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2015年7月21日、アメリ移民局はH-1B保持者の勤務先変更による修正申請の必要性に関する最終ガイダンスを発表する。

 2ヶ月程前、弊社では、The Administrative Appeals Office (AAO)が、2015年4月9日のMatter of Simeio Solutionsケースを受け、H-1B保持者の勤務先変更(労働認定書(LCA)を必要とするような場所への勤務地変更)による修正申請の必要性について、今後の先例となるべく重要な判定を下した記事を紹介しました。

今回、それに基づき、最終ガイダンスが出されたのですが、勤務地変更が今年の4月9日から8月19日までに発生した場合、H-1Bのスポンサー会社である雇用主は2016年1月16日までにアメリカ移民局への勤務地変更に基づく修正申請が必要となります。以前紹介した記事では2015年8月19日までの修正申請の必要性ということでしたが、更に5ヶ月間期限が延びたことになります。これは大きな変更事項です。特に自分の会社が複数の場所にてビジネスを行っている場合、支店間異動など同じ会社内での異動でも勤務地変更により修正申請の必要性があるというわけです。

一方、アメリカ移民局は、このMatter of Simeio Solutionsケースによる判決よりも前に勤務地の変更があり、アメリカ移移民局への修正申請を行っていないケースに関しては、基本方針として、却下やケース取り消し等の対象とはしないとし、この場合、新しい期限(2016年1月16日)までの修正申請の必要性はあくまでもオプション扱いとしました。

尚、2015年8月19日以降にH-1Bの勤務地変更がある場合は、勤務地が変更となる前に修正申請をアメリカ移民局に行う必要がありますので、注意してください。

アメリカ移民局の基本方針でもあるのですが、H-1Bの雇用に重大な変更事項があれば、その変更に対する修正申請を必要としています。今回のこの勤務地変更に関しては、最初の申請において、労働認定書(LCA)を通して新しい勤務先について触れていない限りは修正申請を必要とする重大な変更に該当することになります。つまり、職務内容などその他の雇用条件が全く同じで単なる勤務地が変更するケースにまで重大な変更の定義が拡大したことを意味します。

今年の8月19日以降にH-1B保持者の勤務地が変更となる場合のその他の注意事項として、繰り返しになりますが、基本的には、新しい勤務地での雇用開始前に、勤務地が変更となる旨を示した修正申請書をアメリカ移民局へ提出していなければなりません。一方で、H-1Bポータビリティーという法律は適用対象となりますので、正当に申請が行われていれば、最終結果が出る前に新しい勤務場所で就労開始が合法的に可能となります。

なお、2015年4月9日より前に勤務地が変更となった場合のアメリカ移民局への修正申請の不必要性については先述の通りですが、その一方で、今回の最終ガイダンスでは、アメリカ移民局は追及する意志がない、という表現となっていることから、ケースによってアメリカ移民局は修正申請を行わなかったケースに対してもケース取り消しなどの裁定を下す裁量を持ち続ける事も意味します。従って弊社では、2015年4月9日より前に勤務地が変更になったケースについても、そのリスクを回避するため、修正申請をすべきであろうという立場をとっております。アメリカ移民局は、勤務地変更を行わなかった事への追及を質問状(RFE)やケース却下または取り消し予告通知書(NOIR、NOIDなど)を通して既に行っているようで、もしそうであれば、今回の最終ガイダンスの前に発表されたガイダンスに基づいて追及を続ける可能性もあるでしょう。

その他、アメリカ移民局の言う重大な雇用条件の変更と位置付けられるケースとして、例え勤務地変更が、労働認定書(LCA)を必要としないような場所への勤務地変更であっても職務内容が大きく変わる、また同一の会社の雇用でも第3会社(他社)を勤務場所とする場合も含みます。なお、ここで言う労働認定書(LCA)とはH-1B申請時に必要な書類で、勤務場所やポジションによって査定された会社が支払うべき平均賃金が記載されるもので、 例えば同じカウンティー内であれば基本的に同じ賃金額で、労働認定書(LCA)を必要とするかしないかの意味は、平均賃金の異なるエリアへの異動となるかどうかを意味します。

一方、アメリカ移民局は、短期間の勤務地移動についても言及しており、1年のうち、最大30日間(場合によっては60日間)であれば、アメリカ移民局への修正申請は必要ないとしています。ただし、あくまでも拠点は元々の申請にある住所であることが前提です。同様に、上記にも触れていますが、H-1B保持者へ支払われるべき平均賃金の変わらないエリア内での勤務地移動の場合もアメリカ移民局への修正申請の必要はありません。ただ、 その他の職務内容などの雇用条件は同じである事が前提で、新たな勤務地にて、元々の申請で認証を受けたLCAを法律に則って掲示する義務はあります。これは、会社そのものが転居する、または一人のH-1B従業員が他支店へ移動する等に関わらず行う義務があります。

今回のアメリカ移民局による最終ガイダンスは期限の延長という意味では救済措置も含みますが、平均賃金額の変わるエリア外への移動時の修正申請の必要性を義務化した事に対しては会社にとっては多大な負担とも言えるガイダンスとも言えるでしょう。

 

 

在日アメリカ大使館、領事館でのEビザ申請について

既にアメリカ大使館、領事館にEビザ会社として登録されているアメリカの会社にEビザ従業員を日本から派遣させる場合など、ビザ取得のために、日本での面接が必要となります。

これまでは、1年に1度、DS156Eフォームとともに会社の財務情報等会社情報をアメリカ大使館、領事館へ提出する事で会社登録を適切に維持する事が出来ていました。

ただ、現在では、その必要性はありません。

アメリカ大使館、領事館の新しい方針では、1年間に複数の従業員のEビザを提出する企業は会社の財務情報を1年に一部のみ提出すれば良い状況に変わりはありませんが、提出方法及びタイミングとすれば、最新の財務諸表が作成された後、もしくは納税申告後に誰かがビザを申請する際に提出する事が望ましい、となっています。

 

なお、現在では各従業員の面接時、DS156Eフォームの全て(Part I~PartIII) の提出が必須となっております。

同じ情報がDS160フォームにも記載されますが、こちら新しい方針により全ページの提出が必須ですのでお気をつけください。

こちら提出を忘れると、その場で追加記入させられる、場合によっては、後日の提出を求められる事で、その日に面接結果が出ないという事も考えられます。

米国出国者の生体データ採取開始(テストプログラム)

米国の出入国管理を行うCBPは、 米国を出国する外国人旅行者の生体データ採取を開始したと発表しました。

米国を出国する外国人旅行者から、指紋とパスポート情報を専用の手持式 機械で読み取り、その旅行者が米国に入国した際に採取されたデータと照合して本人確認を行うというものです。

現時点ではアトランタ国際空港でのみ実施されていますが、今秋までに、シカゴ・ダラス(テキサス)・ヒューストン・ロサンゼルス・マイアミ・ニューアーク・ニューヨーク・サンフランシスコ・ワシントン-ダラスの各空港でもテストを開始するとのことです。テストは来年6月まで行われ、採取されたデータとその解析をもとに、将来の出国管理における生体データ採取システム構築に役立てる模様です。

PERM申請に求められる平均賃金額の決定要因とは

 

永住権申請の第一ステップであるPERM申請において、永住権をスポンサーする会社が、オファーする永住権ポジションに対し職務内容及び雇用条件を決定したら、会社が支払うべき平均賃金額を労働局に対してリクエストしなければなりません。この金額は最終的に永住権が取得できた際には会社が支払わなければならない最低の金額でもあり、この平均賃金額について把握することはその後の求人活動を無駄なく進め、また永住権申請の第2ステップ以降の申請をスムーズに進めることができるかどうか等の大変重要な鍵ともなります。

 

労働局はSOCジョブポジション、雇用場所、学歴、職歴、出張の必要性、部下管理の必要性、資格の必要性、外国語能力の必要性等々を基に平均賃金額を決定しますが、現在、その決定には約60日にかかっています。

  1. Occupation Code (SOC) ジョブタイトル

平均賃金額を労働局へリクエストする際、希望のSOCジョブタイトルをリクエストフォームに記載します。これは労働局が参照するポジション一覧にあるジョブタイトルで、スポンサー会社側も各ポジションに対して求められる雇用条件やポジションレベル等を同様に確認することができます。実際、全ての永住権オファーポジションが完全にSOCジョブタイトルに当てはまるとは限らないため、労働局は、希望されたSOCジョブタイトルが実際の永住権申請上のオファーポジション及び職務内容に対して適切かどうかを判断します。

  1. 雇用場所

平均賃金額リクエストには、雇用場所を記入します。平均賃金額は雇用場所によっても異なり、仮に本社と実際の雇用場所が異なる場合は、実際の雇用場所に基づいて賃金額は決定されます。もし雇用場所が特定の状況で複数にまたがる場合などは、本社の所在地に基づいて平均賃金が決定されます。

  1. 学歴、職歴

一旦、ジョブタイトルと雇用場所が決まれば、そのポジションに必要とされる学歴や職歴を平均賃金額リクエストフォームに記載することになります。オファーポジションに対して通常求められる学歴や職歴はSOCから確認できますが、それよりも高い条件設定とすると平均賃金はその分高くなります。例えば、雇用条件として4年生の学士号が一般に求められるポジションに対し、修士号を必要条件とすれば賃金レベルが一段階上がり、更に博士号を必要条件とすると賃金レベルが二段階上がることになるでしょう。また、この条件設定は永住権の申請カテゴリであるEB2(学士号プラス5年の職歴または修士号を雇用条件とする)やEB3(一例として学士号プラス5年未満の職歴を雇用条件とする)を決定する要因ともなります。

  1. 出張の必要性、部下管理の必要性、資格の必要性、外国語能力の必要性

オファーポジションの雇用条件として出張の必要性、部下管理の必要性、資格の必要性、外国語能力の必要性を付ける場合、通常、その条件ごとに賃金レベルが上がります。ただ、ポジションによってはそれら条件が必然である場合もあり、その場合は、賃金レベルは上がらないこともあります。なお、外国語能力を必要条件とする場合、その必要性に対する理由が求められることになるでしょう。

結論

上記の通り、それぞれの要因によって平均賃金額が決定され、オファーポジションに対して雇用条件が増やす、また高学歴や長い職歴を求めるほど、平均賃金額が高くなることになります。より詳しい情報は2009年11月発行のワークシート(平均賃金決定方針)を参考にすると良いでしょう。