはアメリカ移民システムの完全性を保つためで、この質問状の発行により遅れが出ていることは理解しているが、質問状を発行し、その返答内容を確認することでより正しく認可審査が導き出されている、と述べています。

 

しかしながら、実際、発行された質問書に対して300〜400ページにも昇る返答書を提出したとしても、どのようなケースが認可され却下されるのか、明確な規則性が見当たらないとも言えます。あえてその根拠として挙げるとすれば、オファーされている給与額はいくらなのか、会社の業務状況や歴史はどうか、ビザ受益者の学歴や職歴はどうか、申請上のポジションはH-1Bで求められる専門職であるか等々、移民局の確認したいポイントは大まかには見て取ることはできます。ただ、実際に、その前の年まで問題なく認可されていたケースでも質問状を多く受けており、例えば、弊社では会計士やシステムアナリストがなぜH-1Bの条件でもある大学学士号を必要とするポジションなのか、それらはなぜ専門職と言えるのか、という首をかしげたくなるような主旨の質問状も受けております。ちなみに弊社で受けた質問状の内容について、その多くが既に質問状を受ける前の最初の申請書の中で議論している内容のものをあえて質問状で聞いていることもまた今回の質問状の特徴でもあるかもしれません。

 

別の記事でも紹介しましたが、トランプ政権はプライオリティーシステムとして抽選対象となる新規H-1b申請の仕組みに修正を加えることを提案しており、またH-1Bの有資格者条件も見直しを変えようとしています。

 

これら状況を受け、多くの企業や個人がH-1B申請に躊躇を示し始めているのも事実です。今年の新規H-1Bの申請数がどうなるのか、審査がどのような厳しさとなるのか、現状では申請方法等は昨年と変わりはありませんが、今後に注目です(上記、データ等San Francisco Chronicleの記事が元になっております)。

H-1Bビザに関する新しい法律

アメリカ移民局は現在、移民法に関­する新法案の提出を予定しており、これが最終的に法制化されると、H-1Bビザの扱いに大きな変更が予想されます。またF-1の学生またH-4(H-1Bの配偶者ビザ)に対して与えられる就労許可に関する法律にも変更が見られるようです。想定される主な変更事項は下記の通りです

 

H-4保持者に与えられる就労許可発行の廃止

移民局は現在特定の条件のもとH-4保持者に与えている就労許可の廃止を提案しています。施行予定は2018年2月です。

 

新規H-1B申請に対し、その事前登録と事前抽選の実施

基本方針は2011年に提出された同様の法案ですが、新規H-1B(抽選対象となる申請)に対し、事前登録受付を実施し、事前抽選に当選した場合のみ申請書が提出できるようになるという仕組みです。今回は更なる変更が想定され、H-1Bの年間発給数に対してプライオリテーシステムを導入するというものです。つまり限られたH-1B年間発給数に対して、高い給与を得る、また高い専門性を持つ申請者に高い優先順位を与えるべく対象申請者の資格(雇用条件等)に応じて、多くの数の割り振りを実施するという案です。施行予定は2018年2月です。

 

H-1Bの資格基準及び賃金支払い義務の内容の見直し

移民局は、アメリカ国外からの最高で最も有能な外国人のみにH-1Bが与えられるようにすべく、H-1Bの通称である”Specialty Occupation(専門職)”と言う定義の見直しを計画しています。今後法案化されるとすれば、アメリカ人労働力の確保また一定賃金の確保を目的として、H-1B雇用における雇用体系また、労使関係の定義にも変更が予想されます。詳細は今後に注目ですが、施行予定は2018年10月です。

 

外国人留学生に与えられるプラクテエィカルトレーニングの見直し

移民税関監査局は、F-1またM-1の学生に与えられるOPTに対して包括的な変更を考えているようです。これによりアメリカ人労働力の保護また学校や外国人留学生に対する監視体制が増強されることが予想されます。つまり、通常のOPT、STEM OPT、 CPTプログラムの取り扱いに対し、雇用主(トレーニング提供企業)は何らかの更なる責務また制限等が盛り込まれることでしょう。詳細は今後に注目ですが、施行予定は2018年10月です。

 

申請費用の値上げ

移民局は申請費用の値上げを検討しています。またF-1ビザやJ-1ビザに求められるSEVIS費の値上げも予定しています。

 

以上、概要です。こちら、まだ提案の段階で、まだ法制化されたものでもなく、内容の変更もありえますが、現政権の立ち位置がはっきりと見える案とも言えるでしょう。今後、移民局は通常の事務手続きを経て、一般市民からのコメントを求めることでしょう。その後、議会による法制化がいつされるかですが、来年の新規H-1b申請にどのような影響が出てくるか、今後新しい情報が入り次第、随時紹介いたします。